大阪 2歳児熱中症で死亡 祖母ら2人を起訴 経緯の詳細は

ことし6月、大阪 富田林市の団地で2歳の女の子の手足を縛り部屋に置き去りにして熱中症で死亡させたなどとして、同居する祖母ら2人が保護責任者遺棄致死などの罪で起訴されました。

起訴されたのは、いずれも富田林市に住む祖母の小野真由美被告(46)と、同居する桃田貴徳被告(50)です。

起訴状などによりますと、2人はことし6月29日までの3日間、同居していた小野被告の孫の小野優陽ちゃん(2)の両方の手足を粘着テープで縛ったうえ、ベニヤ板で四方を囲いふたをつけたベビーサークルに閉じ込めました。

そして、十分な水分や食事を与えずに気温を適切に管理することなく熱中症で死亡させたとして、保護責任者遺棄致死と監禁した罪に問われています。

また、この直前の6月27日までの4日間に合わせて57時間にわたって、同じベビーサークルに閉じ込めて監禁した罪でも起訴されました。

これまでの警察の調べに対し小野被告は黙秘し、桃田被告は「物を投げたりしたときは縛ったこともある。6月27日に外出した時は、私は縛っていない」などと供述しているということです。

監禁 少なくとも1年にわたって続いていたか

これまでの捜査で監禁が少なくとも去年6月から1年にわたって続いていた疑いがあることが明らかになりました。
警察が2人の携帯電話を調べたところ、去年6月、足を縛られた優陽ちゃんがベビーサークルに入れられている写真が小野被告から桃田被告に送られていたということです。

また、10月にはベビーサークル内で優陽ちゃんが買い物かごに入れられ、上からネットをかけられている写真が送信されていました。

現場から見つかったベビーサークルは高さが88センチで、四方を囲うように板が張り付けられ、外に出られないようにした疑いがあるということです。

部屋の中からはベビーサークルの上にかぶせるふたとして使われていた板も見つかっているということです。

これまでの調べに対し小野被告は「去年の年末から手足を粘着テープで縛るようになった」などと供述しているということです。

一方、桃田被告は「およそ1年前から縛るようになった」と供述し「ベビーサークルの隙間から物を投げられないよう、ことし5月ごろに板を張り付けた。食事や風呂以外は基本サークルに入れていた」と話しているということです。

女児が死亡するまでの経緯

警察の捜査で優陽ちゃんが死亡するまでの経緯もわかってきました。

2人は優陽ちゃんが死亡する5日前の6月24日から27日の昼ごろまで大阪府内のホテルに宿泊し、日中、帰宅する生活を続けていました。

この間にあわせて57時間にわたってベビーサークルに閉じ込めた疑いがあるということです。

ふたたび27日の夜に自宅を出たあとは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン近くのホテルに2日続けて泊まり、途中、一度も帰宅しませんでした。

この時、両方の手足を縛られてベビーサークルに置き去りにされていたとみられ、優陽ちゃんの近くには食べ物や飲み物は置かれていませんでした。

一緒に自宅にいた小野被告の四男(当時15歳)は「水を1回だけ飲ませた」と話しているということです。

死亡した当日は

死亡した当日の6月29日の朝、四男は小野被告に「暑いけど大丈夫か」とメッセージを送りましたが、返信はありませんでした。

そして、四男が午後4時ごろに帰宅したところ、優陽ちゃんがベビーサークルの中でぐったりしているのを見つけ、小野被告に電話をすると「熱中症かもしれない。水をかけて」と言われたということです。

四男は優陽ちゃんの世話について「2人からは具体的な指示はなかった」と説明しているということです。

およそ1時間後に2人が帰宅し消防に通報したことで事件が発覚。

優陽ちゃんは亡くなる前の半日以上、十分な食事や水分をとることができず熱中症で死亡した疑いがあるということです。

2人は逮捕当初の調べに対し「育児にストレスがあり、6月29日の午前5時ごろに気分転換に外出した」などと供述していましたが、その後「6月27日の夜から外出し、四男から連絡を受けるまで帰っていない」と説明を変えたということです。

これについて桃田被告は「長時間外出することは罪が重くなると考えた」などと話しているということです。

一方、小野被告は黙秘を続けているということです。

行政の対応は

児童相談所にあたる「富田林子ども家庭センター」はおととし6月、優陽ちゃんが小野被告と入浴中に溺れ、一時、心肺停止になったことをきっかけに支援を始めました。

センターは育児放棄の疑いがあるとして優陽ちゃんが安全に暮らせるよう助言したほか、家庭訪問を複数回行った結果、育児に改善が見られたということです。

おととし10月には富田林市が支援を引き継ぎ、センターなどと協議した結果、保育園で見守りができていたことなどから、虐待のリスクを4段階で最も重い「最重度」から2段引き下げて「中度」にしました。

その後も市は小野被告や優陽ちゃんと10回にわたって役所で面談を行い、電話でも定期的に聞き取りをしていました。

去年6月に、小野被告の仕事の都合で優陽ちゃんは保育園を退園し、外部の目が届きにくくなりましたが、市は去年12月、虐待のリスクの判断を「要保護」から「要支援」に引き下げます。

しかし、引き継いでから事件が起こるまでの間、家庭訪問は一度もしていなかったということです。

当時の対応について、市は優陽ちゃんと定期的に面談ができていて虐待されている様子が見られなかったことや発育が順調だったためリスクは低いと判断したとしています。

家庭訪問については、保護者が行政の介入を拒むなどのケースでは行っているものの今回は必要性がないとして行わなかったとしています。

事件を受けて市は保育園などに通っていない虐待のリスクのある児童の家庭訪問を緊急で進めるとともに、虐待のリスクを「要保護」から「要支援」に引き下げた児童についてその内容を再点検しています。

また、大阪府も行政の対応を検証する部会を開き、虐待リスクの判断が適切だったかどうかなどを調べたうえで、来年1月にも対策を盛り込んだ報告書をまとめる方針です。

専門家「家族全体の評価が十分にされていなかった」

今回の事件について児童虐待の問題に詳しい関西大学の山縣文治教授は「子ども家庭センターや富田林市が、自宅の様子を確認したり祖母以外からも話を聞くなどしていれば、もっと気づけたことがあったのではないかと思う。家族全体の評価が十分にされていなかったのが明らかだ」と指摘しました。

そのうえで「面談でやり取りする以外にも、部屋の掃除の状態などを確認する意味で家庭訪問による調査は非常に重要だった。国や大阪府が示している基本的な対応を守っていれば、事件を防げた可能性はより高かったと思う。事件を教訓として、自宅も含めて子どもの様子を把握するなど、マニュアルに沿った基本的な行動ができるよう取り組んでほしい」と話していました。