ウクライナ穀物積んだ最初の船 トルコ沖で検査受けレバノンへ

ウクライナの穀物輸出の再開に向けて、南部の港を出発した最初の船は、経由地のトルコ沖合で3日、積み荷などの検査を受け、この後、最終目的地の中東レバノンに向かっています。ウクライナではさらに16隻の船が出港に向け待機していますが、南部ではロシアとウクライナの攻防が激しくなるとみられ、安全に輸出を継続できるかが焦点となっています。

ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナ南部の港から農産物の輸出が滞っている問題を巡り、トウモロコシを積んだ最初の船が1日、ウクライナを出港し、2日夜、経由地のトルコのイスタンブールの沖合に到着しました。

そして3日、沖合でロシアとウクライナ、それに仲介役のトルコと国連が共同で、積み荷などの検査を行い、この後、船は最終目的地のレバノンに向かっています。

農産物の輸出について、ウクライナでは、さらに16隻の船が出港に向け待機しているとしていて、ゼレンスキー大統領は2日、「われわれの目標は、安定して穀物の輸出ができるようになることだ。船が次々と港に到着し、荷物を積んで出て行くことが、われわれの農産物を求める人々の望みだ」と述べました。

一方、ウクライナの戦況について、イギリス国防省は3日「ウクライナ軍が南部ヘルソン州でロシア軍の弾薬を運ぶ列車を攻撃し、クリミア半島とヘルソンを結ぶ鉄道が稼働し続ける可能性が非常に低くなっている」と指摘するなど、南部で支配地域の奪還を目指すウクライナ軍がロシアが支配する鉄道や橋など交通や物流の重要なルートに打撃を与える動きが伝えられています。

ロシア軍はこれに対応するため、ウクライナ東部から南部に部隊を移動させていると指摘され、攻防が激しくなる見通しで、ウクライナ南部の港から安全に農産物の輸出を継続できるかが焦点となっています。

積み荷検査の様子は

積み荷の検査には、ロシアとウクライナ、それにトルコと国連の4者が設置した共同調整センターの担当者およそ20人が当たり、港から小型の船で沖合に停泊している貨物船へと向かいました。

そして、はしごを使って、貨物船に乗り込み、登録されていない乗組員がいないかや、トウモロコシ以外の積み荷が隠されていないか、確認をしていました。

レバノンでは安どと歓迎の声

ウクライナ南部から穀物を積んだ最初の船は、今週中にも最終目的地の中東レバノンに到着する見通しです。深刻な食料不足に直面しているレバノンでは安どと歓迎の声が上がっています。

中東のレバノンは、小麦の輸入のおよそ7割をウクライナに依存していて、ロシアによる軍事侵攻の影響で、小麦などの穀物の供給不足に直面しています。

ウクライナ南部から穀物を積んだ最初の船は、3日にトルコのイスタンブール沖合で積み荷などの検査を受け、今週中にもレバノンに到着する見通しとなっています。

レバノンの経済・貿易省で小麦など穀物の輸入を担当するジョージス・バルバーリ部長は「ウクライナからの穀物の輸出再開の知らせは私たちの不安を解消し、希望を与えてくれた。これを皮切りに食料不足に直面しているレバノンを含め、世界の食の安定につながることを願っている」と期待感を示しました。

さらに、バルバーリ部長は「輸出再開を受けて、ウクライナから新たに1万トンを超える小麦の購入手続きを開始した。早ければ10日ほどで小麦が到着する予定だ」と述べ食料の供給不足の解消を急ぎたい考えを示しました。