新型コロナ感染急拡大 各地で対応に追われる

新型コロナの感染急拡大が続く中、各地の自治体は対応に追われています。

東京都内 自宅療養者急増 食料届ける支援に申し込み相次ぐ

新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養する人が急増する中、自宅療養者に食料を届ける支援事業を行っている都内の自治体には申し込みが相次いで寄せられています。

都内では、新型コロナに感染し、自宅で療養する人が急増していて、7月30日時点で21万8000人余りと、7月1日のおよそ12倍にのぼり、第6波のピークと比べても2倍以上となっています。
こうした中、都内の一部の自治体は、家に食料がなく、親族から支援を受けることなどが難しい自宅療養者に、都から物資が届くまでの数日分の食料を支援する事業を行っています。

日野市も7月26日から支援事業を再開しましたが、新型コロナの感染が急拡大する中、連日、申し込みが相次ぎ、7月29日までに118人に配送しました。

8月1日も、市から委託された配送業者が、おかゆやゼリーなどが入った段ボールを車に積み込み、希望者の住宅に向けて出発していきました。

市では、すぐに食料を届けられるよう、毎日80人分の在庫を用意していますが、今後も申し込みが増えると補充が追いつかず、在庫がなくなるおそれがあるとしています。

日野市健康課の平敦子課長は「緊急対応として、市の職員が食料を調達して在庫を補充して乗り切っている。厳しい状況だが、感染拡大を抑える一助になるよう取り組みたい」と話していました。

東京都 検査キットの無料配布 対象者広げ受け付け開始

新型コロナウイルスの検査や受診が集中している医療機関の負担を軽減しようと、東京都は検査キットの無料配布の対象を発熱などの症状がある人にも広げ、8月1日から受け付けを始めました。

無料で配布されるのは鼻の粘膜を自分でとるタイプの抗原検査キットで、8月1日から都のウェブサイトで申し込みの受け付けが始まりました。

これまで都は、濃厚接触者を対象に検査キットを無料で配布していましたが、感染拡大に伴って、医療機関での検査や受診が集中していることを受けて、発熱などの症状がある人にも対象を広げました。

一日当たり7万キットが用意され、希望する人は午前中までに申し込むと翌日に配送されるということです。

都は、まずは感染者数の割合が大きく、重症化のリスクが低い20代からの申し込みを受け付け、順次、ほかの年代にも対象を広げることにしています。

今回のキットで陽性が判明した場合、8月3日に都が開設する「陽性者登録センター」にオンラインで申請でき、都は、この情報をもとに健康観察などのサポートをすることにしています。

都の担当者は「キットはすぐに結果が出るのでスムーズに判断できる。無症状や症状の軽い方は陽性者登録センターに登録していただき、基礎疾患がある方や妊娠中の方、すでに症状が重い方は、迷わず医療機関を受診してほしい」と話していました。

神奈川 発熱外来ひっ迫の状況続く

神奈川県は、新型コロナの感染急拡大による医療のひっ迫を抑えるため、重症化のリスクが低い人には発熱外来を受診せず、自分で検査し自主療養することを呼びかけていますが、職場から医師の陽性診断を求められるケースも多いことなどから、発熱外来はひっ迫した状況が続いています。

神奈川県は、ほかに病気がないなど、重症化のリスクが低い人は、発熱外来を受診せず、自分で検査を行い、陽性の場合は自主療養するよう呼びかけています。

しかし発熱外来のひっ迫は各地で続いていて、一日40人ほどを発熱外来で診療する川崎市多摩区のクリニックでは、毎日120人程度は断らざるをえない状況が続いています。

クリニックによりますと、症状が軽い人でも、職場や学校などから陽性の診断書が必要だと言われて受診する人も多いということで、先週は、訪れた人のうち3分の1ほどは、自主療養でも問題がなかったとみられるケースだったということです。

「多摩ファミリークリニック」の大橋博樹院長は「受診が必要な人を絞り込まないと、高齢者や基礎疾患がある人などを診察することができないので、できるだけ医療機関は受診せず、自宅で療養してもらう対応が必要だ」と話していました。

神奈川県 自主療養の届出制度

新型コロナに感染した際の自主療養を広く利用してもらうため、神奈川県は県内の企業や学校などに対して、自主療養の届出があった場合に、医療機関の受診を求めないよう協力を要請しています。

神奈川県が全国に先駆けて、ことし1月から行っている自主療養の届出制度では、対象となる重症化リスクの低い人が発熱などの症状が出た場合、市販の抗原検査キットなどで自分で検査を行い、陽性となった際は専用のウェブサイトで県に届け出れば、
▽療養中であることを証明する「自主療養届」や、
▽民間の保険請求などに使える「療養証明書」を、
発行できます。

県は、感染者の半数程度は、自主療養で対応できるとみていますが、制度が始まったことし1月29日から7月31日までの新型コロナの新規感染者は79万人余りだったのに対し、自主療養届が発行された人は6万人余りにとどまっているということです。

症状が出た際、職場や学校などから医療機関の受診を求められることも多く、県は新たに県内の企業や団体などに対して、自主療養の届出があった場合受診を求めないよう協力を要請していて、8月1日も担当者が県内の団体に電話で協力を呼びかけていました。

神奈川県医療危機対策本部室の足立原崇室長は「限られた医療資源を重症化リスクが高い人に振り分けるため、可能な人は自主療養に協力をお願いしている」と話しています。

宮城 臨時部署が保健所支援 業務を一部代行

新型コロナの感染が急拡大し、保健所の負担が大きくなる中、宮城県は、保健所の業務の一部を代行する臨時の部署を設けていて、担当の職員が陽性が確認された人への症状の確認作業などに追われていました。

宮城県内で新型コロナの感染が急拡大していることに伴って、健康観察や入院の調整などを行う保健所の負担が大きくなっていることから、県は7月から「疫学調査センター」を設け、保健所の支援にあたっています。

この部署では、県庁の各部署から集められた職員が保健所の業務を代行して、陽性が確認された人に対し、症状や、基礎疾患の有無などを電話で確認したうえで、入院が必要かどうかを決めます。

8月1日は、土木部や教育委員会など臨時で集められた、およそ30人が研修を受けたあと、陽性者一人ひとりに電話をかけて症状などの聞き取りを行っていました。

県は、7月28日からは、重症化のリスクが低い患者への連絡について電話でなくメールに変更するなど、保健所の負担軽減を進めています。

県新型コロナ調整室の渡辺一晃総括室長補佐は「第7波は想像をはるかに超え、保健所の業務は大変な状況だ。今後はメールによる対応を活用するなど、数多くの患者にいち早く適切な療養を案内できるよう努めていきたい」と話していました。

沖縄 「入院待機ステーション」に国から看護師派遣

沖縄県内で新型コロナの感染拡大が続く中、入院できる病院がすぐに見つからない人を一時的に受け入れる県の「入院待機ステーション」に、8月1日から国から派遣された看護師が入り、病床を増やすなどの作業をしました。

沖縄県内で新型コロナの感染拡大が続き、医療体制がひっ迫する中、県が設置した、那覇市の「入院待機ステーション」には、国から46人の看護師が派遣されることになっていて、8月1日から11人が看護業務などにあたっています。

派遣された看護師たちは、病床を確保するため、シーツや布団を用意していました。

「入院待機ステーション」では、今週中に病床を50床から75床まで増やすことにしています。

入院待機ステーションの本部では、職員が県庁内の対策本部と入院を調整するため連絡を取り合っていました。

また、すべての病床を確認することができるモニターからは、防護服を着た医療従事者が患者の対応にあたっている様子が見られました。

国からの派遣で「入院待機ステーション」に8月1日から入った、神戸市の病院で勤務する看護師の三宅翠さんは「医療従事者でも濃厚接触者になるなどして出勤できない人が増え、人材確保が必要ということで、派遣の要請があった。新たな設備や環境に不安な面はあるが、少しでも沖縄の医療の助けになりたい」と話していました。

同じく、仙台市の病院から派遣された看護師の曽根未来さんは「私も仙台市の病院の新型コロナ病棟で働いているので、患者層は変わらないと思うが、県外、沖縄ではどのように患者を診ているのかなどをしっかり学ばせてもらい、よい経験にしたい」と話していました。

長期間「入院待機ステーション」で働いている看護師の合田真未さんは「一時期よりは落ち着いているが、既存のメンバーが、今いる患者に対し、安全に医療を提供するのに精いっぱいな状況だ。毎日めまぐるしい感じで、ほとんど休憩も行けない」と厳しい状況を訴えていました。

「入院待機ステーション」で看護師の取りまとめを行っている看護総括の儀間大志さんは、国から看護師が派遣されたことについて「即戦力になると思うので本当に助かっている。県内の医療ひっ迫の軽減に貢献できるように、ともに進んでいって感染の波に立ち向かいたい」と話していました。
そのうえで、県民などに対して「個人個人の感染対策として、これまでどおり、しっかり対応してもらえれば、防げるものは防げる。もう一度気を引き締めてほしい」と、一人ひとりの感染対策の意識に緩みがないか、しっかり確認してほしいと呼びかけていました。

岡山 保健所業務ひっ迫 感染者への連絡方法を大幅変更

新型コロナウイルスの感染拡大で、保健所の業務がひっ迫していることから、岡山市は1日から感染者への連絡方法を大幅に変更しました。

岡山市では7月31日まで連日、新たな感染者が1000人を超えるなど、保健所の業務がひっ迫しています。

これまでは、陽性が確認されたすべての人に対して、感染確認のショートメールを送ったうえで、原則、24時間以内に電話で体調確認を行っていましたが、最近は感染の急増から、電話するまでに2日かかることもあったということです。

これまでも、ほかの部署から70人ほどの職員が応援に入っていましたが、8月1日からは、さらに50人ほど増員したうえで、感染者への連絡方法を大きく変更しました。

具体的には、
▽比較的、重症化リスクの低い人に対しては、ショートメールを送るだけで、電話による個別の体調確認は行わないことになりました。
一方で、
▽高齢者や基礎疾患のある人など、重症化リスクの高い人たちや、高齢者施設で働いている人については、引き続き保健師や看護師が個別に電話をして体調確認を行います。

岡山市保健管理課の森公造課長は「どこにいても感染のリスクはあるので、屋内ではマスクの着用を心がけるとともに、改めてワクチン接種をお願いしたい」と話しています。

岡山市では、電話で体調確認の連絡が来ない場合でも、不安や問い合わせたいことがあれば、市の受診相談センター、電話番号086-803-1360まで連絡してほしいとしています。

鳥取 受診依頼相次ぐも看護師ら濃厚接触で一般病床減らし対応

鳥取県内で県西部を中心に新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、境港市の病院では、発熱などの症状がある人から受診の依頼が相次いでいるほか、勤務する看護師が濃厚接触者になるなどしているため、一般病床を減らして対応をしています。

鳥取県から新型コロナの重点医療機関として指定されている境港市の「済生会境港総合病院」では、県内で感染が急拡大するなか、多い日では一日あたり30人あまりの発熱などの症状がある人から受診の依頼があるということです。

1日も多くの患者から問い合わせが来ていて、はじめに看護師が症状を電話で聞き取り、病院に来るときには専用のスペースに駐車するよう伝えていました。

そして、防護服を着た医師や看護師が車の中で待機している人にPCR検査のキットを渡して、検体を採取してもらい回収していました。

病院によりますと、▽急増する発熱患者への対応に人手がかかるほか、▽家族などが感染し、看護師など医療従事者が濃厚接触者となるケースが相次いでいることから、一般病床をふだんより30床ほど減らして対応しているということです。

「済生会境港総合病院」の山本博子看護部長は「救急外来の電話が朝からずっとひっきりなしで、従来の人員では到底足りないため、増員して対応しています。限られた人員で協力しながら診療を途絶えさせずに受け入れをしていきたい」と話していました。