沖縄 “医療破滅的な状態”医療従事者感染 観光客の救急対応で

新型コロナの感染が収まらない中、沖縄県内の医療機関では医療従事者が感染するなどして人手が不足するだけでなく、観光客の救急対応にも追われ、医療のひっ迫に拍車をかけています。医師は「破滅的な状態になっていると言わざるをえないと思う」と危機感を訴えています。

沖縄県豊見城市にある新型コロナの重点医療機関の「友愛医療センター」では、12日現在、医師や看護師などおよそ1400人いる医療従事者のうち、およそ80人が感染したり濃厚接触者になったりして勤務できない状態になっていて、緊急性の低い手術を延期しています。

先月の救急の受け入れは576件と毎月の平均を3割ほど上回り、搬送を断ったのは203件と去年7月の17件のおよそ12倍に上っています。

12日午前10時現在、新型コロナ患者向けに確保している軽症と中等症の24床、重症の5床がすべて埋まっています。

医療体制が厳しい状況にある中、沖縄県内にはことしは多くの観光客が訪れ、新型コロナへの感染やけがや急病などで病院に運ばれることで、さらに負担が増えているということです。

また、県内で感染が確認された観光客が療養先を確保できず、宿泊療養施設に入るケースも増えている一方、沖縄に住む人は宿泊療養施設に入りにくくなっているということです。
友愛医療センター救急科の山内素直部長は、現在の医療の状況について「壊滅的、絶望的で、破滅的な状態になっていると言わざるをえないと思う。状況は悪化していて今の沖縄では、観光客の方がコロナになったり、もしくは急な病気やけがになってもすぐに見てもらえる病院を探すのは非常に困難で入院することもできない。自分が旅行先でそういう事態になったときに本当に大丈夫なのか。自分がそこの土地に行くことで周りの人たちにどういう影響を与えるのかをしっかり考えて自分の行動を決めてほしい」と話しています。