“捕虜収容施設攻撃”でウクライナがロシア非難 検察捜査開始

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、東部ドネツク州にあるウクライナ側の捕虜が収容されていた施設が攻撃を受けて50人以上が死亡したとして「ウクライナ人捕虜の大量殺人だ」と強く非難しました。ウクライナの検察当局は、ロシア側の責任を追及するため捜査を始めたことを明らかにしました。

ロシア国防省は29日、ウクライナ東部ドネツク州の、親ロシア派が支配する地域にあるオレニウカの捕虜の収容施設が攻撃を受け、多くのウクライナ側の捕虜が死亡したと発表しました。

国営のロシア通信が伝えた映像には、屋根が大きく壊れ、施設の中には多くの焼け焦げた2段ベッドが並んでいる様子が映されています。

ロシア国防省は、攻撃にはアメリカから供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースが使われたと主張し、「挑発だ」と批判しています。

これに対し、ウクライナ軍の参謀本部は29日、ロシア側の主張を全面的に否定したうえで、「ロシアの占領者は、ウクライナが『戦争犯罪』をしたように見せかけ、捕虜の拷問や処刑を隠そうとしている」と強く非難しました。

また、ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、今回の攻撃で50人以上が死亡したとしたうえで「意図的な、ロシアの戦争犯罪でウクライナ人捕虜の大量殺人だ」と非難し、ウクライナの検察当局はこの攻撃について捜査を始めたことを明らかにしました。

EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は29日、「EUは、ロシア軍などが行った残虐行為を可能なかぎり強いことばで非難する」と述べるなど国際社会からも批判が相次いでいます。

ゼレンスキー大統領「ウクライナ人捕虜の大量殺人」

ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派が支配する地域にある捕虜の収容施設が攻撃を受けたことについてウクライナのゼレンスキー大統領は29日に公開したビデオメッセージで50人以上が死亡したと明らかにしました。

そのうえで、ゼレンスキー大統領は「意図的な、ロシアの戦争犯罪で、ウクライナ人捕虜の大量殺人だ」と非難しました。

また、ウクライナのクレバ外相はツイッターで「ロシアは、もう1つ恐ろしい戦争犯罪をした」としたうえで、「この残虐な国際人道法に違反する行為を強く非難し、ロシアをテロ国家に指定するよう求める」と訴えました。

ウクライナの検察当局は、この攻撃について捜査を始めたことを明らかにしています