【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(29日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる29日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ミコライウ州でロシアによる攻撃 5人死亡

ウクライナ南部ミコライウ州のキム知事は29日、SNSに投稿し、ロシアによる攻撃が住宅地にある公共交通機関の乗り場近くを直撃したとして、5人が死亡、7人がけがをしたと明らかにしました。

そのうえで「2日続けてロシア軍は昼間に攻撃をしている。防空警報に注意し、身の安全を守ってほしい」と述べ、市民に引き続き攻撃への警戒を呼びかけています。

ウクライナ 早ければ29日に小麦などの輸出再開へ

ウクライナ南部の港から小麦などの輸出が滞っている問題の解決に向けては、ロシアとウクライナが仲介役のトルコと国連と交わした合意に基づいて、27日、トルコのイスタンブールで船の安全な航行を監視するセンターの運用が始まり、ウクライナ側は、南部オデーサなど3つの港で業務を再開したと発表しています。

輸出の状況について、国連で人道問題を担当するグリフィス事務次長は28日、記者会見で、最初の船が早ければ29日にかけて出港するという見方を示すとともに、合意のもとで輸出が順調に進むことに期待を示しました。

また、グリフィス事務次長は、食料危機に対応するため、WFP=世界食糧計画がウクライナ産の穀物の購入を検討していると明らかにしました。

ロシア軍による黒海の閉鎖の影響で世界的に食料価格が高騰する中、輸出が順調に再開され、食料供給の安定につながるのか注目されます。

ドネツク州で激しい砲撃 4人死亡 5人けが

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は29日、SNSに投稿し、バフムトで激しい砲撃があり、30以上の住宅や幼稚園などが攻撃を受け、合わせて4人が死亡し、5人がけがをしたと明らかにしました。

またキリレンコ知事は、ウクライナ側が拠点としているスロビャンシクなども攻撃を受け、けが人が出ているとしています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日の分析で、ロシア軍はバフムト周辺で限定的な攻撃を行っているとして、ロシア側が掌握したと主張するウクライナのブフレヒルシク発電所などを拠点に北上を試みようとしているとみています。

ウクライナからの避難者の65% “日本に滞在したい”

ウクライナからの避難者に渡航費や生活費などを支給している日本財団では、支援と合わせて生活に関するアンケートを行っていて、これまでに回答が寄せられた260人分の結果をまとめ、記者会見して公表しました。

この中では、帰国について「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」と答えた人は65%で、「日本の環境で判断したい」の25%、「早く帰国したい」の2%を大きく上回りました。

一方、支援が不足していると思うことを複数回答で聞いたところ、「就労機会、職業訓練」が38%と最も多く、「日本語教育」が26%、「医療」が22%などとなりました。

また、不安や困りごとを聞いたところ、「眠れないことがある」と答えた人が26%、「孤独を感じる」が25%でした。

アンケートの結果を受けて日本財団はこれまで1000人を上限としていた生活費などの支給対象者を2000人に拡充するとともに、各地の支援団体との連携を強化しきめ細かい支援態勢を構築することにしています。

仏・サウジアラビア会談 エネルギー市場への対応を協議か

フランスのマクロン大統領は28日、パリを訪れているサウジアラビアのムハンマド皇太子と会談しました。

EU=ヨーロッパ連合はロシアに対する制裁措置として、船でロシアから運ばれる原油を対象に、今後禁輸する方針を決めていて、中東・産油国など新たな原油供給先の確保を進めています。

主な産油国が原油の生産方針を話し合う「OPECプラス」の協議が8月3日に迫る中、会談で両首脳は価格の高騰が続くエネルギー市場への対応などについて意見を交わしたとみられます。

ムハンマド皇太子は2018年にトルコで起きたジャーナリストの殺人事件に関与したと指摘され、国際的な非難を受けています。

マクロン大統領はエネルギーの安定供給でサウジアラビアに協力を取り付けるねらいがあるものとみられますが、フランス国内の人権団体などからは批判の声も上がっています。

スタジオで反戦訴え ロシア国営テレビ元職員に再び罰金刑

ことし3月にロシア国営テレビのニュース番組の放送中、スタジオに入って反戦を訴えた元職員のマリーナ・オフシャンニコワさんが、28日、再び罰金刑を科されました。

ロシアメディアによりますと、オフシャンニコワさんは、今月、SNSで「戦争犯罪者は国際法廷の被告席につくことになる」などと訴えたとして、軍の信用を失墜させた罪に問われ、28日に首都モスクワで開かれた裁判で罰金5万ルーブル、日本円で11万円余りの判決を言い渡されたということです。

オフシャンニコワさんは、ことし3月にも、ウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領を批判し、抗議活動を呼びかけるビデオメッセージをSNSに投稿したことを巡り、罰金刑を受けていました。オフシャンニコワさんは、その後、国営テレビを辞職し、フリーの記者として活動しながら反戦を訴え続け、今月17日にはロシアの当局に一時、身柄を拘束されました。

判決のあとオフシャンニコワさんは「政権側は私を脅すことはできない。変わらず反戦を訴え続ける」と話しました。

ウクライナ穀物輸出 “一両日中にも最初の船出港” 国連担当者

国連で人道問題を担当するグリフィス事務次長は28日、ニューヨークで記者会見し、ロシア軍による封鎖で滞っていたウクライナの港からの穀物などの輸出について、いくつかの手続きが残っているとしながらも、最初の船が早ければ28日から29日にかけて出港するという見方を示しました。

今月27日には、ロシアとウクライナが仲介役のトルコと国連と交わした合意に基づいて、船の安全な航行を監視する「共同調整センター」がトルコのイスタンブールに設置され、輸出再開に向けた準備が進められていました。

世界的に食料価格が高騰するなか、輸出が順調に再開され、食料供給の安定につながるのか注目されます。

ウクライナ中部 ミサイル攻撃で5人死亡25人けが

ウクライナ中部キロボフラ-ド州のライコビッチ知事は28日、SNSに投稿し、州内の都市、クロピブニツキーでミサイル攻撃があり、5人が死亡、25人がけがをしたと明らかにしました。

またこの攻撃について知事はメディアに対し「国立航空大学のフライトアカデミーの格納庫に着弾した」と述べました。

ウクライナ軍高官 “キーウ郊外の軍事施設にミサイル攻撃”

ウクライナ軍の高官は28日、首都キーウで記者会見を開き、キーウ郊外の軍事施設が28日早朝、ロシア軍によるミサイル攻撃を受けたと明らかにしました。

攻撃があったのは28日午前5時ごろで、ロシア軍はクリミア半島周辺から巡航ミサイル6発を発射したということで、施設の3つの建物が被害を受け、このうち1つが倒壊したとしています。