核兵器「先制不使用」求める草案 歩み寄れるか NPT再検討会議

世界の核軍縮の方向性を協議するNPT=核拡散防止条約の再検討会議では、核兵器の保有国が「先制不使用」の政策などをとるよう求める「最終文書」の草案が示されました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって核の脅威が高まる中、こうした方針をめぐり今後、各国が歩み寄れるかが焦点となります。

今月1日からニューヨークの国連本部で開かれているNPTの再検討会議は、4週間にわたる会期の前半を終え、各国が合意を目指す「最終文書」の作成が始まっています。

このうち、核保有国の軍縮について話し合う第1委員会では、13日までに委員長が最終文書の最初の草案をまとめ、各国に示しました。

草案では、核保有国が核攻撃への反撃を除いて核兵器を使わない「先制不使用」の政策をとることや、核の非保有国に対する核の使用や威嚇を行わないことを約束し、法的な保証に向けた交渉を始めることなどを求めています。

草案には直接の言及がないものの、委員会ではウクライナに侵攻したロシアの核による威嚇に対して批判が上がっていることから、こうした議論も影響しているものとみられます。

また、NPTとの関係が焦点となっている核兵器禁止条約について、草案では、ことし6月に初めての締約国会議が開催され、核廃絶に向けた行動計画が採択されたことなどに言及しています。

再検討会議では今後、最終文書の作成に向け交渉が本格化しますが、核の保有国と非保有国との対立に加え、ウクライナ情勢を受け核保有国どうしの対立も深まる中、激しい駆け引きが予想されます。