ロシア “威嚇ではなく核保有国の衝突防ぐための警告” と反論

NPT=核拡散防止条約の再検討会議で、ウクライナに侵攻したロシアが核による威嚇を行っていると各国から非難が相次いでいるのに対し、ロシアの代表は、ロシアがNPTの義務を完全に履行しており、アメリカなどの核保有国との直接対決を防ぐために警告を行ったものだなどと、強く反論しました。

ニューヨークの国連本部で開かれているNPTの再検討会議は2日も各国の代表による演説が行われ、初日に続いて各国からウクライナに侵攻し核による威嚇を続けるロシアを非難する意見が相次ぎました。

これに対しロシア外務省の不拡散・軍備管理局ビシネベツキー次長が演説し、はじめに「NPTの義務を完全に履行し、核兵器のない世界のために関与してきた」と述べ、ロシアはNPT体制を支持していると強調しました。

そしてロシアへの非難について「すべての主張に強く反論したい。ロシアの行動はすべて必要に応じたもので、『核による脅しだ』などという主張はいいがかりだ」と述べ、ロシアの立場を正当化しました。

さらにロシアの代表は各国の演説のあとに再び発言の機会を求め、「核保有国どうしの軍事衝突は核戦力の行使までエスカレートする危険性をはらんでいるため、断じて防がなければならない。これがロシアの警告の本質だ。脅迫ではなく可能性について言及してきたものだ」と述べ、アメリカの核戦力に頼るNATO=北大西洋条約機構がウクライナ情勢に介入することを強くけん制しました。

NPTの再検討会議は、2日目からウクライナ情勢をめぐる欧米とロシアの対立が表面化し、今後は現地の戦況なども会議の行方に少なからぬ影響を及ぼすものと見られます。

米シェインマン特別代表 ロシアをけん制

アメリカ国務省で核不拡散を担当するシェインマン特別代表はNPT再検討会議を前にNHKのインタビューに応じ「特定の国への対応がNPT体制を維持していくうえで、大きな課題だ。具体的には、ロシアの行動や北朝鮮の挑発的な行動だ」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアや、NPTから一方的に脱退を宣言し核・ミサイル開発を推し進める北朝鮮への対応が、NPT体制にとっての課題だという認識を示しました。

とりわけロシアのプーチン大統領が核戦力を行使する可能性に示唆したことを踏まえ「挑発的な言動はNPTの目的から逸脱している。ロシアの行動は、旧ソビエトの解体後、ウクライナが配備されていた核兵器を放棄する代わりに、ロシアなどがウクライナの安全を保障するとした『ブダペスト覚書』などを大きく傷つけるものだ」と強く批判しました。

そのうえでシェインマン特別代表は、再検討会議を通じて、ほかの加盟国とともにロシアに対して核兵器による威嚇などをやめるよう、強く働きかけていく考えを示しました。