【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

イラン ロシアに無人機供与か

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は3日までの分析で、ロシアと友好関係にあるイランが、実戦に向けた最初の無人機を供与した可能性があるという見方を示しました。

ウクライナでの戦闘でロシア軍の無人機が不足していると指摘されるなか、ロシアのプーチン大統領は先月、イランを訪問して最高指導者ハメネイ師らと会談し、戦略的な協力関係を確認しています。
イランはロシアへの軍事支援を否定していますが、アメリカ政府は先月、イランがロシアに対して数百機の無人機を供与する準備をしているとして警戒感を示しています。

防衛省が新たに自衛隊保有のワゴン車を提供へ

防衛省はことし3月以降、ウクライナ政府からの要請を踏まえ、防弾チョッキやヘルメット、それに化学兵器に対応した防護マスクや防護服などを提供しています。
防衛省はウクライナ政府からの追加の要請を踏まえ、新たに自衛隊が保有する、10人程度が乗れるワゴン車数台をウクライナ政府に提供すると発表しました。
提供するワゴン車は防衛装備品にはあたらず、人員や食料の輸送に使われる予定だということです。

このほか防衛省はドローンを、追加で10数機提供することにしています。

駐日ロシア大使が広島訪問 「核兵器使う考え全くない」

ロシアのガルージン駐日大使は4日午前、広島市の平和公園を訪れ、大使館の職員が花を手向けると、ガルージン駐日大使は原爆慰霊碑に向かって深く頭を下げていました。

「広島原爆の日」に開かれる平和記念式典をめぐっては、主催者の広島市は例年、ロシアの大統領や駐日ロシア大使に招待状を送っていましたが、ことしは政府と協議した結果「ロシアのウクライナ侵攻への日本の姿勢について誤解を生む」などとして招待を見送り、ガルージン駐日大使は「重要行事である式典からロシアを排除する挙に出た」と反発していました。

献花を終えたガルージン駐日大使は記者団に対し「アメリカが行った原爆の投下という戦争犯罪で、犠牲者が言い尽くせないほどの 痛みや悩み、苦しみを感じたことを改めて痛感しご冥福をお祈りした。核兵器の削減と最終的な廃絶にむけてのロシアの責任ある積極的な態度を明確にしたい。ウクライナでの特別軍事作戦でロシアが核兵器を使う考えは全くない」などと述べました。

ウクライナ軍 南部でロシア軍輸送列車を攻撃か

ウクライナ軍は南部のロシア側が支配する地域の奪還を目指して、ロシア軍の輸送列車や鉄道橋など交通や物流の重要なルートを攻撃する動きを強めていると見られます。

イギリス国防省は3日「ウクライナ軍は南部ヘルソン州でロシア軍の弾薬を運ぶ列車を攻撃した。クリミア半島とヘルソンを結ぶ鉄道が稼働し続ける可能性は非常に低くなっている」と指摘しました。

そのうえで「ロシア軍は数日で鉄道を修復するとみられるが、クリミアからヘルソンへの補給路はぜい弱な状態が続く」と分析しています。

国連 ドネツク州の捕虜収容施設への攻撃「調査団を立ち上げる」

ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派が支配する地域にある捕虜の収容施設が先月29日攻撃を受け、50人以上が死亡したとされることについて、国連のグテーレス事務総長は3日の記者会見で、ロシアとウクライナの双方から調査するよう国連に要請があったと明らかにしました。

そのうえでグテーレス事務総長は「事実関係を調べる調査団を立ち上げることを決めた」と述べ、ロシアとウクライナの両政府と調整をすすめたうえで調査に乗り出す方針を示しました。

ロシア「サハリン2」事業を引き継ぐ新会社設立を決定

日本の大手商社も出資するロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」をめぐってロシア政府は3日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設立することを決定したと発表しました。日本の商社は今後、ロシア側の求める条件に応じるか、対応を迫られることになりそうです。

日本にLNG=液化天然ガスを供給しているサハリン2の事業主体「サハリンエナジー」社はロシアの政府系ガス会社ガスプロムのほか、イギリスの石油大手シェルが27.5%、日本から三井物産が12.5%、三菱商事が10%をそれぞれ出資しています。

プーチン大統領は6月30日、「サハリンエナジー」社を新たに設立するロシア企業に変更し、その資産を新会社に無償で譲渡することを命じる大統領令に署名していました。

ロシア政府は3日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業をサハリン州の中心都市ユジノサハリンスクに設立することを決定したと発表しました。2日付けの政令で3日以内に必要な登録手続きを行うことを求めています。

大統領令では外国企業に対して設立から1か月以内に株式の譲渡に同意するかどうかロシア側に通知する必要があるとしています。

日本の商社は今後、ロシア側の求める条件に応じるか、対応を迫られることになりそうです。

ウクライナからの貨物船 今週中にもレバノンに到着か

ロシア軍による黒海の封鎖で滞っていた、ウクライナからの貨物船による穀物輸出の再開を受けて、今月1日にトウモロコシを積んで南部オデーサを出港した最初の船は3日、経由地のトルコのイスタンブール沖合で、およそ3時間にわたって積み荷などの検査を受けました。

その後、船は最終目的地のレバノンに向かい、トルコのメディアによりますと、今週中にも到着する見通しだということです。

トルコ・エルドアン大統領がプーチン大統領と会談へ

ロシアとウクライナの仲介役となっているトルコのエルドアン大統領は、今月5日にロシア南部のソチを訪れてプーチン大統領と会談する予定で、ロシア大統領府は、今後の穀物の輸出についても意見が交わされるとしています。

ウクライナ南部の港では、さらに16隻の貨物船が待機していて、ロシア軍の攻撃が続く中で安全に輸出を継続できるのかが焦点となっています。

OPECプラス 9月の原油生産量 小幅増産を決定

サウジアラビアが主導するOPEC=石油輸出国機構とロシアなどの主な産油国は来月の原油の生産量を小幅の一日当たり10万バレル増やすことを決めました。
アメリカのバイデン大統領が先月、中東を訪問し、原油増産を働きかけたことを受けて最低限の配慮は示した形ですが、規模は小さく、原油の需給に与える影響は限定的とみられています。

OPECとロシアなど非加盟の産油国でつくるOPECプラスは3日、来月の原油の生産量を決める会合をオンラインで開きました。

その結果、来月の生産量を一日当たり10万バレル増やすことを決めました。

先月と今月の増産幅は一日当たり64万バレル余りで、これと比べると小幅にとどまります。

その理由についてOPECプラスは産油国の増産できる量は限られており、慎重に対応する必要があるとしています。

ドイツ ショルツ首相 天然ガス供給の大幅削減巡りロシアを非難

ロシアからドイツへの天然ガスの供給が大幅に削減されている問題を巡り、ドイツのショルツ首相は、ロシア側が削減の理由にしている国外に出たままのタービンを報道陣に公開し、ロシア側が通関手続きを進めず意図的に輸送を滞らせていると非難しました。

ロシアの政府系ガス会社、ガスプロムはことし6月、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」でガスの輸送に使うタービンが、修理に出したカナダから制裁の影響で戻せないとして供給量を大幅に削減し、供給量は本来よりもおよそ80%少ない状況になっています。

こうした中、ドイツのショルツ首相は3日、修理を終えてカナダからドイツ西部に輸送され、工場で保管されているタービンを視察しその様子を報道陣に公開しました。

タービンは正常に稼働するものの、先月中旬からドイツにとどまったままで、ショルツ首相はロシアに送るための通関手続きが進んでいないと説明しました。

そのうえで「タービンは返還でき、ガスプロムはヨーロッパへの供給義務をいつでも果たすことができる」と述べ、ロシア側が意図的にタービンの輸送を滞らせ供給削減の理由にしていると非難しました。