解熱鎮痛薬「カロナール」出荷調整へ 新型コロナで需要急増

新型コロナウイルスの患者の急増に伴って医療機関で処方される解熱鎮痛薬「カロナール」の需要が急速に高まり、安定的な供給に支障が出るとして、製薬会社は当面、出荷量を調整するなどと発表しました。日本薬剤師会は「別の選択肢となる解熱鎮痛薬は他にもあり、心配はない」として冷静な対応を呼びかけています。

「カロナール」(一般名アセトアミノフェン)は国内の製薬会社あゆみ製薬が製造し、医療機関で広く使用されている解熱鎮痛薬で新型コロナの患者にも処方されています。

製薬会社によりますと、患者の急増で想定を大幅に超える需要が発生したため生産が追いつかず、安定的な供給に支障が出るとして当面、カロナールの錠剤や座薬など9種類について出荷量を調整する「限定出荷」の対応をとると発表しました。

このほか、カロナールのシロップなど2種類を出荷停止としました。

薬局などで市販しているほかの薬は限定出荷の対象ではないとしています。

あゆみ製薬は「想定を大幅に上回る需要が継続して、一時的に欠品となるおそれが出たため、限定出荷や出荷停止となりおわび申し上げます。速やかに解除できるよう安定供給体制の確保などに努力を尽くします」とコメントしています。

日本薬剤師会は「『カロナール』はほとんどの患者の最初の選択肢となる解熱鎮痛薬ではあるが、これ以外にも同様の効果のある薬はあり心配はない」として冷静な対応を呼びかけています。

厚労省 医療機関や薬局などに買い込み控えるよう通知

「カロナール」の出荷量が調整されることが決まったことを受けて、厚生労働省は29日、全国の医療機関や薬局などに大量に仕入れる買い込みを控えるよう通知しました。

厚生労働省は、新型コロナの感染拡大で「カロナール」などの「アセトアミノフェン」という熱を下げる効果がある成分を含む解熱鎮痛薬の需要が急増しているとして、今後も子どもなど必要性がより高い人に安定期に供給できるよう大量に仕入れる買い込みを控え、当面の必要量に見合う量を購入してほしいとしています。

そのうえで、代替薬として熱を下げる効果がある「イブプロフェン」や「ロキソプロフェン」などの成分を含む解熱鎮痛薬の使用を検討してほしいとしています。