岸田首相 新内閣は「政策断行」 法令逸脱の宗教団体に厳正対処

岸田総理大臣は、第2次岸田改造内閣の発足を受けて記者会見し、新内閣は有事に対応する「政策断行内閣」だとして、防衛力の抜本強化や「新しい資本主義」の実現などに全力をあげる考えを示しました。
また旧統一教会の問題に関連し、法令から逸脱する行為をした宗教団体には厳正に対処するよう指示したことを明らかにしました。

冒頭、岸田総理大臣は「数十年に一度とも言われる難局を突破するため、新たな自民党・公明党の連立政権を発足させた」と述べました。

そして「新型コロナ、ウクライナ危機、台湾をめぐる米中関係の緊張、国際的な物価高と、内外で歴史を画するような課題が生じている。骨格を維持しながら有事に対応する『政策断行内閣』として、山積する課題に対し、経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用することとした」と説明しました。

そのうえで、
新たな内閣で取り組む5つの重点分野として、
▽防衛力の抜本強化、
▽経済安全保障政策の推進、
▽「新しい資本主義」の実現を通じた経済再生、
それに
▽新型コロナの感染症法上の取り扱いを含めた対策の在り方、
▽少子化対策などの強化に全力をあげていく考えを示しました。

また「安倍元総理殺害事件をしっかり検証し、警備体制を立て直す必要がある」と述べました。

一方、旧統一教会と政治家との関係をめぐり、みずからは関係がないと重ねて説明したうえで「信教の自由は、憲法上保障されているが、社会的に問題が指摘されている団体との関係は、国民に疑念を持たれるようなことがないよう、十分に注意しなければならない」と指摘しました。

そのうえで「国民の疑念を払拭(ふっしょく)するため、組閣にあたり、閣僚に対して政治家の責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果も踏まえて厳正に見直すことを厳命し、それを了解した者のみを任命した」と述べました。

そして、
▽宗教団体で仮に法令から逸脱する行為がある場合は厳正に対処すること、
▽悪質商法など不法行為の相談や被害者の救済に万全を尽くすよう指示したことを明らかにしました。

岸田総理大臣は、最後に「国民の皆さんから信頼される行政運営を行っていく。昨年、総理大臣に就任して以来、大切にしてきた『国民の声を丁寧に聞き、信頼と共感を得る政治を実現する』という基本からぶれることはない。2度の国政選挙で頂いた信任を政策を進める力に変え、政府・与党が力を合わせて全身全霊で政策を断行し、この難局を突破していく」と述べました。

また、岸田総理大臣は安倍元総理大臣の「国葬」について「国際社会がさまざまな形で弔意や敬意を示している状況を踏まえ、わが国としても敬意と弔意を国全体として表す儀式を国の公式行事として開催し、その場に各国代表を招くことが適切であると判断した」と述べました。

“持続可能な経済社会・新しい国際秩序の作り上げに力注ぐ”

岸田総理大臣は新しい内閣で優先して取り組む課題について「新型コロナを乗り越え、経済を再生し、持続可能な経済社会を作り上げていくことと、国際情勢が緊迫する中で、わが国の平和と安全を守り抜くため、ポスト冷戦期の次の時代の新しい国際秩序を作り上げていくことの2点に特に力を注いでいきたい。あらゆる政策を総動員することでこの2点を中心にしっかりと政策を成し遂げていきたい」と述べました。

“旧統一教会政策 不当に自民党の政策に影響与えたと認識せず”

岸田総理大臣は旧統一教会との関係が自民党の政策に影響したかどうか問われたのに対し、「自民党の政策決定にあたっては幅広く国民の声を聞く。関係省庁からの説明、有識者や専門家などの議論というさまざまなプロセスを経て政策を決定しており、こうした自民党の政策決定のプロセスを考えた場合に、旧統一教会の政策が不当に自民党の政策に影響を与えたとは認識していない」と述べました。

また「安倍元総理がビデオメッセージを送ったということについては、当時の安倍元総理の判断であり、どのような状況の中で、どのような判断をしたかは、今となっては承知しておらず、直接コメントすることは控えたい」と述べました。

そのうえで「今後は国民に疑念が持たれることがないよう自民党関係者として、厳正な見直を行っていく必要があると認識している」と述べました。

中国の大規模な軍事演習 “中国側との対話は常にオープン”

岸田総理大臣は台湾周辺での中国による大規模な軍事演習について「国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものであり、軍事訓練の即刻中止を求めた。今のような時こそ、しっかり意思疎通を図ることは重要だ。日中首脳会談は現時点で何も決まってないが、わが国としては中国側との対話については常にオープンだ」と述べました。

そのうえで「台湾海峡を含む地域の平和と安定の重要性を引き続き中国側にも直接伝えるとともに、各国共通の立場として明確に発信していくことも大事だ。今後ともアメリカをはじめとする同盟国、同士国と緊密に連携をしながら両岸関係の推移を注視していきたい」と述べました。

補正予算案 “予備費を機動的に活用 状況見極めて判断”

岸田総理大臣は、物価高騰などへの対応として補正予算案を新たに編成する必要性について「喫緊の課題である新型コロナや物価高騰に対し、必要な財政出動はちゅうちょなく機動的に行い、切れ目のない対応を行っていくことで国民生活とわが国の経済を守り抜いていきたい。先般の補正予算で5.5兆円の予備費を確保したので、まずはこれを機動的に活用していくことをしっかり考えていく」と述べました。

そのうえで「その後については物価や景気、両面の状況に応じて迅速かつ総合的な対策に切れ目なく取り組んでいきたい。予備費を機動的に活用したうえで状況をしっかり見極め、その後の対策は判断していきたい」と述べました。

安倍元首相の「国葬」“国際社会の状況踏まえ判断”

岸田総理大臣は安倍元総理大臣の「国葬」について「いろいろな意見があることは承知しているが、憲政史上最長の8年8か月にわたり、総理大臣として重責を果たしたほか、民主主義の根幹である選挙運動中の非業の死であった。他に例を見ないものだ」と述べました。

そして「海外では、国の議会で安倍総理に追悼の決議を全会一致で可決したり、服喪に関する政府の決定を行った国もある。国際社会がさまざまな形で弔意や敬意を示している状況を踏まえ、わが国としても敬意と弔意を国全体として表す儀式を国の公式行事として開催し、その場に各国代表を招くことが適切であると判断した」と述べました。

また、国葬を行う予算規模について「国費からの支出については『国葬儀』の具体的な規模や内容について検討中であり、こうしたものもしっかりと明らかにしながら、今後さまざまな機会を通じて、丁寧に説明を続けていきたい」と述べました。

“安全保障 安倍元総理大臣の意見も参考に議論”

岸田総理大臣は防衛力の抜本強化をめぐり「安倍元総理大臣は『防衛費をGDP=国内総生産の2%以上を目標にすることを明示し、5年以内に達成することを示す必要がある』と訴えていたが、この主張に沿った形で進めるべきと考えるか」と質問されたのに対し「国民の生命や暮らしを守るために何が必要なのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討をしていく」と述べました。

そのうえで「年末に向けて、国家安全保障戦略をはじめとする安全保障の3つの文書の策定や予算について議論を進めていきたい。その議論の際に、安倍元総理大臣のさまざまな意見も参考にし、念頭に置きながら議論を深めていきたい」と述べました。

高市氏の起用 “経済安保の分野で引き続きリーダーシップを”

岸田総理大臣は記者会見で、経済安全保障担当大臣に高市氏を起用した理由について「急速に厳しさを増す国際情勢に対応していくためには経済安全保障の強化が急務だ。高市氏はこれまで自民党の政務調査会長として、経済安全保障本部をけん引するなど、わが国の経済安全保障政策を中心となって推進してきたので、ぜひ引き続き、この分野でリーダーシップを発揮していただきたい」と述べました。

コロナ水際対策 “緩和の方向 感染状況踏まえ適切に判断”

新型コロナの水際対策について岸田総理大臣は「感染拡大の防止と社会経済活動のバランスをとりながら、他のG7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう、緩和の方向で進めていきたい。しかし具体的な措置については、内外のニーズや検疫体制などを勘案しながら、内外の感染状況もしっかり踏まえたうえで適切に判断していきたい」と述べました。