“高齢者の感染増加 対策徹底を” 東京都モニタリング会議

東京都の新型コロナウイルスの感染状況と医療提供体制を分析・評価するモニタリング会議が開かれ、第6波の時と同じく、若者に続いて高齢者の感染が増えつつあるとして、専門家は「高齢者は重症化リスクが高く、感染対策を徹底すべき」として警戒を呼びかけました。

東京都はモニタリング会議を開き、都内の感染状況と医療提供体制の警戒レベルを、いずれも最も深刻なレベルで維持しました。

8日までの1週間の新規陽性者に占める年代別の割合は、40代以上が上昇し始め、特に65歳以上の高齢者の割合は5週連続して上昇し、10.3%となったことが報告されました。

また、8日までの1週間に死亡した人は95人と、前の週から倍増していて、年代別に見ると、60代以上が88人で92.6%と、ほとんどの割合を占めているということです。

これについて、東京都医師会の猪口正孝副会長は「第6波と傾向が似ていて、若者から遅れて高齢者の感染が増えている。高齢者は重症化リスクが高く、入院期間も長期化することが多い。家庭内や施設などでの徹底した感染防止対策が重要だ」と警戒を呼びかけました。

そのほか、療養者の数は9日の時点で26万1485人と、都民のおよそ50人に1人が入院か宿泊、それに自宅のいずれかで療養している状態で、このうち入院患者の数は4304人と、8週間連続で増え続けているということです。

一方で、医療従事者が感染するなどして就業制限を受けて人員不足になっているとして、猪口副会長は「重症者用の病床はまだ大丈夫だが、軽症と中等症用の病床が限界に近づきつつある。軽症の自宅療養者へのフォローアップ体制を効率的に運用していく必要がある」と話していました。

繁華街の夜間の人出 感染増加の一因か

モニタリング会議で、東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、都内の繁華街の夜間の人出について「この1週間は減少に転じていて増加傾向は止まったが、中高年層が深夜まで繁華街に滞留していて、ここに来てこの世代の感染者が増加しているのは、こうしたハイリスクな行動も一因にあるのではないか」と分析しました。

そして、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す実効再生産数が減少に転じた島根県で、夜間の繁華街の人出が急激に増えて再び感染者が増加に転じたとする事例を挙げたうえで「東京も今、実効再生産数が徐々に下がってきている。しかし、これからお盆に入り、ハイリスクな行動が増えると再び悪化に転じる可能性があるので、緊張感を維持して基本的な対策を徹底することが重要だ」と呼びかけました。