社会

手足口病 RSウイルスなど子どもに増加 症状は コロナと違いは

新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、その一方で、子どもの間で流行するほかの感染症も増加しているんです。中には、新型コロナと同時にほかの感染症にかかる子どももいるということで医師は危機感を強めています。

4歳の女の子 新型コロナだけではなく‥

東京 大田区にある小児科の発熱外来では、一日に受診する患者の数が先月の同じ時期の2倍以上に増えていて、4日に発熱外来を受診した20人中、11人が新型コロナに感染していたということです。

このうち、発熱やせきなどの症状で受診した4歳の女の子は、検査の結果、新型コロナに感染していることがわかりました。

この女の子は2週間前にも発熱して「ヒトメタニューモウイルス感染症」と診断され、回復したばかりだったということです。

母親は「前回よりも急激に熱が上がったので今度はコロナかもと思ったがやはりそうだった。帰省の予定もキャンセルして休ませたい」と話していました。

また、この日は0歳の赤ちゃん2人がRSウイルス感染症と診断されました。2人は症状が重く、病院に入院したということです。
診察にあたる神川小児科クリニックの神川晃医師によりますと、新型コロナと同時に別の感染症にかかる子どももいるということです。

先週発熱した2歳の男の子は、検査で新型コロナに感染していることがわかりましたが、その後、体に発疹が出始め、3日後に再び受診したところ、「手足口病」にも感染していたことがわかったということです。

専門家によりますと別のウイルスに同時に感染すると症状が重くなったり、長引いたりするおそれがあるということで、神川医師は「症状が重くなって、入院が必要になっても、入院する先の病院の受け入れが難しくなっているので厳しい状況だ」と危機感を強めています。

微熱とせきの症状 コロナ陰性でも

東京 杉並区の「たむら医院」では、先月以降、検査を希望する患者が殺到しています。

通常の診察室とは別に屋外の通路に発熱外来を設けていますが、患者の増加に対応しきれないため、「第7波」からは予約数に上限を設けていて、5日も午前9時前にインターネットで予約が始まると、1分余りの間に午前中の分の予約がすべて埋まっていました。

先月はコロナの検査を受けたおよそ1000人のうち半数以上の530人の感染が確認されたということです。

子どもの間では新型コロナ以外の感染症も広がっていて、5日、微熱とせきの症状で訪れた3歳の男の子は新型コロナは陰性でしたがヒトメタニューモウイルスへの感染が確認されました。

クリニックでは、感染拡大の防止や来院する患者の負担を軽減するためオンライン診療も活用しているということです。
田村剛院長は「子どもの間で夏かぜがはやっていた中でコロナの感染が拡大し、患者があふれて診きれないという状況です」と話していました。

そのうえで田村院長は、より緊急性が高い病気にかかった子どもが速やかに診療を受けられないおそれがあるとして、「幅広い医療機関で発熱患者を診療できる体制を作る必要がある」と指摘していました。

手足口病 毎週1000人前後の増加

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、主に子どもが感染する「RSウイルス感染症」や「手足口病」などの感染も増加していることが国立感染症研究所などのまとめでわかりました。
国立感染症研究所や厚生労働省がまとめている「感染症週報」によりますと全国およそ3000の小児科の医療機関で先月24日までの1週間に熱やせきなどかぜのような症状が出る「RSウイルス感染症」と診断された患者は7170人で前の週より154人増えました。特に先月以降、急速に増え、6月下旬と比べると4倍近くに増えています。

また夏の時期に流行する手や足、それに口の中に発疹ができる「手足口病」は6684人で前の週より897人増えました。6月下旬以降は毎週1000人前後のペースで増えています。

このほか発熱や口の奥に水ぶくれができる「ヘルパンギーナ」は1682人で前の週より111人増えていて、特に6月以降、増加を続けています。

気をつけたい感染症は

子どもの間で流行する感染症として代表的なのは「RSウイルス感染症」や、「手足口病」などです。

「RSウイルス感染症」は発熱やせきなどかぜのような症状が出る病気で、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼすべての子どもが少なくとも1度は感染するとされています。

初めて感染したときは2割から3割が、肺炎や気管支炎を起こすと言われ、特に生後数か月の赤ちゃんでは症状が重くなることがあります。
「手足口病」は手や足、それに口の中に発疹ができるウイルス性の感染症で、主に5歳以下の子どもが感染し、軽い熱が出ることもあります。

通常は3日から1週間ほどで回復しますが、まれに髄膜炎や脳炎などを引き起こすことがあります。

このほか「ヘルパンギーナ」は1歳から4歳くらいの子どもがかかりやすく、夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、38度を超える発熱や、口の奥に水ぶくれができてのどが痛むのが特徴です。

また「ヒトメタニューモウイルス感染症」は、発熱やせきなどの症状が出る病気で、「RSウイルス感染症」の症状に似ています。

乳幼児や高齢者がかかると肺炎や気管支炎を引き起こすことがあります。

これらの感染症は、感染している人がせきやくしゃみをした際の飛まつを吸い込んだり、ウイルスが付着したものを触った手で目や鼻、それに口に触れたりすることで感染するため、こまめな手洗いや、みんなで使うおもちゃなどの消毒といった基本的な感染対策が重要です。

子どもが発熱 そのときどうしたら

日本小児感染症学会の理事長で、長崎大学の森内浩幸教授は、「新型コロナと、それ以外の子どもの感染症は、臨床的な特徴が非常に似ているので、症状から区別することは難しいケースが多い。また、新型コロナとそれ以外の感染症に同時に感染していることもあるので、子どもに発熱などの症状が出た場合は、何の病気なのかという点にこだわらず、まずは、子どもの状態をしっかり観察してほしい」と話しています。
そのうえで、これまでかぜをひいたときと比べて、子どもの食欲や、機嫌に変化がない場合は、急いで受診する必要はないとしたうえで「小児科の発熱外来がひっ迫し、診察までに何時間も待つような場合では、診察を待っている間に悪くなるおそれもあるので、自宅で、快適な状態で休ませたほうがいい。医療機関を受診しなくても、年齢に応じて薬局で市販されている解熱鎮痛薬などを買うこともできる」と話しています。

一方で「夏場に感染症にかかると脱水症状になりやすいため、飲食ができずぐったりしていたり、おしっこの出が悪かったりする場合は、必ず医療機関を受診してほしい」としています。

また、現在感染が拡大している新型コロナのオミクロン株に感染した子どもでは発熱に伴って意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしたりするケースが報告されているということです。

また、のどの奥に炎症を起こし、子犬が鳴くようなせきが出たり、声がかすれたりするクループと呼ばれる症状も出ることがあるといいます。

森内教授は「こうした症状が出た場合、重症化のリスクがあるので、受診が必要だ」としています。

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