米ペロシ下院議長 今夜にも台湾訪問か 台湾メディア

アジアを訪れているアメリカのペロシ下院議長は2日、2番目の訪問国のマレーシアに入りました。台湾のメディアは、議長が中国の強い反対を押し切って2日夜にも台湾を訪問し、3日に蔡英文総統と会うと伝えています。

アメリカのペロシ下院議長は、議員団を率いてアジアを訪れていて、1日にシンガポールを訪問したのに続き、2日はマレーシアに入りました。

ペロシ議長がさきに発表した声明では、このあと韓国と日本を訪問するとされ、台湾への言及はありませんでしたが、台湾のメディアは議長が2日夜にも台北の空港に到着する見通しだと伝えています。

報道によりますと、議長は台北で1泊し、3日、蔡英文総統に会うということです。

また、台湾の議会にあたる立法院も訪問すると伝えています。

台湾当局は、ペロシ議長側が訪問計画を明らかにしないかぎり公に確認しない方針で、首相にあたる蘇貞昌行政院長は「外国からの賓客の訪問はすべて歓迎する。来訪の時間や方式は賓客の計画を尊重する」と述べるにとどめています。

ペロシ議長は、大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ2位で、現職の下院議長が実際に台湾を訪問すれば、1997年のギングリッチ氏以来25年ぶりとなります。

「台湾は中国の一部だ」と主張する中国政府は、ペロシ議長の台湾訪問に断固反対の立場で「もし訪問すれば、強力な対抗措置をとる。軍も決して黙って見ていない」と強くけん制しています。

中国軍 各地で軍事演習

中国軍は先月下旬以降、東シナ海や南シナ海などで相次いで軍事演習を行っています。

国営の中国中央テレビは先月30日、東シナ海を所管する東部戦区が最近、海上で実弾射撃訓練を行い、作戦能力を向上させたと伝えました。

中国当局の発表によりますと、先月30日には台湾の対岸に位置する福建省の平潭島付近の海域でも、実弾射撃訓練が行われたということです。

香港メディアは、軍事専門家の話として、一連の軍事演習は台湾への訪問が取り沙汰されるアメリカのペロシ下院議長への警告だとする見方を伝えています。

中国 軍や国営メディア 軍事関連の映像公開

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問が取り沙汰されるなか、中国では、軍や国営メディアが、軍事関連の映像を公開しています。

中国軍で、東シナ海を所管する東部戦区は1日、「戦いの準備を整え待ち構えている」と題した動画を公開しました。

動画が撮影された詳しい日付や場所は明らかにされていませんが、台湾への関与を強めるアメリカをけん制するねらいがあるとみられます。

また、国営の中国中央テレビは、先月30日、中国軍の創設95年を前に公開した動画の中で、ミサイルが発射される映像を伝えました。

中国共産党系のメディア、環球時報は専門家の話として、このミサイルが極超音速ミサイル「東風17」とみられるということで、発射の映像が公開されるのは初めてではないかとしています。

また、空母などを標的とする「東風17」は既存のミサイル防衛網では迎撃するのが難しいとされ、ペロシ議長の台湾訪問が取り沙汰されるなか、あらゆる対抗措置をとることができるとアメリカに伝える意図があるとしています。

中国外相「越えてはならない一線だ」

中国外務省によりますと、王毅外相は2日、訪問先の中央アジアで台湾に対する立場を改めて表明しました。

それによりますと「『1つの中国』の原則は、中国の『核心的利益』の中の核心であり、越えてはならない一線だ」と強調したということです。

そのうえで「アメリカが台湾問題で信義に背くことは人々から相手にされなくなり、国家的な信用をさらに失墜させるだけだ。アメリカの一部の政治家はみずからの都合だけを考え、台湾問題で公然と火遊びをして14億の中国国民を敵に回しているが、これは決してよい結果にならないだろう」と述べ、アメリカを強くけん制しました。

中国外務省の華春瑩報道官は日本時間午後4時すぎからの記者会見で「中国はすでに何度も明確に原則的な立場を表明するとともに、何度もアメリカに厳正な申し入れを行っている。もしアメリカが強行するのであれば、中国は必ずや強力な措置をとる」と述べ、改めて反発しました。

また、華報道官は、アメリカの現職の下院議長が過去にも台湾を訪問したことに関連して「アメリカの個別の政治家の過去の間違った行動は前例にならないし、台湾問題においてアメリカが間違いを重ねる言い訳にもならない。台湾海峡の緊張をエスカレートさせる挑発的な行動をとっているのはアメリカであり、すべての責任を負わなければならない」と述べました。

アメリカでは大きな議論

ペロシ下院議長が台湾訪問を計画していると伝えられたのに対し、中国側が「訪問を強行すれば、中国は断固とした強力な措置をとる」などと強くけん制したことから、アメリカでは、大きな議論を呼んできました。

バイデン大統領は先月20日「軍は、いま行くのはよい考えだとは思っていない」と述べたほか、有力紙、ワシントン・ポストは、先月23日、バイデン政権は台湾海峡の緊張が一気に高まることを懸念し、ペロシ議長に対し、訪問のリスクを説明したと伝えました。

一方、トランプ前政権で国防長官を務めたマーク・エスパー氏は先月26日、シンクタンクのイベントで「自己抑止をすべきでない。脅しには立ち向かわなければならない」と述べたほか、共和党の議員や一部の民主党の議員からも訪問を後押しする声が上がっていました。

バイデン大統領と習近平国家主席は日本時間の先月28日、電話による首脳会談を行い、両首脳は対話を継続し、今後、対面での首脳会談の時期を模索していくことで一致しました。

バイデン政権の高官は、ペロシ議長の台湾訪問をめぐるやり取りが首脳会談の中で行われたか明らかにしませんでしたが、ペロシ議長が中国の反対を押し切る形で台湾を訪問すれば米中関係の悪化は避けられず、台湾海峡の緊張が高まることも懸念されます。

ロシア 報道官「挑発的で地域の緊張を高めるもの」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日、記者団に対し「ペロシ議長が台湾を訪問する可能性については、間違いなく挑発的であり、地域の緊張を高めるものだ。われわれは中国と連帯していることを強調したい。残念ながら、アメリカは対立の道を選んでいて、これは悪い兆候であり、われわれは遺憾の意を表明する」と述べ、アメリカの動きを批判し、中国側を支持する姿勢を強調しました。

米軍嘉手納基地 給油機が次々に飛来

沖縄防衛局によりますと、沖縄のアメリカ軍嘉手納基地には2日夕方時点で外部の基地からKC135空中給油機合わせて22機が飛来していたということです。空中給油機は、戦闘機などが長時間作戦にあたれるようにするため、飛行中に燃料を補給する機体で、これだけの数が嘉手納基地に集結するのは異例です。

2日午後8時すぎにはこのうち5機が離陸したのに続き、嘉手納基地に配備されているF15戦闘機8機も相次いで離陸しました。また、このおよそ2時間前には軍用機や軍事施設などが発する電子情報を集める能力があるアメリカ軍のEP3電子偵察機が離陸する様子も確認されました。