クリミアのロシア軍基地爆発 “ウクライナが関与”米有力紙

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアに駐留するロシア軍の基地で起きた大規模な爆発について、アメリカの複数の有力紙は、ウクライナ側が攻撃に関与したという見方を伝えています。ロシア軍の航空戦力が損害を受けたとも指摘され、南部をめぐる攻防がさらに激しくなる可能性が出ています。

ロシアが8年前に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島では、西部にあるロシア軍の基地で、9日、大規模な爆発がありました。

ロシア国防省は、飛行場にある航空機の弾薬庫が爆発したと発表し、攻撃を受けたものではないと主張しています。

一方、ウクライナ側は、関与について公式に言及していませんが、アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは10日、ウクライナ政府当局者の話として、攻撃はウクライナの特殊部隊が行ったと伝えました。

また、ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ政府高官の話として「ウクライナ政府に忠誠を尽くすパルチザン部隊が関与した」とするなど、ウクライナ側が攻撃に関与したという見方を伝えています。

ロシア国防省は、航空機などに被害は出ていないとしていましたが、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は10日「衛星画像では少なくとも8機のロシア軍の航空機が破壊された」として、航空戦力が損害を受けたと指摘しています。

そして「ロシア側は混乱しているだろう。ウクライナ側がどこからどのようにして攻撃を行ったか、まだわかっていないかもしれない」とする見方を伝えています。

クリミアをめぐっては、ウクライナ政府は、ロシアからの返還を目指して去年、友好国の首脳などを招き初めて立ち上げた国際会議を、ことしも今月23日に行う考えを示していて、ゼレンスキー大統領は9日「クリミアから始まったロシアの戦争は、クリミアの解放で終わるべきだ」と述べるなど、南部をめぐる攻防がさらに激しくなる可能性が出ています。