プーチン大統領署名 “非友好国に株式売却禁止”サハリン1含む

ロシアのプーチン大統領は5日、ロシアが非友好国と位置づける国などとの経済活動に関連した大統領令に署名しました。

ロシア国営のタス通信によりますと、大統領令は、ロシアが、アメリカや日本を含めて非友好国と位置づける国の一部の個人や団体が、ロシア企業の株式を売却することなどをことし12月31日まで禁止するとしています。

禁止の対象は、日本の伊藤忠商事や丸紅といった大手商社なども参加する形で、ロシア極東のサハリン沖で進められている石油・天然ガス開発事業「サハリン1」が含まれるとしています。

プーチン大統領は、ことし6月、日本のほかの商社が出資している「サハリン2」についても、事業主体を、新たに設立するロシア企業に変更し、その資産を新会社に無償で譲渡することを命じる大統領令に署名しています。

経済産業省 情報収集進める

経済産業省は、情報収集を進めるとともに、日本勢が権益を保有する「サハリン1」の事業への影響などを分析し、今後の対応を検討することにしています。

「サハリン1」とは

「サハリン1」は、「サハリン2」とともにロシア極東のサハリン北東沖で行われている石油と天然ガスの開発プロジェクトです。

総事業費は120億ドル、日本円で1兆6000億円を超え、アメリカ、ロシア、インド、日本が参加しています。

中心となっているのは、アメリカの石油大手「エクソンモービル」で、権益の比率は30%。

それに、ロシアの国営石油会社が20%、インドの国営石油会社が20%となっています。

日本勢は政府が50%を出資する「SODECO・サハリン石油ガス開発」に大手商社の「伊藤忠商事」と「丸紅」、それに「石油資源開発」などが参加し、この会社を通じてプロジェクトの30%の権益を保有しています。

このうち、アメリカの石油大手「エクソンモービル」は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ことし3月にプロジェクトからの撤退を表明しています。

2005年以降、3つの油田で原油の生産が行われていて、200キロ余り離れた極東ハバロフスク地方の沿岸にある出荷ターミナルまでパイプラインで輸送し、そこから日本などにタンカーで輸出しています。

今後、天然ガスも開発し、LNG=液化天然ガスを日本などへ輸出することなどが検討されています。