【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8月3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー「穀物の安定輸出が人々の望みだ」

ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナ南部の港から農産物の輸出が滞っている問題を巡り、トウモロコシを積んだ最初の船が1日、ウクライナを出港し、2日夜、経由地のトルコのイスタンブールの沖合に到着しました。

そして3日、沖合でロシアとウクライナ、それに仲介役のトルコと国連が共同で、積み荷などの検査を行い、この後、船は最終目的地のレバノンに向かっています。

農産物の輸出について、ウクライナでは、さらに16隻の船が出港に向け待機しているとしていて、ゼレンスキー大統領は2日、「われわれの目標は、安定して穀物の輸出ができるようになることだ。船が次々と港に到着し、荷物を積んで出て行くことが、われわれの農産物を求める人々の望みだ」と述べました。

「悲劇に目をつむらないで」ウクライナ大統領夫人が訴え

ウクライナのゼレンスキー大統領の妻、オレーナ氏は、NHKのインタビューに対して、ロシア軍の攻撃による子どもたちの犠牲が後を絶たない中、「私たちの悲劇に目をつむらないでほしい」と述べ、ウクライナへの関心を持ち続けてほしいと訴えました。
この中で、オレーナ氏は、障害者福祉の活動を通じて知り合った4歳のダウン症の女の子が、西部ビンニツァ州の中心部へのミサイル攻撃で死亡したことについて「今もとてもつらい。ものすごく明るくていい子だった」と述べ、自身も大きなショックを受けたとしています。

ただ、2人の子どもの母親であるオレーナ氏は「子どもたちの前では見本を示さなければならない」とも述べ、子どもたちには不安を感じさせないよう努めていると明かしました。

一方、連日の攻撃で心身に傷を負う国民が増えているとして「身体的、精神的な『人間の復興』こそが私たちの課題だ」と述べ、手足を失った人のリハビリや、精神的なケアの充実が今後の重い課題になるという認識を示しました。

また、軍事侵攻が長期化する中で、ウクライナに対する各国の「支援疲れ」が伝えられていることについて、オレーナ氏は「どんなに強い力を持つ国でも隣国を襲うことは決して許されないのだと世界に知らしめたい。どうか私たちの悲劇に目をつむらないでほしい」と述べ、ウクライナへの関心を持ち続けてほしいと訴えました。

駐日ロシア大使 原爆慰霊碑に献花へ 式典招待見送られ

今月6日に広島市で開かれる平和記念式典への招待が見送られた駐日ロシア大使が、4日に広島市を訪れ、原爆慰霊碑に献花をすることが関係者への取材でわかりました。

「広島原爆の日」に開かれる平和記念式典をめぐっては、主催者の広島市は、例年、ロシアの大統領や駐日ロシア大使に招待状を送っていましたが、ことしは政府と協議した結果「ロシアのウクライナ侵攻への日本の姿勢について誤解を生む」などとしてロシアのプーチン大統領やガルージン駐日大使の招待を見送りました。

招待が見送られたことについて、ガルージン駐日大使は大使館のツイッターに「重要行事である式典からロシアを排除する挙に出た」などと投稿して反発していましたが、関係者によりますと、4日に平和公園にある原爆慰霊碑を訪れ、献花をすることがわかりました。

ロシア “威嚇ではなく核保有国の衝突防ぐための警告” と反論

NPT=核拡散防止条約の再検討会議で、ウクライナに侵攻したロシアが核による威嚇を行っていると各国から非難が相次いでいるのに対し、ロシアの代表は、ロシアがNPTの義務を完全に履行しており、アメリカなどの核保有国との直接対決を防ぐために警告を行ったものだなどと、強く反論しました。

ニューヨークの国連本部で開かれているNPTの再検討会議は2日も各国の代表による演説が行われ、初日に続いて各国からウクライナに侵攻し核による威嚇を続けるロシアを非難する意見が相次ぎました。

これに対しロシア外務省の不拡散・軍備管理局ビシネベツキー次長が演説し、はじめに「NPTの義務を完全に履行し、核兵器のない世界のために関与してきた」と述べ、ロシアはNPT体制を支持していると強調しました。

そしてロシアへの非難について「すべての主張に強く反論したい。ロシアの行動はすべて必要に応じたもので、『核による脅しだ』などという主張はいいがかりだ」と述べ、ロシアの立場を正当化しました。

米シェインマン特別代表 ロシアをけん制

アメリカ国務省で核不拡散を担当するシェインマン特別代表はNPT再検討会議を前にNHKのインタビューに応じ「特定の国への対応がNPT体制を維持していくうえで、大きな課題だ。具体的には、ロシアの行動や北朝鮮の挑発的な行動だ」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアや、NPTから一方的に脱退を宣言し核・ミサイル開発を推し進める北朝鮮への対応が、NPT体制にとっての課題だという認識を示しました。

とりわけロシアのプーチン大統領が核戦力を行使する可能性に示唆したことを踏まえ「挑発的な言動はNPTの目的から逸脱している。ロシアの行動は、旧ソビエトの解体後、ウクライナが配備されていた核兵器を放棄する代わりに、ロシアなどがウクライナの安全を保障するとした『ブダペスト覚書』などを大きく傷つけるものだ」と強く批判しました。

そのうえでシェインマン特別代表は、再検討会議を通じて、ほかの加盟国とともにロシアに対して核兵器による威嚇などをやめるよう、強く働きかけていく考えを示しました。

米 プーチン大統領に“近い”金メダリストの資産凍結を発表

アメリカのバイデン政権は、ロシアに対する追加の制裁措置として、オリンピック新体操の金メダリストでプーチン大統領と近い関係にあるとされる、カバエワ氏の、アメリカ国内の資産を凍結することなどを発表しました。

イエレン財務長官は声明で「ロシアの違法な侵略戦争によって罪なき人々が苦しむ中、プーチンの支持者たちは自分たちを豊かにし、ぜいたくなライフスタイルに資金を供給してきた。アメリカは同盟国とともに、ロシアの戦争を支える収入と設備を遮断し続ける」と強調しました。

イエメン 停戦延長も 食料価格高騰で人道危機深刻

中東イエメンで続いてきた内戦をめぐり、全面的な停戦が2か月間、延長されることになりました。ただ、現地では食料価格の高騰などによる人道危機が深刻で、ウクライナ産農産物の輸出再開が状況の改善につながるかが焦点です。

イエメンでは政府側と反政府勢力の内戦が7年以上にわたって続き、深刻な人道危機に陥ってきましたが、ことし4月、双方が2か月間の全面的な停戦で合意しました。

停戦は6月に1度延長されたあと、2日に再び期限を迎え、仲介にあたる国連はさらに2か月間延長することで双方が合意したと発表しました。

ただ、内戦で農業生産が落ち込んだイエメンでは、ロシアとウクライナが主な輸入先となっている小麦を始め、ほとんどを輸入に頼る食料がウクライナ情勢の影響などで値上がりしています。

さらに、現地で食料支援を担ってきたWFP=世界食糧計画も、食料や燃料の価格高騰で費用がかさみ、支援の大幅な縮小を余儀なくされているとしています。

穀物船 目的地レバノンでは食料不足解消に期待の声

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で小麦などの穀物の供給不足に直面している中東レバノンでは、ウクライナ南部から穀物を積んだ最初の船が今週にも到着する見通しであることから、市民からは食料不足の解消に期待する声があがっています。

中東のレバノンは、小麦の輸入のおよそ7割をウクライナに依存していて、ロシアによる軍事侵攻の影響で、小麦などの穀物の供給不足に直面しています。

主食のパンの価格は2倍以上に高騰したほか、首都ベイルート市内にあるスーパーでは、パンの棚がほとんど空の状態になっていて、市民生活が圧迫されています。

こうした中でウクライナ南部の港を出港した最初の貨物船が今週中にもレバノンの港に着く見通しとなっていて、市民からは小麦を含む穀物の輸入再開で食料不足が解消されるのではと期待する声があがっています。

トウモロコシ積んだ最初の船 トルコ沖合に到着

ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナ南部の港から農産物の輸出が滞っている問題を巡り、トウモロコシを積んだ最初の船が1日、出港し、中東のレバノンに向かっています。

船は2日夜、経由地のトルコのイスタンブールの沖合に到着し、3日、積み荷などの検査を受ける予定となっていて、安全に目的地のレバノンまで航行できるか関心が集まっています。

農産物の輸出について、ウクライナ側はさらに16隻の船が出港に向け待機しているとしていて、南部で双方の攻防が激しくなるとみられるなか、今後も輸出を継続できるか安全の確保が焦点となっています。

南部でウクライナ軍が反転攻勢に

ロシア軍が全域の掌握をねらうウクライナ東部では、戦況のこう着が伝えられる一方、南部では、ウクライナ軍がアメリカから供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースなどを活用し、支配地域の奪還を目指して反転攻勢に出ています。

ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は、2日、ウクライナ軍がアメリカが供与したハイマースで攻撃を続けていると指摘したうえで「ウクライナ軍は、アメリカと事前に調整して標的を定めて攻撃している。アメリカがウクライナの紛争に直接関与している証拠だ」と主張しました。

東部ドネツク州 住民の避難始まる

ウクライナのベレシチュク副首相はSNSで東部ドネツク州からの住民の避難が始まったことを明らかにしました。

ベレシチュク副首相によりますと2日朝、避難する住民を乗せた最初の列車がウクライナ中部のキロボフラード州の駅に到着したということです。また、ドネツク州のキリレンコ知事は、SNSで最初の列車には136人が乗っていたことを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は先月30日、ドネツク州と隣接するルハンシク州の戦闘が続いているエリアに、依然として数十万人の市民が残っていると指摘したうえで「より早く、多くの人たちが避難すれば、ロシア軍に殺される人を減らすことができる」と述べ、戦闘が激化しているドネツク州の住民に対し、避難を命じる考えを示していました。

ウクライナ国外避難 1000万人超に

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所はロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数が、8月1日の時点で1000万人を超えたと発表しました。

具体的にはポーランドがおよそ508万人、ハンガリーがおよそ108万人、ルーマニアがおよそ95万人、スロバキアがおよそ64万人モルドバがおよそ55万人、などとなっています。また、ロシアはおよそ195万人となり、あわせて1029万人となっています。

一方で、国外に逃れたあと、戦況を見ながらウクライナに帰国する人の動きもあり、ロシア軍の侵攻以降、周辺国からウクライナに入国した人の数は8月1日の時点でおよそ423万人となっています。