チュニジア 近く憲法改正で大統領権限大幅強化へ 政治混乱懸念

北アフリカのチュニジアで国民投票の結果、近く憲法が改正され、大統領の権限が大幅に強化される見通しとなりました。
野党などは独裁への道を開くものだと反発していて、民主化運動「アラブの春」で唯一の成功例とも言われたチュニジアで、政治の混乱が深まることが懸念されます。

チュニジアのサイード大統領は3年前に選挙で選ばれて以来、政治や経済の混乱をおさめるためとして、議会を停止するなど、強権的な統治を強めてきました。

そのサイード大統領が主導する憲法改正案をめぐって行われた国民投票について、26日、選挙管理委員会は、暫定的な開票結果として賛成票は94.6%に達したと発表し、近く憲法が改正される見通しとなりました。

これによって、大統領は議会の承認なしに首相を指名したり、議会に代わって大統領だけが政府の責任をただすことができるようになったりします。

これに対し、野党や労働組合などは、独裁への道を開くものだと反発するとともに、投票率が30.5%と低かったことは、多くの有権者が改正に反対している証しで、結果は受け入れられないとしています。

チュニジアは11年前、市民の大規模なデモで独裁的な政権を倒した民主化運動「アラブの春」の唯一の成功例とも言われましたが、今回の憲法改正によって、政治の混乱が深まることが懸念されます。