【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア側砲撃で原発に勤務する職員1人が死亡

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は14日、ロシア側がヨーロッパ最大規模のザポリージャ原発が立地するエネルホダル市に向けて少なくとも6回砲撃を行い、原発に勤務する職員1人が死亡したことを明らかにしました。この砲撃で市民2人がけがをして手当てを受けているとしています。

一方、ロシア国営のタス通信はウクライナ軍がロケット攻撃を行ったと伝えました。

また現地の親ロシア派の幹部は14日、SNSで、ウクライナ軍が連日、原発への砲撃を続けていると主張した上で「原発周辺地域からウクライナ軍を排除するという軍事的な成功によってのみ問題が解決できる」と述べました。

ザポリージャ原発の周辺では今月に入って砲撃が相次いでいて、ウクライナとロシアの双方が「相手の攻撃だ」と主張しています。

これについてEU加盟国と日本、アメリカなど42か国は12日付けで共同声明を出し、ロシア軍が掌握していることで原発の安全性が脅かされているとして、ロシア軍の原発からの即時撤退を求めました。

北朝鮮メディア “キム総書記 プーチン大統領と祝電交わす”

北朝鮮のメディアは、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が日本の植民地支配からの解放の記念日にあわせ、ロシアのプーチン大統領と祝電を交わし、両国関係を強化することで一致したと伝えました。

15日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、日本の植民地支配からの解放を祝う記念日にあたる15日にあわせ、キム・ジョンウン総書記がロシアのプーチン大統領と祝電を交わしたと伝えました。

この中でキム総書記は、アメリカなどを念頭に、「敵対勢力の軍事的な脅威を粉砕するための共同戦線で、両国の戦略・戦術的連帯は新たな高い段階に至っている。協力関係がすべての分野で一層強化され、発展すると確信している」と評価しました。

これに対しプーチン大統領は「われわれは共同の努力によって両国関係を総合的、建設的に拡大していくと確信する。これは朝鮮半島と北東アジア地域全般の安全と安定の強化に寄与するだろう」と強調したということです。

ゼレンスキー大統領 ロシア人に侵攻反対の声あげるよう呼びかけ

ゼレンスキー大統領は14日動画を公開し、ロシア側の拷問や略奪などに関する情報を数多く入手していることを明らかにしました。

そのうえで「これらの野蛮な人たちは必ず責任を取らされる」と述べ、ロシア側を厳しく追求していく考えを示しました。また、「もしあなたがロシアの市民権を持っていて、沈黙しているならば、あなたが悪を支援していることになる」と述べ、ロシア国内をはじめ世界各国で暮らすロシア人に対して、ロシアのウクライナ侵攻に反対する声をあげるよう呼びかけました。

ゼレンスキー大統領 戒厳令と総動員令の延長法案を提出

ゼレンスキー大統領は、戒厳令と総動員令を延長する法案を、議会にあたる「最高会議」に提出するなど、戦争の長期化に備える構えを示しています。

そのうえでゼレンスキー大統領は14日公開した動画で「ウクライナが強くなれば、ロシアは弱くなり、この戦争が続く時間は短くなる」と述べ、各国にロシアに対する制裁強化など圧力を強めるよう改めて呼びかけました。

“国を象徴する花” ひまわり 今月上旬から各地で見頃

ウクライナでは、国を象徴する花として市民に親しまれているひまわりが、今月上旬から各地で見頃を迎えています。

一時ロシア軍に占領され、多くの市民が殺害されたキーウ近郊でもあたり一面を覆い尽くすようにひまわり畑が広がっています。なかには、砲弾によって破壊された住宅のすぐ近くにもひまわりが咲いている場所があります。

この住宅の隣に暮らすオレクシー・オギエビチさん(37)は、ロシア軍が撤退したあと、いつもと同じ夏を迎えたいとみずからの庭にひまわりの種をまきました。人の背丈を超える高さに育ちこの夏も大きな花を咲かせました。オギエビチさんは「ひまわりに癒やされています。子どものころからひまわり畑で遊んでいましたがことしはひまわりを見るとふだんと違う気持ちになります。戦争に勝ち私の庭だけではなく戦闘が続く南東部でもひまわりを見たい」と話していました。

また、ウクライナでは農産物としてもひまわりの生産がさかんで、その種から作るひまわり油の輸出量は世界1位です。ひまわり農家のバシル・ソローカさんは「きれいな花を咲かせるひまわりは、ウクライナの象徴であり独自の文化のようなものです。誰もが戦争が終わり平和が訪れることを願っています」と話していました。

ロシア軍 南部での戦力強化を図っているとの見方

ロシア国防省は14日、軍の部隊がウクライナ南部のヘルソン州にあるウクライナ軍の拠点を攻撃し、35人を殺害したと発表しました。

戦況を分析するイギリス国防省は「この1週間、ロシアの優先事項は、南部を強化するための部隊の再編だったとみられる」と指摘し、ロシア軍が南部での戦力強化を図っているという見方を示しています。

ウクライナ副首相 南部ヘルソン州の住民に退避呼びかけ

14日のウクライナ軍の発表では、ヘルソン州でロシア軍の弾薬庫2か所を破壊したほか、ロシア軍の補給路を断つために、州内の主要な橋を攻撃したとしています。

こうした中、ウクライナのベレシチュク副首相は、ヘルソン州の住民に対して「避難してほしい。厳しい冬が待ち構えている。寒さと敵からあなたたちを守らなければならない」と述べ住民に退避を呼びかけるとともに戦闘が長期化する見通しを示しました。