【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8月1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領「制裁は世界市場でのインフレ加速考慮せず」

ロシアのプーチン大統領は1日、クレムリンでロシアの金属産業に関するオンラインでの会合を開催しました。

このなかで、プーチン大統領は、欧米側はロシアの金属産業に対しても制裁を科していると指摘したうえで「こうした制裁の決定は、政治的な利益や日和見主義的な利益のために下されたものだ。世界市場での建築材料のコストの上昇やインフレが加速することなども考慮されておらず、同じことはエネルギー部門でも起きている。ヨーロッパの政治家は、市民の生活の質が低下することなどに関心がないのだ」と述べ、制裁を強化する欧米側をけん制しました。

そのうえで「ロシアは、政治的な問題とは関係なく、外国のパートナーにとって常に信頼でき、責任のある供給者であり続ける」と述べ、資源大国として強気の姿勢を示しました。

“核抑止は必要だという流れ 変えなければいけない” 広島市長

広島市の松井市長は、被爆から77年となる今月6日の「広島原爆の日」に読み上げる「平和宣言」の概要を公表しました。「平和宣言」では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて核の抑止力は必要だとする考えが世界中で広がっているとして、その流れを変えなければいけないと強調するとしています。そして、「戦争と平和」で知られるロシアの作家トルストイの言葉を引用し、他者を威嚇して自分中心の考えを押し通すことは許されないと非難しています。

ウクライナ南部の港から貨物船が出発へ トルコ国防省

再開の時期が焦点となっていたウクライナ南部の港からの小麦などの輸出について、トルコ国防省はさきほど「ウクライナの港から最初の船が出港する」として現地時間午前8時半、日本時間午後2時半にトウモロコシを積んだ貨物船が出発するとツイッターで発表しました。ロシアの軍事侵攻を受けて止まっていたウクライナ産の小麦などの輸出が再開に向けて動き出すことになります。

ゼレンスキー大統領 南部への砲撃を非難 小麦輸出再開が焦点

ロシア国防省は31日、ウクライナ南部のミコライウ州やヘルソン州で空爆を行い、ウクライナ軍の兵器などを破壊したと主張しました。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は31日に公開した動画で「戦争の全期間を通じて、ミコライウ市と州に対する最も残忍な砲撃の1つが行われた。数十発のミサイルとロケット弾が住宅や学校、その他の社会基盤や産業施設に撃ち込まれた」と強調しました。

さらに、ウクライナの大手穀物輸出企業の経営者夫妻がミコライウ市内の自宅で砲撃により死亡したことについて「世界の食料安全保障を支えてきたのは、まさにこのような人々や企業だ。ロシアのテロリストはウクライナの社会と産業の潜在力を破壊できるなどと期待しないほうがいい」と述べ、ロシアによる攻撃を厳しく非難しました。

ウクライナ産の小麦などの輸出再開をめぐっては、トルコが仲介役を担っていて、カルン大統領首席顧問は地元メディアに対し、1日にも穀物を積んだ船が出港するという見通しを示しています。

ロシア軍がウクライナ南部で激しい攻撃を続けるなか、小麦などの輸出がいつ再開されるかが焦点となっています。

NPT再検討会議開催へ ウクライナ情勢のなか一致できるか

世界の核軍縮の方向性を議論するNPT=核拡散防止条約の再検討会議が、ニューヨークの国連本部で日本時間の1日夜から始まります。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で核の脅威が高まる中、核保有国を含む国際社会が核軍縮に向けて一致できるかどうかが焦点です。

NPTは、国連加盟国のほとんどにあたる191の国と地域が参加している国際条約で、核兵器を保有するアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国に核軍縮に向けた交渉を義務づける一方、そのほかの国には核兵器の開発や保有を禁止しています。

ことし2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻のあと、核兵器が使用されることへの懸念が高まり、ヨーロッパなどで軍備を増強する動きが広がっているほか、東アジアでは中国や北朝鮮の核戦力の増強への警戒も高まっています。

核をめぐる国際社会の対立や分断が深まる中、再検討会議では各国が合意文書をまとめることができるかが、焦点となっています。

ロシア軍 南部で空爆

ロシア国防省は31日、ウクライナ南部のヘルソン州やミコライウ州で空爆を行い、ウクライナ軍の兵器などを破壊したと主張しました。

一方、ミコライウ市の市長が31日、SNSに「これまでで最も激しい攻撃に遭い、多くの住宅が被害を受けた」と投稿したほか、ウクライナのイエルマク大統領府長官は、大手穀物輸出企業の経営者夫妻が、ミコライウ市内の自宅でロシア軍の砲撃を受けて死亡したとSNSに書き込みました。

小麦輸出再開 トルコ高官「1日出港の可能性高い」

ウクライナからの小麦などの輸出の再開をめぐり、トルコのカルン大統領首席顧問は7月31日、トルコの民放のインタビューに応じました。

この中で、カルン首席顧問は「船は出港できる状態だ。イスタンブールにある共同調整センターで詳細を詰めている」と述べ、貨物船への積み込み作業はすでに完了し、ウクライナとロシア、それにトルコと国連で話し合いを続けていることを明らかにしました。

そのうえで、カルン首席顧問は「交渉がまとまれば、最初の船は1日の朝に港を出る可能性が高い。1日でなければ2日だ」として、近く穀物を積んだ船がトルコに向けて出発するという見通しを示しました。

農家から早期輸出再開を望む声

ウクライナでは、小麦が収穫の時期を迎えていて、農家からは、早期の輸出再開を望む声があがっています。

キーウ州南部の農家、バシル・ソローカさん(50)は、およそ600ヘクタールの広さの小麦畑を持っています。

ソローカさんの畑でも、現在収穫の時期を迎えていて、7月30日には、大型の農業機械を使って、黄金色に実った小麦を次々と刈り取っていました。

ソローカさんは、「港が開くことは、小麦などの生産者に希望を与えるものだ。海上での輸出再開は、収入や売り上げの増加につながるだろう。政府にはほかの国などとともに輸出再開に向けて取り組んでほしい」と話していました。