【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

ロシア大統領府報道官「住民投票は住民が計画」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は8日、ロシアが掌握したとするウクライナ南部のヘルソン州や南東部のザポリージャ州で、ロシアへの編入の賛否を問う住民投票を実施する動きがあることについて、「これは住民が計画しているものだ。私たちが実施するのではない」と述べ、ロシアが主導しているものではないと主張しました。

そして、ウクライナのゼレンスキー大統領が7日、住民投票が実施されれば、ウクライナとの交渉の道は断たれると述べたことについて「ロシアに対して言っているのであれば間違っている。ウクライナ側はなぜウクライナに住みたくないと思う人がこれほど多いのか自国民に問いかけるべきだ」と述べ、ロシアへの批判はあたらないと強調しました。

ウクライナでは、8年前(2014年)南部のクリミアでロシアによる軍事力を背景に一方的に住民投票が行われ、プーチン大統領はその結果を根拠に併合の正当性を主張しています。

ウクライナからの穀物積んだ貨物船到着 合意後初

トルコに駐在するウクライナのボドナル大使は8日、ウクライナからのトウモロコシ1万2000トンを載せた貨物船が、トルコ西部コジャエリの港に入ったと発表しました。

ウクライナではロシア軍による封鎖で黒海に面する南部の港からの農産物の輸出が滞っていましたが先月トルコと国連の仲介でロシアとウクライナが合意し、輸出が再開されました。

合意後、ウクライナからの穀物を積んだ貨物船が国外に到着するのはこれが初めてです。

今月1日以降、ウクライナからは穀物を積んだ貨物船合わせて10隻が相次いで出港していて、農産物の本格的な輸出再開につながるかが焦点です。

一方、今回、到着した船よりも先にウクライナを出て、中東のレバノンに向かっていた貨物船についてレバノンの当局者は「今の段階で、貨物船から入港を求める連絡は受けていない」として、到着の見通しが立っていないとしています。

国連 グテーレス事務総長「停戦 極めて困難」侵攻長期化に懸念

広島市の平和記念式典に出席するため日本を訪れている国連のグテーレス事務総長は8日、都内で記者会見を行いました。

この中でロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化している現状について「領土を奪われることを受け入れられないウクライナと占領した地域を併合するか独立させようとしているロシアとの間で、歩み寄りが見られない。停戦は極めて困難で、戦争が長引くことを非常に心配している」と述べ、強い懸念を示しました。

そのうえで「国連として強力な人道支援を行っており、これからもさまざまな問題の解決に向けた実務的な仲介を行う用意がある」と述べ、当面はさまざまな人道支援に向けた仲介にあたり事態の打開につなげたいという考えを示しました。

「サハリン1」の 権益を維持する考え 経産相

日本勢が権益を保有する石油・天然ガスの開発プロジェクト「サハリン1」をめぐって、ロシアのプーチン大統領が5日、非友好国と位置づける国の企業などに株式の売却などを禁止する大統領令に署名したことについて、萩生田経済産業大臣は詳細は確認中だとしたうえで、権益を維持する考えを改めて示しました。

ロシアのプーチン大統領は5日、大統領令に署名してロシアがアメリカや日本を含めて非友好国と位置づける国の企業などにロシア企業の株式を売却することなどを年内まで禁止するとし、対象は、日本勢が権益を保有する石油・天然ガスの開発プロジェクト「サハリン1」も含まれるとしています。
これについて、萩生田経済産業大臣は8日の閣議のあとの記者会見で「現在は詳細を確認中で、その影響について予断を持ってコメントするのを差し控えたいが、原油輸入のおよそ9割を中東に依存する日本にとって、サハリン1は貴重な中東以外の調達先である」と述べました。

そのうえで「われわれとしては日本の基本方針のとおり権益を維持していくということで何ら状況に変更はない」として、サハリン1の権益を維持する考えを改めて示しました。

ゼレンスキー大統領「見せかけの住民投票 交渉可能性を閉ざす」

ロシアは、すでに掌握したとしているウクライナの地域で支配の既成事実化を進める動きを強めていて、南部の一部の地域ではロシアへの編入の賛否を問う見せかけの住民投票が実施される動きがあるとアメリカ政府などは警戒しています。

これに関連してゼレンスキー大統領は7日に公開した動画で「占領者が偽りの投票を行う道を進めば、ウクライナや自由主義の国と交渉する可能性をみずから閉ざすことになる」と述べ、住民投票の実施に踏み切れば、いずれロシアにとっても必要となるウクライナや欧米側との交渉の道は断たれるとしてロシア側をけん制しました。

原発攻撃 ゼレンスキー大統領がロシアを改めて非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は、南東部のザポリージャ原子力発電所の周辺に攻撃があったことについて、ロシアを改めて非難するとともに「国際社会の確固たる対応が今すぐに必要だ」と訴えました。ロシア軍が占拠するヨーロッパ最大規模の原発ザポリージャ原発では、今月5日以降攻撃があり、ウクライナ・ロシア双方が「相手の攻撃だ」と主張しています。

人権団体“アムネスティ” ウクライナ事務所代表が辞任

国際的な人権団体の「アムネスティ・インターナショナル」が、ウクライナ軍が市民を危険にさらす戦術をとっているとして国際人道法に違反しているという調査結果を公表したことを受けて、この団体のウクライナ事務所の代表ポカルチュク氏は5日、辞任したことを明らかにしました。ポカルチュク氏はSNSへの投稿で「調査結果はロシアのプロパガンダの道具になってしまった」と指摘していて、辞任は抗議の意思を示した形とみられます。

ウクライナから貨物船4隻が新たに出港

7日、ウクライナ南部の港からトウモロコシやひまわり油などを積んだ4隻の貨物船が新たに出港し、中国やイタリアなどに向かいました。世界的な食料危機への懸念が続く中、輸出再開の動きが加速するかが焦点です。

“ロシア軍 ザポリージャ原発を再び攻撃” ウクライナ原発公社

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムは、ロシア軍が、南東部にあるザポリージャ原子力発電所の周辺を6日再び攻撃し、使用済み核燃料の貯蔵施設近くが砲撃されたと発表しました。ロシア軍が占拠するヨーロッパ最大規模の原発ザポリージャ原発では今月5日にも砲撃があり、ウクライナ・ロシア双方が「相手の攻撃だ」と主張しています。
エネルゴアトムは7日SNSを更新し「6日午後、ロシア側が再びザポリージャ原発付近を砲撃した」としたうえで、職員1人がけがをして病院に搬送されたほか、使用済み核燃料の貯蔵施設の近くに設置されたモニタリング装置3つが損傷し、放射性物質の漏れなどが即時に検知できなくなっていると発表しました。
一方、ロシア国営のタス通信は「ウクライナ側が再びザポリージャ原発を攻撃した」と主張するロシア側の見解を伝え、反論しています。

ウクライナの港に貨物船が入港 軍事侵攻後初めて

ウクライナのインフラ省は7日、ロシアによる侵攻開始後初めてウクライナの港に貨物船が入港したとフェイスブック上で明らかにしました。この貨物船は、バルバドス船籍のばら積み船で、黒海に面する南部のチョルノモルシク港に入りすでに積み込み準備が完了したとしています。
クブラコフ・インフラ相は「『穀物回廊』が港の出入りの両方に使えるようになったと言える。1か月あたり300万トンの農産物の輸送に向けて、来週には最大の港の使用も始める」と投稿し、輸出再開の動きを加速したい意向を示しました。