解熱鎮痛剤「カロナール」出荷調整へ コロナで需要高まり

新型コロナウイルスの患者の急増に伴って、医療機関で処方される解熱鎮痛剤「カロナール」の需要が急速に高まっているとして、製薬会社が、近く出荷量を調整する方向で厚生労働省と検討しています。日本薬剤師会は「別の選択肢となる解熱鎮痛剤は他にもあり、心配はない」として、冷静な対応を呼びかけています。

「カロナール」(一般名アセトアミノフェン)は、国内の製薬会社あゆみ製薬が製造し、医療機関で広く使用されている解熱鎮痛剤で、新型コロナの患者にも処方されています。

製薬会社によりますと、ワクチン接種の副反応などに備えて、今年度は年間20億錠近くを生産できる増産体制をとってきましたが、今月に入ってから患者の急増で、想定を大幅に超える需要が発生したということです。

製薬会社は、今後の需要の見通しが立たないとして、近く出荷量を調整する「限定出荷」を始める方向で厚生労働省と検討しています。

限定出荷になった場合、卸売業者に対して出荷数の割り当てを行う計画で、その際は、医療機関に代わりとなる薬を紹介し、診療に影響が出ないよう配慮するとしています。

また、薬局などで市販しているほかの薬は、限定出荷の対象ではないとしています。

あゆみ製薬は「第7波の影響で、想定を大幅に上回る需要が継続しており、お盆前の需要も考慮した場合、一時的に欠品となるおそれが出てきた。限定出荷をさせていただく方向となり、お詫び申し上げます」とコメントしています。

日本薬剤師会は「『カロナール』は、ほとんどの患者の最初の選択肢となる解熱鎮痛剤ではあるが、これ以外にも同様の効果のある薬はあり、心配はない」として冷静な対応を呼びかけています。

日本薬剤師会「解熱鎮痛剤は他にもあり心配する必要はない」

新型コロナの第7波による需要の急拡大で、解熱鎮痛剤「カロナール」の錠剤の出荷量の調整が行われる見通しとなる中、日本薬剤師会では「解熱鎮痛剤は他にもあり、心配する必要はない」と冷静な対応を呼びかけています。

「カロナール」は原則、医師の処方が必要な解熱鎮痛剤で、含まれている「アセトアミノフェン」という成分に、痛みを抑えたり熱を下げたりする効果があります。

日本薬剤師会によりますと、比較的副作用が少なく、胃や腎臓に負担が小さいとされるため、子どもやお年寄り、それに、妊婦などにも広く使われています。

しかし、出荷が限定的になっても「アセトアミノフェン」が配合された解熱鎮痛剤は、薬局などで購入できるものも含めて、さまざまな種類があるため、代わりとなる薬は用意できるということです。

また、「イブプロフェン」や「ロキソプロフェン」などの、別の成分が配合された解熱鎮痛剤もあり、医師の処方が必要なくても購入できるものも広く販売されていて、在庫も十分にあるということです。

日本薬剤師会の副会長で、東京で薬局を経営する安部好弘さんは「解熱鎮痛剤として使える薬はたくさんあり、『カロナール』はその一つであってすべてではないので、心配する必要はない」と述べ、冷静な対応を呼びかけました。

そのうえで「薬によっては子どもに使えなかったり、効果に違いがあったりするので薬剤師に相談してほしい」と話していました。