ウクライナ軍が南部で反転攻勢 最初の穀物船はトルコ沖合到着

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍に対し、ウクライナ軍は欧米の軍事支援も受けて南部で反転攻勢に出ていて、双方の攻防がさらに激しくなるとみられます。一方、ウクライナから出港した穀物を積んだ最初の船は、経由地のトルコ沖合に到着し、3日、積み荷などの検査を受ける予定で、農産物の輸出の継続に向けて安全の確保が焦点となっています。

ロシア軍が全域の掌握をねらうウクライナ東部では、戦況のこう着が伝えられる一方、南部では、ウクライナ軍がアメリカから供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースなどを活用し、支配地域の奪還を目指して反転攻勢に出ています。

ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は、2日、ウクライナ軍がアメリカが供与したハイマースで攻撃を続けていると指摘したうえで「ウクライナ軍は、アメリカと事前に調整して標的を定めて攻撃している。アメリカがウクライナの紛争に直接関与している証拠だ」と主張しました。

またロシアのショイグ国防相は2日に行われた会議で、ハイマース6基を含め、欧米側がウクライナに支援した多くの兵器を破壊したと主張し「制御のないウクライナへの兵器の供与は地域の安全保障を深刻に脅かしている」と述べ、警戒感を示しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、1日「ロシア軍は東部ドネツク州からウクライナ南部の防衛拠点へ部隊の移動を続けている」として、南部でのウクライナ軍の反転攻勢に対し、ロシア軍が対応を迫られているという分析を示し、双方の攻防がさらに激しくなるとみられます。

一方、ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナ南部の港から農産物の輸出が滞っている問題を巡り、トウモロコシを積んだ最初の船が1日、出港し、中東のレバノンに向かっています。

船は2日夜、経由地のトルコのイスタンブールの沖合に到着し、3日、積み荷などの検査を受ける予定となっていて、安全に目的地のレバノンまで航行できるか関心が集まっています。

農産物の輸出について、ウクライナ側はさらに16隻の船が出港に向け待機しているとしていて、南部で双方の攻防が激しくなるとみられるなか、今後も輸出を継続できるか安全の確保が焦点となっています。