ウクライナ侵攻「停戦困難な状況 当面は人道支援で」国連総長

日本を訪れている国連のグテーレス事務総長は都内で記者会見を行い、ロシアによるウクライナ侵攻について、双方が譲歩できず停戦が困難な状況にあるという認識を示したうえで、国連として当面はさまざまな人道支援に向けた実務的な仲介に当たり、事態の打開につなげたいという考えを示しました。

広島市の平和記念式典に出席するため日本を訪れていた国連のグテーレス事務総長は8日、都内で記者会見を行いました。

この中で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化している現状について「領土を奪われることを受け入れられないウクライナと、占領した地域を併合するか独立させようとしているロシアとの間で、歩み寄りが見られない。停戦は極めて困難で、戦争が長引くことを非常に心配している」と述べ、強い懸念を示しました。

そのうえで「国連として強力な人道支援を行っており、これからもさまざまな問題の解決に向けた実務的な仲介を行う用意がある」と述べ、当面はさまざまな人道支援に向けた仲介に当たり、事態の打開につなげたいという考えを示しました。

また、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を行い緊張が続いていることについて「『一つの中国』を原則とする国連総会の決議を尊重しつつ、事態の平和的な解決を期待している。重要なのはそれぞれが常識ある自制的な態度で臨むことだ」と述べ、冷静な対応を呼びかけました。

グテーレス事務総長はまた、気候変動問題にも言及し、日本を含む一部の国が石炭火力発電への融資を続けている現状について「クリーンな石炭火力というものはない。日本の政府や企業が石炭火力への資金を完全に止めることを期待したい」と述べ、一層の取り組みを促しました。