ウクライナ 原子力発電公社総裁「大惨事起きるおそれ」

ロシア軍が侵攻するウクライナのヨーロッパ最大規模の原子力発電所では連日、砲撃が続いていて、現地の原子力発電公社の総裁は「大惨事が起きるおそれがある」として、強い危機感を示しました。

ウクライナ南東部にあり、ロシア軍が掌握するヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所では5日以降、砲撃が相次いでいます。

ウクライナの原子力発電公社、エネルゴアトムのコティン総裁は8日、「今後とも、砲撃が続いて使用済み核燃料の保管容器が複数、損傷するなどした場合、福島第一原発やチョルノービリ原発レベルの大惨事が起きるおそれがある」と強い危機感を示し、発電所や周辺からロシア軍の部隊を撤退させる必要があると訴えました。

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は8日、「ウクライナ軍による原発への攻撃は潜在的に非常に危険だ。ウクライナ政府に影響力を持つ国々が攻撃を止めさせるべきだ」として、ウクライナ軍による攻撃だと主張し、双方の対立が続いています。

ザポリージャ州 親ロシア派が住民投票の実施へ準備開始

一方、ザポリージャ州では、親ロシア派勢力が8日、ロシアへの編入の賛否を問う住民投票の実施に向け準備を開始するとした政令に署名したと発表しました。

ウクライナでは、南部のヘルソン州でも住民投票の動きがでていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は7日、「ロシアの当局者が非合法的な住民投票の準備を加速させている可能性がある」と分析する一方、ウクライナ側の住民が抵抗を続けていて、ロシア側が投票の実施計画を常に変更する状況になっているとも指摘しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、住民投票が実施されればロシアとの交渉の道は断たれると述べるなど強く反発しています。