ロシア政府 「サハリン2」引き継ぐ新企業の設立を発表

日本の大手商社も出資するロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」をめぐり、ロシア政府は5日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設置したと発表しました。
日本側は、1か月以内に株式の譲渡に同意するかどうか通知する必要があり対応が迫られることになります。

ロシア政府は5日、石油・天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」をめぐり、これまでの運営会社から事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設置したと発表しました。

新たな会社は「サハリンスカヤ・エネルギヤ」で、これまで事業主体だった「サハリンエナジー」をロシア語にした名称となっています。

本社は、これまでも事務所があったサハリン州の州都ユジノサハリンスクに置き、社長には「サハリンエナジー」の幹部だったアンドレイ・オレイニコフ氏が就任するとしています。

「サハリン2」をめぐっては、プーチン大統領が6月30日、事業主体を新たに設立するロシア企業に変更し、その資産を新会社に無償で譲渡することを命じる大統領令に署名しました。

大統領令では、ロシアの政府系ガス会社ガスプロムを除く株主は、新会社の設立から1か月以内に、株式の譲渡に同意するかどうかロシア側に通知する必要があるとしています。

「サハリンエナジー」には、日本から三井物産が12.5%、三菱商事が10%それぞれ出資しており、日本側は、対応が迫られることになります。

日本の政府と商社の対応は

日本側の今後の対応について萩生田経済産業大臣は、5日の閣議のあとの会見で「サハリン2」に出資する大手商社の三井物産と三菱商事に対して新会社への参画を前向きに検討するよう要請したことを明らかにしました。

政府は「サハリン2」を日本の電力やガスの安定供給の観点から重要なプロジェクトだと位置づけていて、日本企業の権益を守り、現地で生産されるLNG=液化天然ガスの安定供給が確保できるよう官民一体で対応する方針です。

政府と大手商社は、ロシア側から今後どのような条件が示されるのかを見極めたうえで、大手商社の新会社への参画について最終的に判断することにしています。