【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(30日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる30日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

中高校生 ウクライナの今の状況を知り支援を考える

中学生や高校生がウクライナの今の状況を知るとともに、自分たちができる支援について考えるフォーラムがオンラインで開かれました。

このフォーラムは、都内の私立高校の生徒たちが、ロシアの軍事侵攻によってウクライナの若者が命を落としたり家族や友人と離れて戦ったりしている現状を知って企画しました。

各地の中高生およそ100人がオンラインで参加し、ウクライナの首都、キーウからSNSで情報発信を続けているボグダン・パルホメンコさんが「ここ数日も近所にロケットが撃ち込まれたり、捕虜となった弟の友人が収容されている施設が爆破されたりして、身近なところでの被害に悲しみを感じています」と話しました。

また、ウクライナから日本に避難している高校生や大学生3人もスピーチし、「妹とテレビゲームをしていたらロシアの軍事侵攻が始まり、『亡くなった時のために写真を撮ろう』と妹から声をかけられた」と話し、日常が突然、一変したことを伝えていました。

このあと生徒たちは自分たちができる支援について考え、署名活動や募金、それにSNSで支援の気持ちを表すことなど、さまざまな意見を出し合っていました。

フォーラムを企画した1人、渋谷教育学園渋谷高校の2年生、佐藤裕成アレックスさんは「国連や政治家でも解決できない難しい問題を中高生が解決することはできないが、小さな支援でも、できることを考えたい」と話していました。

国連安保理 穀物輸出合意も輸出拠点攻撃のロシアを強く非難

小麦などの輸出の再開に向け合意したにもかかわらず、ロシアがウクライナの輸出拠点をミサイル攻撃したことについて国連の安全保障理事会では、欧米各国が強く非難したのに対し、ロシアは、攻撃は合意に反するものではないとして「今後もウクライナ軍の施設を破壊し続ける」と主張しました。

ロシア マリウポリの再建計画を一方的に策定

ロシアのプーチン政権で、都市開発などを担当するフスヌリン副首相が、ウクライナ東部のマリウポリの再建に向けた基本計画を策定し、29日、プーチン大統領に報告しました。
計画は、ロシア側が一方的に策定したもので、激しい戦闘で破壊された、学校や病院など90か所を再建し、空港や鉄道駅は新たに建設するとしています。ロシアは、掌握したと主張する地域で、支配の既成事実化を進めており、今回の計画に対してもウクライナ側の反発が予想されます。

ゼレンスキー大統領 南部の港で輸出再開準備を視察

ウクライナのゼレンスキー大統領は、29日、黒海に面する南部のチョルノモルシク港を訪れ穀物などの輸出再開に向けて、準備が進められる様子を視察しました。
そのうえで、ゼレンスキー大統領は「われわれの輸出の準備は完了し国連とトルコから受け入れ準備が整ったと連絡がありしだい、輸出を開始する」と述べ、早期の輸出再開に期待を示しました。
また港には、ウクライナに駐在するアメリカやイギリスをはじめとする欧米の大使なども訪れ、ウクライナの大統領府によりますと、各国の大使らはゼレンスキー大統領と国際的な支援などについて意見を交わしたということです。
イギリスのシモンズ大使は「穀物の輸出の合意を確実なものにするために、ロシアがその役割を果たすようイギリスも各国と同様に関心を払っていく」と述べ、輸出再開に向けロシアがウクライナなどと交わした合意が守られるか、各国とともに注視していく考えを示しました。

輸出再開の最初の船 “出港は早くても31日以降”

ウクライナ南部のチョルノモルシク港に停泊し、穀物などの輸出再開の最初の船になるとみられる貨物船の船長が、29日にトルコの民放「CNNトルコ」のオンライン・インタビューにこたえました。この中で船長は「29日の朝から穀物を積み始め、31日の日曜日に作業が終わる。その後、船はイスタンブールへ向かう」と述べ、出港は早くても31日以降になるという見通しを示しました。

また国連のハク副報道官は29日の定例会見で、穀物などを積んだ船はウクライナ側からまだ出港していないとしたうえで「最終的な目標は船の安全を確保することだ。緊急事態が起きた場合の対応などすべての手続きが整えば最初の船が出港する」と説明し、具体的な時期には言及しませんでしたが、安全確保などの手続きが終わり次第、穀物などを積んだ船が近く出港するという見方を示しました。

ロシア「捕虜収容施設攻撃受け40人死亡」と発表

ロシア国防省は29日、ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派が支配する地域にある捕虜の収容施設が攻撃を受け、ウクライナ側の兵士などで捕虜となっていた40人が死亡し、75人が負傷したと発表しました。
攻撃にはアメリカから供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースが使われたと一方的に主張し「挑発だ」と批判しています。

これに対し、ウクライナ軍の参謀本部は29日、フェイスブックで声明を発表し「ウクライナ軍は、周辺でミサイルを発射しておらず、各国から支援を受けた精度の高い武器は、ロシアの軍事目標にだけ極めて正確な攻撃を行っている」として、ロシア側の主張を全面的に否定しました。
そのうえで「ロシアの占領者は、ウクライナが『戦争犯罪』をしたように見せかけ、囚人の拷問や処刑を隠そうとしている。ロシア側の一連の発言は全くのうそと挑発で、その責任はロシアにある」と強く非難しました。