米FRB 2回連続0.75%大幅利上げ 記録的インフレの現場は…

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は27日まで開いた会合で、0.75%の大幅な利上げを決めました。先月に続いて2回連続で0.75%という異例の利上げに踏み切り、記録的なインフレを抑え込む姿勢を鮮明にしました。

FRBは27日までの2日間、金融政策を決める会合を開き、政策金利を0.75%引き上げることを決めました。

0.75%は1回の利上げとしては通常の3倍の上げ幅です。

FRBは先月の会合で、0.75%の利上げを決定しています。

今回と合わせると利上げ幅は2か月で1.5%となり、海外メディアは1980年代に当時のFRBのボルカー議長がインフレを封じ込めたとき以来およそ40年ぶりの金融引き締めだと伝えています。

これによって政策金利は2.25%から2.5%の幅となります。

アメリカでは幅広い分野で物価が上がっていて先月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて9.1%上昇しおよそ40年半ぶりの水準となりました。

FRBとしてはこうした記録的なインフレを急ピッチの利上げによって抑え込む姿勢を鮮明にしました。

ただ、急激な利上げが個人消費や経済活動に影響を与え始めているという指摘も出ています。

景気の大幅な減速を招かずにインフレを抑え込めるか、今後のFRBの金融政策に注目が集まります。

FRB「戦争と関連するできごとがインフレ圧力に」

FRBの金融政策を決める会合は声明で「物価上昇率は新型コロナウイルスのパンデミックにともなう需給の不均衡や、食品とエネルギー価格の高騰などを反映して高止まりしている」としたうえで「ロシアのウクライナに対する戦争が人々と経済にとてつもない苦難をもたらしている。戦争と関連するできごとがインフレ圧力をもたらし、グローバルな経済活動の重荷になっており、FRBの会合としてはインフレリスクを高いレベルで注視している」として大幅な利上げを決めた理由を説明しています。

一方で前回の会合の声明で「経済活動は第1四半期に低下したあと、持ち直している」としていた表現がなくなり、今回の声明では「消費と生産に関する指標がこのところ鈍化している」と指摘し、経済活動全体が減速しているという認識を示しています。

パウエル議長 インフレ抑制へ強い決意示す

FRBのパウエル議長は会合のあとの記者会見で、2回連続の異例の大幅な利上げについて、「ロシアのウクライナに対する戦争の影響でガソリンや食料の価格が上がり、インフレ率のさらなる上昇圧力になっている。食料や住宅など生活に欠かせないものの物価上昇は人々に大きな苦痛を強いている」として、インフレの抑制に向けた強い決意を改めて示しました。

そのうえで、次回9月の会合でも、もう一度異例の大幅な利上げが適切だと判断する可能性があるという認識を示しました。

またアメリカ経済の現状については、利上げなどの金融引き締めによって個人消費の伸びが大幅に鈍化しているうえ、第1四半期に大きく伸びた企業の投資も第2四半期には減少するなど、経済活動全体が減速しているという認識を示しましたが、「景気が後退しているとは思わない」と述べました。

一方、パウエル議長は、「金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれて、これまで積み重ねてきた政策効果を見極めながら利上げのペースを緩めることが適切になる可能性がある」と述べ、今後、利上げペースを緩める可能性に言及しました。

またこれまでの会見では、次回の会合での具体的な利上げ幅の見通しを示していましたが、今回の会見では消費者物価指数などこの間に発表される経済指標などをしっかりと見極めていくと述べるにとどめ、利上げ幅については触れませんでした。

これまでの状況は

新型コロナウイルスの感染が拡大したおととし、2020年3月、金融市場の動揺を抑えるため、FRBは政策金利を0.5%、1%と相次いで緊急利下げを実施。ゼロ金利政策を導入しました。

去年12月以降、消費者物価が7%以上となりインフレが加速したことから、FRBは3月の会合で0.25%の利上げを決めてゼロ金利政策を解除。金融引き締めへと転換します。利上げは3年3か月ぶりでした。

さらに5月の会合で22年ぶりとなる0.5%の利上げと「量的引き締め」と呼ばれる金融資産の圧縮に乗り出すことも決めました。

しかし、6月に発表された5月の消費者物価指数は8.6%の上昇と、およそ40年半ぶりの記録的な水準になりました。エネルギー価格の高騰や、人手不足に伴う賃上げの動きを背景に、インフレに収束の兆しは見えませんでした。

このため6月の会合ではおよそ27年半ぶりとなる0.75%の大幅な利上げを決めました。

今月6日に公表されたこの6月の会合の議事録では参加者たちがインフレに強い警戒感を示し、「経済成長のペースを一時的に遅らせたとしてもインフレ抑制が重要だ」という認識を確認し、「インフレ圧力が続く場合はより厳しい政策が適切だ」とする方向性を共有していました。

ピザ店では

記録的なインフレが続くアメリカでは食料品の価格が幅広く値上がりして、市民の生活を圧迫しています。

ニューヨークで創業から50年を超える老舗のピザ店ではチーズや小麦粉などの原材料の値上がりを受けて値上げに踏み切ることを決めました。先週からメニューの価格を書き換える作業を始めています。準備が整い次第値上げするということです。

値上げ幅はピザによって異なりますが平均で10%から20%上昇し、このうち、この店の人気メニューであるチーズとトマトのピザは18インチで25ドル50セントから(およそ3490円)29ドルに(およそ3970円)値上げとなります。

店のマネージャーは「今はあらゆる原材料が値上がりしているのでピザを値上げするしかない。一品目が値上がりするというのは過去にもあったが、同時にあらゆる物が値上がりするというのはこれまで経験したことがない。採算がとれなくて販売の中止を余儀なくされた商品もある」と話しています。

また、店の客からは「値上げになるのは残念です。これほど急激な物価上昇は経験したことがありません。スーパーに行ってもあらゆる物が値上がりしているように見えます。昼食も買いに行く代わりに家から持って行くなどして節約しています」といった声が聞かれました。

スポーツ用品店では

アメリカで続く記録的なインフレは衣類や靴などにも及んでいます。

東部ニュージャージー州でスニーカーなどの靴やスポーツウエアを販売するスポーツ用品店では、ことしに入ってすべての商品が10%から15%程度、値上がりしたということです。中には販売価格が90ドルから130ドルに値上がりしたスニーカーや、45ドルから60ドルに値上がりしたTシャツもあるということです。

店によりますとことしに入ってからは来店客数はおよそ半分に減り、売り上げが落ち込み始めているということです。

店のマネージャーは「1つのブランドだけでなくすべてのブランドが値上げをしていて多くの人たちの懐に影響しています。私たちも大きな影響を受けていてこの店で働いてもうすぐ10年になりますがことしは最悪の年です」と話していました。

店の利用客は「靴の値段の値上がりには気付いています。以前は90ドルだった靴が今は110ドルになり、一気に値上がりしていて、予算を超える靴を買うかどうかよく考えなくてはならなくなっている」と話していました。

ガソリンスタンドでは

アメリカではガソリン価格の高騰が続き、インフレ圧力を強めています。

ニューヨークのガソリンスタンドでは7月23日の時点で、レギュラーガソリンの価格が1ガロンあたり(=3.78リットル)4ドル59セントでした。

ことし2月下旬のロシアによるウクライナへの軍事侵攻の前には、1ガロンあたり3ドル前後の水準で推移していましたが、4月に4ドルを超え、5月には5ドルを超えたということです。

アメリカのエネルギー情報局によりますと全米のレギュラーガソリンの平均価格は去年5月までは1ガロンあたり2ドル台、その後、3ドル台で推移してきましたが、ことし3月初旬に4ドル台に、そして6月中旬に5ドルを超えて最高値を更新しました。1年前と比べた上昇率は60%を超えました。

6月下旬から7月にかけてガソリン価格は下落に転じ、このガソリンスタンドでも先週、1ガロンあたり5ドルを下回りましたが、依然として高止まりしています。

訪れた利用客からは「45ドルを払って給油できるのはタンクの半分の量で、価格が高すぎます」といった声や、「弟に会うため月に2回、車を3時間、運転してペンシルベニア州に行っていたのですが月に1回に減らしました」といった声が聞かれました。