ウクライナ 穀物積む船レバノンへ 輸出がスムーズに続くか焦点

ロシア軍は、ウクライナ東部でアメリカが供与したロケット砲システムを破壊したと主張し、反撃を続けるウクライナへの軍事支援を強くけん制しています。一方、南部の港からは穀物を積んだ最初の船が出港し、2日にもトルコの沖合で積み荷の検査を受ける予定ですがロシア軍は南部でも攻勢を強め、輸出がスムーズに続くかが焦点です。

ロシア国防省は1日、ウクライナ東部のハルキウ市にある工場をミサイルで攻撃し、アメリカが供与した高機動ロケット砲システム=ハイマース2基を破壊したと主張しました。

ハイマースはロシア軍の侵攻を食い止めるのに大きな効果を上げていると指摘されていて、ロシア軍は、こうした軍事支援を強くけん制した形です。

一方、戦況を分析するイギリス国防省は1日、ロシア軍が掌握を目指す東部ドネツク州でバフムトを軸に攻撃を試み続けているものの、進軍は遅れていると指摘しています。

そして、ロシア軍が東部ドンバス地域の北側から、ウクライナ南部にかけて、かなりの数の部隊を再配置し、ドンバスでの戦況のこう着を打開するため、作戦計画を調整している可能性が高いとしています。

こうした中、ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐり、1日、穀物を積んだ最初の船が南部オデーサの港を出発しました。

トルコ国防省によりますと、船は、トウモロコシを積み、中東のレバノンに向かうということで、2日にも黒海沿岸のイスタンブールの沖合に到着し、積み荷などの検査を受ける見通しだとしています。

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は1日「最初の船が出港したことは非常に前向きなことだ」と述べ、合意が実行されたことを評価する一方で「すべての合意が履行されるのを望む」とも強調し、欧米の制裁で止まっていると主張しているロシアからの農産物も輸出できることになるのか注視する考えを示しました。

またロシア国防省は1日もオデーサ近郊の村を攻撃し、アメリカの対艦ミサイル「ハープーン」を破壊したと発表するなど南部でも攻勢を強めていて、今後も輸出がスムーズに続くかが焦点となっています。