新型コロナ 訪問介護にも影響 抗原検査キットが不足のところも

新型コロナウイルスの感染拡大は訪問介護の現場にも影響を及ぼしています。

東京 新宿区の訪問介護事業所では「第7波」で感染したり濃厚接触者になったりした利用者がおよそ10人に上りますが、ヘルパーが防護服を着るなどしてサービスを継続しているということです。

このうち、都内に住む高橋秀子さん(72)は、要介護4でリウマチなどの影響で手足を動かしにくいため日常生活を送るうえで介護は欠かせません。

高橋さんは一緒に食事をした男性が感染して濃厚接触者になったため、ヘルパーの女性は防護服や医療用マスク、それにゴーグルを着用して自宅を訪問し着替えなどの介助を行っていました。

ヘルパーの女性は「いくら防護しても感染リスクはゼロではないので普通の人に対応するより心配な面はありますが、私たちがいないと生活が成り立たない人もいるのでがんばっています」と話していました。

高橋さんは「ヘルパーがいないと寝たきり状態になり日常生活ができない。濃厚接触者になったら来てくれない事業者だったらどうしようと思っていたのでありがたいです」と話していました。

一方、ヘルパーを派遣している訪問介護事業所が懸念しているのは抗原検査キットの不足です。

事業所では、ほかの利用者に感染を広げないよう感染者や濃厚接触者の介助を終えたあとは、抗原検査で複数回、陰性かどうか確認してきました。

ただ、感染の拡大で検査キットが手に入れにくくなっていて検査の頻度を減らさざるをえないということです。

訪問介護事業所「でぃぐにてぃ」のサービス提供責任者、下田淳也さんは「第7波で検査キットは圧倒的に数が足りない状況で職員1人が1個を持てるかどうかだ。訪問先にも検査キットがないという人もいてリスクの高まりを感じるので早急に対応してほしい」と話していました。

介護必要な高齢の感染者受け入れる専用施設 ほぼ満床続く 滋賀

新型コロナウイルスの感染が急激に広がる中、滋賀県が運用する、介護が必要な高齢の感染者を専用に受け入れる宿泊療養施設では、ほぼ満床の状態が続いていて、県は今後、対応できる病床を増やすことにしています。

感染の第6波では、本来入院の対象にならない軽症の高齢者が介護などが必要なために入院するケースが相次ぎ、医療機関の負担が大きくなりました。

このため滋賀県は、ことし5月以降、大津市内のホテルを借り上げ、介護士や看護師を常駐させ、軽症で介護が必要な高齢者専用の宿泊療養施設として運用しています。

県によりますと、この施設の定員は15人ですが、先月上旬以降は、満床に近い状態が続いているということです。

この施設に入れない感染者については、高齢者の療養先を調整する県の「介護コーディネーター」が、訪問看護や食料品の配達などを手配しているということです。

県は今後、草津市にある、軽症患者を一時的に受け入れる入院待機施設に介護士を派遣したうえで、こうした高齢者を受け入れる準備を進めることにしています。

県の介護コーディネーターの楠神渉さんは「ひとりでは生活できない高齢者を優先して、宿泊療養施設で受け入れるため、家族のサポートが得られる高齢者には在宅療養をお願いせざるをえない状態だ」と話していました。