東工大と医科歯科大 “戦略的統合”協議へ そのねらいは?

東京工業大学と東京医科歯科大学は9日、統合に向けた協議を始めることを正式に発表しました。理工系と医療系でトップクラスの大学が、さらに研究力を高めるねらいがあるものとみられます。

「それぞれの大学の重点分野・戦略分野を強化することに加え、自然科学の様々な分野を自由な発想で掛け合わせ、新たな学術分野を生み出せる」

統合の協議開始を発表した東京工業大学と東京医科歯科大学。統合構想は東京工業大学の益一哉学長と、東京医科歯科大学の田中雄二郎学長の間で議論を重ねたうえの判断だとしています。

ねらいは“国際的な研究力”

これまでの大学統合というと急速な少子化を背景に、経営面での課題を改善するために行われるケースが多くありました。

しかし、今回統合に向けて動き出した2つの大学の大きなねらいは経営の効率化ではなく、戦略的に、国際的な研究力の高い大学を目指すことにあります。

国は10兆円の基金、「大学ファンド」を設け、目標3000億円とされる運用益で大学を支援する計画で、年内に開始する公募で支援を受けられることが決まれば数百億円を研究や研究環境の整備に充てることが可能となります。

選ばれるには、国際的にすぐれた研究成果を出すことなどが要件になりますが、統合が実現すれば、理学、工学、それに医療や歯学といった専門性の高い分野で融合し、これまでにない、幅広い研究が行われることが期待されます。

世界の大学ランキング 100位以内に日本は2校だけ

一方、日本の大学の研究力の低下は大きな課題になっています。
イギリスの専門誌がまとめた世界の大学の最新のランキングでは、▽東京大学が35位、▽京都大学が61位と日本からは100位以内の大学は2校にとどまっています。

イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」は、研究内容や論文の引用回数などの指標をもとに毎年、世界の大学のランキングを発表しています。

1位はイギリスのオックスフォード大学で、2位はアメリカのカリフォルニア工科大学とアメリカのハーバード大学など、13位までアメリカとイギリスの大学が占めています。

日本では
▽東京大学が35位、
▽京都大学が61位と100位以内は2つにとどまり、
▽201位から250位までに東北大学、
▽301位から350位までに大阪大学と東京工業大学、
▽501位から600位までに東京医科歯科大学などとなっています。

世界のランキングで日本の大学が苦戦するなかで今回の統合のインパクトは大きく、研究力の強化を巡って国内の大学に影響を及ぼすとみられます。

学生「研究の幅が広がる」「なしえなかったことできる」

東京工業大学で生命理工学を学ぶ1年生は「統合するというニュースにはとてもびっくりしました。自分の学んでいる分野は医学との関連性も大きく、これまでなしえなかった研究ができるのではないかと期待しています」と話していました。

情報通信を学ぶ3年生は「お互いの大学の強みや個性を潰すことなく、よりよい研究ができるような統合になればいいと思います。大学の名前が変わるかもしれないのが少し嫌ですが、医療機器や人工知能などおもに医療面の新たな開発につながると思います」と話していました。

また、東京医科歯科大学大学院の1年生の女性は「個人的には大賛成です。私が研究する分野だと機械には弱いので、そこの部分を補って頂けるとなると、さらに研究の幅が広がるのではないかと思います」と話していました。

大学5年生の男性は「統合するとなったと聞いてちょっとびっくりしました。分野が違うので、連携するというのは大事になってくると思う。研究などに関しては大事なことだと思うので、いいのではないかと思います」と話していました。

指定国立大学どうしの統合は実現すれば初めて

9日、統合に向けた協議を始めることを正式に発表した東京工業大学と東京医科歯科大学。2校の発表では「多面的な検証を要する判断で最終決定は両法人における協議に委ねられる」としています。

関係者によりますと、統合のあり方としては1つの大学になることや、運営法人のみ統合することなどを検討しているということです。

2つの大学はいずれも、研究力が国内最高水準だとして国が指定している「指定国立大学」のひとつで、10の大学しかない「指定国立大学」どうしの統合は、実現すれば初めてです。

国は大学の国際競争力を高めるために10兆円規模の「大学ファンド」を設立し、支援を受ける大学を年内に公募することにしています。

2つの大学はこのファンドへの応募も視野に入れ、統合構想を進めて理工学や医学、歯学などの分野で研究力をさらに高めるねらいがあるとみられます。