ロシア 米との核軍縮条約に基づく関連施設査察 一時停止を通告

ロシア政府は、アメリカとの核軍縮条約に基づく関連施設への査察の受け入れを一時的に停止することをアメリカ政府に通告したと発表しました。
アメリカの制裁などが原因だとしていて、ウクライナ情勢をめぐる米ロ間の対立が核軍縮にも影響を及ぼしています。

ロシア外務省は8日、声明を発表し、去年(2021年)延長することで合意したアメリカとの核軍縮条約「新START」に基づく関連施設への査察活動について一時的に査察の受け入れを停止することをアメリカ政府に通告したと発表しました。

この決定について、ロシア外務省は、「アメリカ政府はアメリカ領土での査察を実施する権利をロシアから奪おうとしているため、この手段に訴える必要がある」としていて、アメリカの制裁措置によってロシアの査察官のアメリカへの渡航などが難しくなり、条約に基づくロシア側の査察活動ができなくなっていると主張しています。

そのうえで、「今回の措置は一時的なものだ。ロシアは条約の全条項を順守することを約束している」として、アメリカ側に問題があると主張し、対応を求めました。

アメリカとロシアは、「新START」が4年後の2026年に失効するため、新たな核軍縮や軍備管理の枠組みに向けても去年から話し合ってきましたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて交渉は中断していて、世界の核大国である米ロの核軍縮にも影響を及ぼしています。