9月分の電気料金 大手電力10社 過去5年間で最も高い水準に

大手電力10社のことし9月分の電気料金が、比較できる過去5年間で最も高い水準になります。火力発電の燃料となるLNG=液化天然ガスなどの価格高騰が理由です。

大手電力10社は28日、9月分の電気料金を発表しました。

使用量が平均的な家庭の電気料金を、8月分と比べると、
▽中部電力は、364円値上がりして9111円
▽東京電力は、8円値上がりして9126円となります。

各社の電気料金は、LNGや石炭など火力発電の燃料価格の高騰分を転嫁できる上限が決まっていて、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、10社のうち、東京電力と中部電力以外の8社は、8月分までに上限に達し、これ以上、値上げができない状況になっています。

大手電力10社の9月分の電気料金は、比較できる過去5年間で最も高い水準となります。

また、9月分のガス料金も、都市ガスの原料となるLNG価格の高騰を受けて、大手ガス会社4社のうち、3社で値上がりします。

8月分と比べると、使用量が平均的な家庭では、
▽東邦ガスが、138円上がって7361円
▽大阪ガスが、125円上がって6726円
▽西部ガスが、100円上がって6827円となります。

また、東京ガスは、7月分からLNG価格の上昇分を小売価格に転嫁できる上限に達したため、使用量が平均的な家庭では、8月分と変わらず5886円となります。

電力会社「自由料金」の設定 見直す動きも

2016年4月にスタートした家庭向けの電力小売りの自由化によって、電力会社は料金プランを独自に設定し、利用者側も電力会社を自由に選べるようになりました。

ただ、すべての利用者が、すぐに料金プランなどを変更するわけではないため、経過措置が導入され現在も続いています。

このため電気料金は、
▽電力の安定供給に必要なコストを上乗せできる代わりに、値上げの際は国の認可が必要な「規制料金」と呼ばれる体系と、
▽たとえば、ガスやインターネットなどとセットで契約すると割り引きを受けられる「自由料金」と呼ばれる体系が併存する形となっています。

電力会社の間では、燃料価格の高騰が続く中、このうち「自由料金」の設定を見直す動きが出ています。

▽四国電力は7月、契約数がおよそ55万件に上る主にオール電化の住宅向けに設定していた料金プランを見直すと発表しました。

燃料価格の高騰が続けば、ことし11月分の電気料金から値上げされることになります。

また、
▽中部電力も7月、契約数が350万件程度の家庭向けのプランで、燃料費の上昇分を転嫁できるようにしたほか、
▽東北電力も「値上げを含む料金プランの見直しに向けて具体的な検討を行う」と明らかにしました。

一方、「規制料金」については、国に対して申請を行い認可を受ける必要があるため、値上げまで4か月程度かかるとされていて、厳しい経営環境のなか、燃料コストをどのように反映させていくか、難しい対応を迫られています。