中国軍“大規模な軍事演習” 米 下院議長の台湾訪問受け圧力

中国軍は4日から、台湾を取り囲むように大規模な軍事演習を行うとしています。アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことを受けて中国は台湾に対して軍事的な圧力を強めていて、地域の緊張が一層高まることが懸念されます。

アメリカのペロシ下院議長が、3日まで台湾を訪問したことを受けて、台湾を不可分の領土と主張する中国は、現地時間の4日正午、日本時間の午後1時以降、台湾周辺で軍事演習を行うとしています。

中国軍が「重要軍事演習」だと位置づける演習は、台湾を取り囲むように合わせて6か所の海域と空域で実弾での射撃なども含め、今月7日まで行うとしています。

中国国防省は「一連の軍事行動を展開して事態に対抗し、国の主権と領土の一体性を断固守る」として、台湾に対し軍事的な圧力を強めていて、地域の緊張が一層高まることが懸念されます。

こうした動きに対しG7=主要7か国の外相は3日、声明を発表し「不必要な緊張につながる」として懸念を表明し、中国に対し台湾海峡をめぐる問題を平和的に解決するよう求めています。

一方、国営の中国中央テレビは、3日、東部 浙江省温州の国家安全局が台湾出身の32歳の男性を、国家の分裂を扇動した疑いなどで拘束したと伝えました。

このほか中国は3日、台湾との一部の品目の取り引きを停止するなど、さまざまな方法を使って台湾に対する威圧ともいえる動きを強めています。

台湾の対岸 中国福建省アモイでは変わった様子みられず

台湾の対岸に位置する中国福建省アモイでは、大規模な軍事演習が行われるとされた日本時間の4日午後1時すぎになっても街中では変わった様子はみられませんでした。

アモイ市内には、台湾の離島、金門島から6キロほどの場所に「祖国統一」と書かれた巨大なスローガンの文字が設置されていて、4日も観光客の姿が見られました。

海辺を訪れた地元の男性は「軍事演習の音が聞こえるかと思い、海辺に来てみた。祖国の力は強大なので、全く恐れることはない」と話していました。

また、アモイに出稼ぎに来ているという男性は「一時は緊迫感もあったが、今は平穏だ。このまま平和な暮らしが続くことを願うばかりだ」と話していました。

地元の住民によりますと、2日にかけて、アモイ市内では軍の車両が市街地を走行し、一時は緊迫感があったということです。

ただ、その後市街地で軍の車両をみかけることはなくなったということです。

松野官房長官「中国側に対し重大な懸念」

松野官房長官は記者会見で「中国側による一連の軍事演習はわが国を含む地域の安定と平和を損ないかねないものであり、中国側に対して重大な懸念を表明した。特にわが国の近海に訓練区域が設定されており、仮にそのような場所で実弾演習を行うのであれば、わが国や国民の安全保障に影響しうるもので、その点からも重大な懸念を有している。改めて両岸問題の平和的解決を強く促していきたい」と述べました。

そのうえで「防衛省、自衛隊としては、わが国周辺の海空域における中国軍の動向を引き続き注視しつつ、警戒監視、情報収集活動を継続するとともに、状況を注視し対応に万全を期していく考えだ」と述べました。

小野寺元防衛相「警戒監視は大切 対応の備えを」

自民党の安全保障調査会の会長を務める小野寺元防衛大臣は、防衛省の幹部も出席する党の会合で「中国の演習がきょうから本格的に始まり、日本のEEZ=排他的経済水域を含むエリアでも実弾の訓練が行われる。言ってみれば、私どもの排他的経済水域に弾を撃ち込んでくる状況にもなる」と指摘しました。

そのうえで「冷静に対応することが必要だが、特に警戒監視は日本としてもしっかり行うことが大切だ。何か有事が勃発してもしっかりとした対応ができるように備えをしていただきたい」と求めました。