ウクライナ 貨物船4隻が新たに出港 輸出再開が加速するか焦点

ウクライナ南部の港からは、トルコと国連の仲介による合意を受けて、農産物を積んだ4隻の貨物船が新たに出港しました。世界的な食料危機への懸念が続く中、輸出再開の動きが加速するかが焦点です。

ウクライナではロシア軍による封鎖で黒海に面する南部の港から農産物の輸出が滞っていましたが、先月トルコと国連の仲介によって輸出再開で合意しました。

これを受けて今月1日と5日、穀物を積んだ船、合わせて4隻が南部の港から出発しましたが、トルコ国防省は7日、さらにトウモロコシやひまわり油などを積んだ4隻の船も新たに出港し、中国やイタリアなどに向かうと発表しました。

また、ウクライナのインフラ省は7日、ロシアによる軍事侵攻後、初めてウクライナの港に貨物船が入港したと明らかにしました。

クブラコフ・インフラ相は「『穀物回廊』が港の出入りの両方に使えるようになったと言える」と強調しました。

ロシアのプーチン大統領はウクライナからの輸出の継続に協力する姿勢を示す一方、ロシア産の穀物と肥料の輸出についても妨げられないようにする必要があると欧米側の制裁をけん制していて、世界的な食料危機への懸念が続く中、輸出再開の動きが加速するかが焦点です。

一方、ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムは、ロシア軍が南東部にあるザポリージャ原子力発電所の周辺を6日再び攻撃し、使用済み核燃料の貯蔵施設近くが砲撃されたと発表しました。
エネルゴアトムは「核の大惨事は奇跡的に免れたが奇跡は永遠には続かない」としてロシア軍の即時撤退などを改めて求めました。

これに対して、ロシア側はウクライナ側が再び原発を攻撃したと主張し、反論しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「ロシア軍は、ウクライナに軍事支援を行う欧米の意欲を低下させるため核の災害に対する恐怖に乗じて原発を利用しているとみられる。ウクライナ側の攻撃を防ぐために『核の盾』としても原発を利用している」とする見方を示しています。