【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月6日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ウクライナ南部の支配地域に戦車移動 戦闘一段と激化か

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を巡っては南部を中心にウクライナ軍が反撃しているとみられ、イギリス国防省は6日、「ウクライナ軍が南部の地域でロシア軍が補給ルートとする橋や鉄道網などを標的に攻撃する回数を増やしている」と指摘しました。

また、ロシア軍はウクライナ軍からの反撃に備えてほぼ間違いなく南部に軍を集結させていて、東部ドンバス地域から戦車など兵力を移動させ、南部ヘルソンのロシア軍の支援にあてられるだろうと分析しています。

そのうえで「ウクライナでの戦争は新しい局面を迎えようとしている。最も激しい戦闘は、ザポリージャ付近からヘルソンに至るおよそ350キロの前線に移っている」として、南部や南東部を中心に戦闘が一段と激しくなるという見方を示しました。

中ロ外相 両国の関係強化で一致 ASEAN外相会議

ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の外相会議でカンボジアを訪れていた中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相は5日、およそ40分にわたって会談を行い、両国の関係を強化することで一致しました。

中国外務省の発表によりますと、会談では台湾について、王外相が中国の立場を説明したうえで「ロシアが即座にかつ、改めて『1つの中国』の原則を断固として支持し、中国の主権と領土保全を侵害するいかなる行為について反対していることを評価する」と述べたということです。

これに対し、ラブロフ外相は「アメリカは常に横暴で、その覇権主義的な政策は国際社会の共通認識に逆らっていて、未来はない」と応じ、中国とロシアの協力関係を引き続き強化していくことで一致しました。

台湾をめぐって、アメリカへの反発を強める中国としては、ロシアとの協力関係が揺るぎないことを確認し、支援を取り付けたいねらいがあるとみられます。

ザポリージャ原子力発電所で砲撃 双方が非難

ウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所近くで5日、砲撃があり、ウクライナ側とロシア側は相手が攻撃したと互いを非難しあっていて、発電所を巡り国際社会の懸念が深まっています。

ウクライナの原子力発電公社、エネルゴアトムなどによりますと5日、ロシア軍が掌握しているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所の送電線が、砲撃によって損傷しました。

発電所は引き続き稼働していて、この砲撃による放射能漏れは検出されていません。

この砲撃について、エネルゴアトムは「ロシア側が砲撃した」と主張し、ウクライナのゼレンスキー大統領も、5日に公開した動画で、「この原発に対する攻撃は、いかなるものであれあからさまな犯罪であり、テロ行為だ」と述べ、強く非難しました。

一方、ロシア国防省は「ウクライナ側の砲撃だ」と主張しています。

ザポリージャ原子力発電所はことし3月からロシア軍に掌握されていて、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、1日の声明で、施設の安全な運営が困難になっているなどとして、「発電所での状況は日に日に深刻になっていて危険な状態だ」と警告しています。

プーチン大統領 “ロシア産の穀物も制裁に妨げられず輸出を”

ロシアのプーチン大統領は5日、ロシア南部のソチを訪れたトルコのエルドアン大統領と会談しました。

ウクライナでは、ロシア軍による封鎖で黒海に面する南部の港から農産物の輸出が滞っていますが、先月、トルコと国連の仲介によって輸出再開で合意しました。

会談の冒頭、プーチン大統領は「ウクライナからの穀物輸出は、あなたと国連事務総長の仲介で解決され供給が始まった」と述べ、謝意を示しました。

会談後、ロシア大統領府が発表した共同声明でも、ウクライナ産の穀物の輸出継続に向けて協力する姿勢を示す一方、ロシアからの穀物と肥料の輸出についても妨げられないようにする必要があると強調していて、欧米側の制裁をけん制した形です。

ロシア政府が「サハリン2」事業を引き継ぐ新企業を設立

日本の大手商社も出資するロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」を巡り、ロシア政府は5日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設立しました。

ロシア政府は5日、石油・天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」を巡り、これまでの運営会社から事業を引き継ぐ新たなロシア企業「サハリンスカヤ・エネルギヤ」を設置したと発表しました。

プーチン大統領はことし6月、「サハリン2」の事業主体を、新たに設立するロシア企業に変更することなどを命じる大統領令に署名し、株主は、新会社の設立から1か月以内に、株式の譲渡に同意するかどうかロシア側に通知する必要があるとしていました。

日本の大手商社、三井物産と三菱商事もそれぞれ出資していることから日本側は、対応を迫られることになります。

「サハリン1」めぐっても株式売却禁止を署名

プーチン大統領は、「サハリン1」を巡っても非友好国と位置づける国の企業などがロシア企業の株式を売却することなどを禁止する大統領令に署名し、ロシアに対して制裁を科す欧米や日本への対抗措置とみられます。

さらに、プーチン大統領は5日、大統領令に署名し、ロシアがアメリカや日本を含めて非友好国と位置づける国の企業などが、ロシア企業の株式を売却することなどをことし12月31日まで禁止するとしました。

対象は、伊藤忠商事や丸紅なども参加する形でサハリン沖で進められている石油・天然ガス開発事業「サハリン1」も含まれるとしています。

サハリン1を巡っては、アメリカの大手石油会社エクソンモービルが撤退を表明するなか、ロシア側としては非友好国とする企業のさらなる撤退などを防ぐ思惑もあるとみられます。

サハリン1、2をめぐる一連の動きは、ロシアに対して制裁を科す欧米や日本などへの対抗措置とみられます。

ウクライナ南部を中心にウクライナ軍が反撃

ウクライナの戦況では、南部を中心にウクライナ軍も反撃していて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日「ウクライナが戦略の主導権を握り、ロシア軍はウクライナ軍の反撃に対応して戦力の再配置などを余儀なくされているようだ。ウクライナが初めて積極的に戦況をつくることを可能にしているとみられる」と指摘しました。

具体的には、ロシア軍は掌握を目指してきた東部ドネツク州で、ウクライナ側の拠点、スロビャンシクなどの攻略を断念したとみられる一方で、ウクライナ軍が反撃を続ける南部ヘルソン州や南東部ザポリージャ州を防衛するため、部隊や装備の移転を進めているとしています。

また、ロシアが一方的に併合した南部クリミアについてもロシア軍は大砲や航空機などを再配備していると指摘し、欧米からの兵器を活用したウクライナ軍の反撃への対応に追われている可能性が出ています。

ゼレンスキー大統領 “原発に対する攻撃はテロ行為”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、5日に公開した動画で、ロシア軍が掌握しているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所に触れ「きょう、占領者たちは、ザポリージャ原発を2度も攻撃し、ヨーロッパのすべての人たちにとって極めて危険な状況を作り出した。この原発に対する攻撃は、いかなるものであれあからさまな犯罪であり、テロ行為だ」と述べ、攻撃はロシアによるものだとして強く非難しました。

そのうえで「ロシアは、原発に脅威をもたらしたまぎれもない事実に対して、責任を負わなければならない」と訴えました。

ザポリージャ原子力発電所の送電線 砲撃で損傷

ウクライナの原子力発電公社、エネルゴアトムなどによりますとロシア軍が掌握しているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所の送電線が、5日、砲撃によって損傷したということです。

発電所は引き続き稼働していて、この砲撃による放射能漏れは検出されていないということです。

この砲撃について、エネルゴアトムは「ロシア側が砲撃した」と主張していますが、ロイター通信によりますと、ロシア側は「ウクライナ側の砲撃だ」と主張しているということです。

ザポリージャ原子力発電所は、ロシア軍によってことし3月から占領されていて、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、1日の声明で、
施設の安全性の維持が侵害されているなどとして、「発電所での状況は日に日に深刻になっていて危険な状態だ」と警告しています。