ロシア軍 東部で兵力不足と指摘も 南部クリミアの基地で爆発か

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は掌握を目指す東部で部隊の前進を阻まれ、兵力の不足が指摘されています。一方、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアのロシア軍の基地で爆発があったと伝えられ、ウクライナ軍が反転攻勢を続ける中、ロシア側は警戒を強めています。

アメリカ国防総省「ロシア軍の戦死者と負傷者7~8万人」

ロシア国防省は9日も、各地をミサイルで攻撃し、東部ドネツク州や南部のミコライウ州とヘルソン州で指揮所や弾薬庫などを破壊したと発表しました。

戦況を分析するイギリス国防省は9日、ロシア軍が東部ドンバス地域で前進した距離について「過去30日間、最も成功した地域でおよそ10キロ、ほかの地域では3キロしか前進しておらず、計画を大幅に下回っている。前進できるだけの十分な戦闘歩兵が確保できていない」と指摘しました。

また、アメリカ国防総省のカール国防次官は8日の記者会見で、ことし2月に軍事侵攻が始まって以降のロシア側の戦死者と負傷者の数が合わせて7万人から8万人にのぼるという見方を示しました。

カール次官は「侵攻を開始したときの、プーチン大統領の目標を何一つ達成していないことを考えると、注目に値する」と述べ、ロシア側の人的な損害が非常に大きい可能性も出ています。

南部クリミア ロシア軍基地で爆発か

一方、ロシアの国営メディアやロイター通信などは9日、ロシアが8年前に一方的に併合したウクライナ南部のクリミアで複数の爆発音や大きな煙が上がっている様子を伝え、その後、ロシア国防省はクリミアに駐留するロシア軍の基地で爆発があったと発表しました。

爆発があったのは、クリミア半島の西部にある軍の飛行場で、ロシア国防省は、航空機の弾薬の施設が爆発したと主張する一方、攻撃を受けたのではないとしています。

また、地元のロシア側の当局者は、ロシアの国営メディアに対し、この爆発で1人が死亡したと説明しています。

ウクライナ国防省は9日、フェイスブックに「クリミアの飛行場の火災について、国防省は原因を特定できていない。火災の事実が情報戦に利用される可能性がある」などと投稿しました。

ウクライナ軍が南部で反転攻勢を続ける中、ロシア側は警戒を強めていてクリミアに対する攻撃も繰り返しけん制していました。