【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ドネツク州知事「約35万人が現地に残っている」

ウクライナ東部ドネツク州では、ロシア軍の攻勢を受けてウクライナ政府が現地に残る住民に避難命令を出し、8月初めから避難が始まっています。

これについて、ドネツク州のキリレンコ知事は12日、オンラインの記者会見で「避難命令が出されたあと4000人以上が避難したものの、およそ35万人がいまも現地に残っている」と明らかにしました。

一方、病院などの重要な施設は運営を続けていると述べました。

ドネツク州では、11日、ロシア軍による攻撃で市民7人が死亡するなど、被害が出ていて、キリレンコ知事は住民の避難を急ぐ考えを示しました。

ドネツク州知事 “ロシア軍攻撃で市民7人死亡 14人けが”

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事はSNSで、11日、ウクライナ軍が拠点としているバフムトなどへのロシア軍による攻撃で市民7人が死亡し、14人がけがをしたと明らかにしました。

キリレンコ知事は「すべての戦争犯罪者には罰が与えられるだろう」と厳しく非難しています。

クリミア半島のロシア軍基地爆発 英国防省「戦力著しく低下」

イギリス国防省は12日、ウクライナ南部クリミア半島にあるロシア軍の基地で9日に起きた大規模な爆発について「少なくとも5機の戦闘爆撃機『スホイ24』と3機の多用途戦闘機『スホイ30』が、破壊されたか大破した」とする分析を発表しました。

イギリス国防省によりますと爆発があったのは、ロシア黒海艦隊の航空基地で「戦闘機8機の喪失は、ロシアが戦争に投入できる全ての航空戦力の一部にすぎないが、ロシア黒海艦隊の海軍航空戦力は著しく低下した」と指摘しています。

一方でイギリス国防省は爆発があった航空基地についてまだ使用できる可能性があるとしています。

IAEA ザポリージャ原発への視察実現するよう協力求める

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、11日に開かれた国連の安全保障理事会の緊急会合にオンラインで出席し、砲撃が相次いでいるウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所の状況について説明しました。

このなかでグロッシ事務局長は砲撃によって、送電網の一部が損傷を受け、稼働中だった3つの原子炉のうち1基が停止したと報告しました。

そのうえで、「最新の情報に基づくIAEAの専門家による初期段階の評価では、砲撃による原発の安全性に対する差し迫った脅威はない。しかし、その評価はいつでも変わる可能性がある」と述べ、原発の安全性の確保に改めて強い懸念を示すとともに直ちに砲撃をやめるよう求めました。

そして、IAEAの専門家チームがザポリージャ原発を訪れ、安全性を確保するための技術的な支援などを行うことが重要だと訴え、ロシアとウクライナに対してすみやかに視察や調査が実現するよう、協力を求めました。

クリミアの爆発はウクライナ側の攻撃との報道 ロシア軍に損害も

ロシアが8年前に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島では9日、ロシア軍の基地で大規模な爆発があり、ロシア側は飛行場の弾薬庫が爆発したが攻撃を受けたものではないと主張しています。

一方、ウクライナ政府は公式に関与を認めていませんが、アメリカの複数の有力紙はウクライナ側が攻撃に関与したという見方を伝え、ゼレンスキー大統領は10日「ロシア軍はクリミアで9機の戦闘機を失った」と述べてロシア軍が大きな損害を被ったと強調しました。

また、ウクライナ軍は軍事侵攻によってロシアが掌握したとする南部ヘルソン州で、要衝の橋を攻撃して通行できなくしたと発表するなど、ロシア軍の補給路を狙ったとみられる攻撃も続けています。

ウクライナ軍 “ロシア軍の空爆 先週比2倍に 攻撃の精度は低い”

ウクライナ軍は、11日の記者会見でロシア軍による空爆が先週と比べて2倍に増加したと明らかにしました。

ロイター通信によりますと、ウクライナ軍は会見で、空爆は軍事拠点だけでなく民間のインフラ施設にも行われているとした上で「敵の飛行機やヘリコプターはウクライナ側の防空圏を避けているため攻撃の精度が低い」と指摘したということです。

ロシア側支配地域で住民投票の準備もウクライナ側反撃

ロシア側は7割以上を掌握したと主張する南東部ザポリージャ州で、地元の親ロシア派の幹部が11日、ロシアの新聞「イズベスチヤ」へのインタビューの中で、ロシアへの編入の賛否を問う住民投票について「ロシアで地方選挙が行われる9月11日にあわせて実施できれば望ましい」と述べました。

一方で、住民投票はロシア軍が掌握を進める東部2州や南部ヘルソン州と一斉に行うことも親ロシア派の間で協議され、こうした地域で戦闘が続く中、投票に向けた準備が予定通り進んでいないとも指摘しています。

ロシア側は掌握したと主張する南部や南東部の併合に向けた既成事実化を進めたい狙いですが、支配された地域の奪還を目指すウクライナ軍の反撃に直面し、さらにウクライナ側の住民も根強く抵抗していると指摘され、双方の攻防が一段と激しくなるとみられます。

マクドナルド 停止中のウクライナ国内店舗の営業 一部地域で再開

ハンバーガーチェーン大手のマクドナルドは、ロシアによる軍事侵攻を受けてことし2月から停止していたウクライナ国内での店舗の営業を一部の地域で再開することを決めたと発表しました。

ウクライナ政府や材料の調達先などと幅広く議論を重ねた上での結論だとし、ほかの事業者が安全に営業を再開している首都キーウとウクライナ西部の一部の店舗で今後、数か月にわたって段階的に営業を再開していくとしています。

ロシアによる軍事侵攻の前にはウクライナ国内に100余りの店舗があったということで、会社は現在も1万人を超える従業員に給料の支払いを続けているとしています。

メドベージェフ前大統領 ウク東部で親ロシア派武装勢力と会議

ロシアの前大統領で、現在は安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ氏は11日、SNSにロシア軍が掌握したと宣言したウクライナ東部のルハンシク州を訪問したと明らかにしました。

このなかでメドベージェフ氏は東部2州の親ロシア派武装勢力の指導者、プシリン氏とパセチニク氏と面会して会議を開催したとしていて、会議には、プーチン大統領の側近、ロシア大統領府のキリエンコ第1副長官や、ロシア連邦保安庁のボルトニコフ長官らも出席したとしています。

そして「会議では親ロシア派の地域の法律をロシアの法律に調和させることや、インフラ復旧や病院の修復、新年度の学校の入学準備などに焦点があてられた」としていて、ロシア軍が掌握した東部地域を将来的にロシアに編入することをにらみ、意見が交わされたことがうかがえます。

ウクライナの原発公社 “ザポリージャ原発 11日再び攻撃受けた”

8月に入って攻撃が相次いでいるウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所について、ウクライナの原発公社エネルゴアトムは11日、原発が再び攻撃を受けたと発表しました。

一方、ザポリージャ州の親ロシア派の幹部も攻撃があったと主張し、ウクライナとロシアの双方が「相手の攻撃だ」と非難し合っています。

エネルゴアトムはSNSを更新し「11日、ロシア軍は再びザポリージャ原発を攻撃した」としたうえで、核物質が貯蔵されている場所の近くに砲撃があったほか、原発の近くにある消防署の敷地内にも砲撃があったと明らかにしました。

周辺の放射線量に変化はないとしたものの、攻撃によって放射線量を測定する一部のセンサーが損傷したとして状況は悪化しているとしています。

一方、ザポリージャ州の親ロシア派の幹部もSNSでザポリージャ原発の敷地内などでウクライナ側による砲撃があったと主張しました。

ザポリージャ原発をめぐっては、8月5日以降に攻撃が相次ぎ、いずれもウクライナとロシアの双方が「相手の攻撃だ」と主張して繰り返し非難し合っていて、ヨーロッパ最大規模の原発の安全性の確保に懸念が強まっています。

ウクライナ ゼレンスキー大統領 “ロシア軍クリミアでも損害”

ウクライナ南部クリミア半島にあるロシア軍の基地で9日、大規模な爆発があったなか、ウクライナのゼレンスキー大統領は10日に公開した動画で「ロシア軍はクリミアで9機の戦闘機を失った」と述べ、ロシア軍はクリミアでも多大な損害を被ったと強調しました。

そのうえで「ウクライナがより多くの武器や財政的な支援を受けられれば、より早くウクライナとヨーロッパの人々が再び、平和で安定した生活を送ることができる」と述べ、武器の供与などさらなる支援を改めて各国に呼びかけました。