中国軍 台湾周辺で演習開始 与那国島の漁業者から不安の声

中国軍は4日から、台湾を取り囲むように設けた6つの区域で軍事演習を開始しました。島の南北に演習の区域がある沖縄県与那国島ではふだんどおり漁が行われていますが、漁業者からは不安の声も聞かれました。

中国軍はアメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことに対抗する形で、日本時間の4日午後1時から台湾周辺で軍事演習を開始しました。

軍事演習が行われる区域は台湾を取り囲むように6か所設定されていて、沖縄県の与那国島はこのうち1か所から南東に60キロ余りしか離れていません。

軍事演習が始まった4日午後1時以降、与那国島からは周辺の海や空の様子に目立った変化は見られませんでした。

久部良地区の漁港からは4日もふだんどおり、船が漁や外国船の監視に出ていて、与那国島から北に50キロほどの海から戻ってきた男性は「海の様子はふだんと変わらず、中国の船なども見かけませんでした」と話していました。

また、5日に漁に出るという男性は「きょうは注意を呼びかける無線が頻繁に流れていたり、今までの台湾の演習とは違うので怖いです」と話していました。

与那国町によりますと、今回の演習についてこれまで国や県から連絡はないということです。

与那国町長「国や県から情報が何もない」

糸数健一町長は「情報を出せないのか、対応を決めかねているのか分からないが、国や県から情報が何もなく、どういった対応をしなさいという指示もない。不安をあおるようなことはあまり言いたくないが、演習の延長線上に有事があるのだから、対応がどうなってるのか、町民も不安に思っているはずだ」と話していました。

演習区域と漁場が近接する石垣島の漁協は

沖縄県石垣島にある八重山漁業協同組合は今回、中国が設定した軍事演習を行う区域の一部が漁場と近接しているとしています。

漁協によりますと与那国島の南方にあるこの漁場は「沖ノ中ノソネ」と呼ばれ、今月から漁が解禁になったため、多くの漁業者が漁に向かう可能性があるということです。

八重山漁業協同組合の新城和彦参事は「きのうの報道で軍事演習のことを知り、驚いています。命の危険にさらされるのではないかと非常に危惧しています。実弾演習と聞いているので、船ごと大惨事にならないか、とても心配です。漁業者には近寄ると危険だと伝え、場合によっては近辺での漁を控えてもらうことになるかもしれません」と話していました。

漁協では海上保安部など関係機関からの情報などを収集し、対応を協議することにしています。

3日にこの漁場のそばで漁をしていたという伊礼正一さん(74)は「きのうの朝は上空を飛行機が何度も通っているのを見ました。距離は遠いけど好漁場なので、早く収まって安心して漁に出られたらいいと思います」と話していました。