ウクライナ 奪還目指し反撃 ロシア併合に向け住民投票準備

ウクライナ軍は掌握された地域の奪還を目指して南部で反撃を続け、ロシア軍の補給路が打撃を受けていると指摘されています。一方、ロシア側は東部や南部の併合に向けた住民投票の準備を進めていて、ウクライナ側の住民が激しく抵抗しているほか、アメリカ政府は追加の制裁を警告するなど強くけん制しています。

ウクライナ軍は、ロシア軍に掌握された地域の奪還を目指し、欧米から供与されたロケット砲システムなどを活用して南部で反撃していて、弾薬庫や補給路などを標的に攻撃を続けています。

イギリス国防省は13日、南部ヘルソン州を流れるドニプロ川で、ロシア軍の補給ルートとなっている要衝の橋2つがウクライナ軍の攻撃で通行が難しくなったと指摘しました。

このため、対岸にいる数千人のロシア兵への補給物資を船で運ばざるを得なくなり、ロシア軍の補給の持続性が課題となっていると分析しています。

一方、アメリカ政府の高官は12日、ロシアがヘルソン州や南東部ザポリージャ州、それに東部のドネツク州とルハンシク州で併合に向けた住民投票の準備を進めていると改めて指摘し、東部ハルキウ州でも住民投票の動きがあると明らかにしました。

そして「住民投票は早ければ数週間以内に実施される可能性がある。仮にロシアが計画を進めれば、われわれは追加の制裁を科し、迅速かつ厳しく対応する」と述べ、ロシア側を強くけん制しました。

現地の親ロシア派は、ロシアで地方選挙が行われる来月11日に合わせて住民投票を行いたいという考えを示しています。

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「ウクライナのパルチザン組織が、併合の動きを混乱させようと住民投票を準備する親ロシア派や協力者を標的にしている可能性が高い」として、住民の抵抗運動でロシアの思惑どおりには準備が進んでいないという見方も示しています。