「旧統一教会」との関わり 政治家や自治体などの説明は 対応は

先月8日、安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれて死亡した事件から8日で1か月です。

逮捕された山上徹也容疑者は、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会への恨みを募らせた末に事件を起こしたとみられています。

銃撃事件をきっかけに、旧統一教会と、政治家や自治体などとの関わりが相次いで明らかになっています。各議員や政党、自治体などは、それぞれどのように説明しているのか、またどのような対応を行っているのか、まとめました。

岸田首相 党所属議員に旧統一教会との関係の点検を指示

「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会との関わりをめぐり、岸田総理大臣は、8日の自民党の臨時役員会で党所属議員に対し、国民に疑念を持たれることがないよう、それぞれ関係を点検し、見直すよう指示しました。

旧統一教会と政治家との関係が相次いで明らかになる中、松野官房長官は、岸田総理大臣の意向を受け、8日の閣僚懇談会ですべての閣僚に対し、それぞれ関係を点検し、厳正な見直しを行うよう指示しました。

これに関連して、岸田総理大臣は、8日夕方に開かれた党の臨時役員会で「社会的に問題が指摘されている団体との関係は、十分に注意しなければならない」と指摘しました。

そのうえで「わが党の所属議員には、国民に疑念を持たれることのないよう政治家としての責任において、当該団体との関係を点検し、適正に見直してもらいたい」と述べました。

このあと茂木幹事長は、記者会見で「問題のある団体との関係は、本人が意識していなくても議員それぞれが適正であったかどうか考えなければならない。国民の関心が高い社会的な問題であり、わが党の国会議員は自覚を持って点検を行い見直し、これからは関係を持たないことが基本だ」と述べました。

岸防衛相「しっかり状況チェックしたい」

岸防衛大臣は、閣議のあとの記者会見で「松野官房長官から『しっかりと見直すように』という内容の指示があり、私のところもしっかり状況をチェックしたい」と述べました。

また、記者団が「旧統一教会の集会に電報を送ったり、ビデオメッセージを送ったりしたことはなかったのか」と質問したのに対し「そういうことはない」と述べました。

山口環境相 祝電 去年2件「今後は出さない」

山口環境大臣は今月5日の閣議後の記者会見で、過去に複数回、旧統一教会が関係するイベントに祝電を出していたことを明らかにしました。

これについて、8日の閣議後の記者会見で、祝電について確認できたのは去年の2件としたうえで、「ピースロードという夏のイベントとクリスマスのイベントのようだ。依頼を受けて出した」と述べました。

そのうえで、「旧統一教会と私は直接関わったことがない。過去に祝電を出したことが確認されたので、今後は出さない。出さないように指示を出した。今後は気をつけます」と述べました。

元参院議員 宮島氏 “友好団体から選挙で支援”

長野県出身の自民党の元参議院議員、宮島喜文氏が「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の友好団体から選挙で支援を受けていたことが議員事務所の元職員への取材でわかりました。

これは宮島氏の議員事務所の元職員が、本人の代理として取材に応じて明らかにしました。

長野県立の病院の副院長などを経て、日本臨床衛生検査技師会の会長を務めている宮島氏は、2016年の参議院選挙で、自民党から比例代表で立候補し、12万票余りを獲得して初当選しました。

元職員によりますと、この選挙で旧統一教会の友好団体、「世界平和連合」の支援を受けたということです。

宮島氏は、別の国会議員から、選挙で支援してもらえる団体として紹介を受け、協力を依頼したということです。

このときの経緯について、元職員は「選挙や政界について全くの素人ばかりでどうしたものかと思案していたので、非常に心強かったことを覚えている」と話しました。

この団体の支援による得票数は把握していないとしていますが、当選後、定期的に連絡が来るようになり、宮島氏は旧統一教会の関係者が集まるイベントやセミナーに参加してあいさつをしたり、祝電を送ったりしたということです。

一方、元職員によりますと、宮島氏は、ことしの参議院選挙で再選を目指していましたが、所属していた派閥から前回のような選挙協力は難しいと言われたことや、支持基盤の技師会が新型コロナの対応に追われていたことなどから、自民党の公認を辞退し立候補を断念したということです。

各政党の説明は

自民党

自民党は、旧統一教会と組織的な関係は一切ないと説明しています。

ただ、岸防衛大臣が、関係者に選挙活動を手伝ってもらったことがあると公表したのをはじめ、安倍派の議員を中心に、選挙の支援を受けたり、関連団体のイベントに出席したりしていたことが、相次いで明らかになっています。

また、旧統一教会の名称変更が認証された当時、文部科学大臣を務めていた下村前政務調査会は、みずからの関与を否定する一方、関連団体から献金を受けていたことを明らかにしました。

党内からは「政権へのダメージを避けるためにも区切りをつける必要がある」として、所属議員への調査が必要だと指摘する声も出ていてます。

こうしたことも踏まえ、岸田総理大臣は、8日の臨時役員会で党所属議員に対し、国民に疑念を持たれることがないよう、それぞれ関係を点検し、見直すよう指示しました。

公明党

公明党は、党として独自の調査はしていないものの、石川博崇・参議院議員が関連団体のセミナーに秘書が代理出席したり、祝電を送ったりしたことを認めています。

党幹部は、ほかに接点のある議員はいないとしています。

立憲民主党

立憲民主党は、党所属の国会議員などを対象に行った調査の結果、関わりが確認された国会議員は8人だったことを公表しています。

原口一博・元総務大臣の秘書が関係団体の会合に代理出席していたほか、ほかの議員は、祝電を送ったり会費を支払ったりしていたということです。

教会側からの献金や選挙活動への支援はなかったとしています。

日本維新の会

日本維新の会は、国会議員を対象に調査した結果、関連団体のイベントへの出席や会合での講演など、15人が何らかの関係があったと公表しました。

馬場共同代表や藤田幹事長、足立・国会議員団政務調査会長らが含まれています。

関連団体から寄付を受けたことはなく、組織的な支援はなかったとしています。

共産党

共産党は、旧統一教会と「一切関わりがない」としています。

国民民主党

国民民主党は、玉木代表が、平成28年に旧統一教会の関係団体「世界日報」の元社長から3万円の寄付を受けたことを明らかにしています。

れいわ新選組

れいわ新選組は、党所属の国会議員への調査の結果、関係は確認されなかったとしています。

地方の政治・行政との関係は

富山市 藤井市長 “市長選で関連団体から支援”

富山市の藤井裕久市長は、今月3日の記者会見で、みずからが初当選した去年の4月の市長選挙をめぐり、「世界平和統一家庭連合」=旧統一教会の関連団体から支援を受けていたことを明らかにしました。

具体的には、後援会への勧誘活動で支援を受けたほか、選挙期間中には投票を依頼する電話かけを旧統一教会の関連団体の関係者に手伝ってもらったり、旧統一教会の施設で開かれた集会に参加し、スピーチしたりしたということです。

また、ことし6月には旧統一教会の関連団体、「富山県平和大使協議会」の申し出を受け、団体の会合で、市政について市長みずからが報告する「出前トーク」という催しを開いたほか、終了後には、団体が市長の後援会を立ち上げることを決議したということです。

さらに、藤井市長は、旧統一教会の関連団体が開いたイベントについて、富山市と富山市教育委員会を合わせて今年度に2件、昨年度に4件、後援したことも明らかにしました。

会見で藤井市長は、「相手の活動内容をしっかり把握するということに欠けていた。今後はしっかり調査し、これまで以上に慎重な対応を図りたい」と述べました。

静岡県浜松市 市創設の基金に寄付受ける

静岡県浜松市は、「世界平和統一家庭連合」=旧統一教会の「浜松家庭教会」から、社会福祉事業の充実を図るために創設した「浜松市友愛の福祉基金」に寄付を受けていました。

「チャリティーイベントで集めた募金の一部を社会福祉のために役立ててほしい」と説明を受け、2019年1月からことし6月の間に3回にわたって合わせて48万円余りの寄付を受けたということです。

浜松市福祉総務課の渡辺貴史課長は、「旧統一教会だという認識はあったが、霊感商法や多額の献金が当時は社会問題として表面化しておらず、まだ続いている問題なのかは分からなかった。宗教団体だからといって寄付を受けないわけではなく、実際にイベントが行われたかやその内容などを確認したうえで受け取った」と話しています。

浜松市は対応を改めて検討した結果、今後は団体からの寄付を受け取らない方針を決めたということです。
浜松市の鈴木康友市長はNHKの取材に対し、「事件をきっかけに団体の持つ性質が大きく報道され、明るみに出たので、これからは関わり方を変えていかなければいけない。基本的に寄付を受けない、お断りするという方針で臨んでいきたい」と述べました。

旧統一教会「組織的応援ないが友好団体はそのかぎりでない」

「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会は、選挙での支援について、「特定の政党ならびに特定の候補者を組織的に応援することはありません。ほかの友好団体においてはそのかぎりではございません。なお、信徒個人が思想信条の自由によって行う、個人的な政治活動については把握することができません」とコメントしています。

専門家「政治家は関係うやむやにせず、断つ必要ある」

現代日本の政治を専門とする立命館大学の上久保誠人教授はNHKの取材に対し、旧統一教会と政治家との関係について「“霊感商法”などで社会的に問題となった団体に政治家が関わることで、教団に社会的な信用を与えているというのが問題だ。被害者もたくさんいる中で、結果として教団側を助けることになっている。反社会的行動をしていた団体であるということが重要で政治家は関係をうやむやにするのではなく、断つ必要がある」と指摘しました。

そのうえで「特に関係した議員が多い自民党は、首相や党の幹部がリーダーシップをとって、一人一人の議員に検証や説明をきちんとさせて関係性を正すことが重要だ。また、国会で徹底的に議論に応じるべきだ」と述べました。