“感染者や濃厚接触者の急増で社会活動全体に影響”専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国的にこれまでで最も高い感染レベルを更新し続けていて、医療体制に大きな負荷が起きている地域もあり、社会活動全体への影響も生じていると指摘しました。

感染リスクを伴う接触機会を可能なかぎり減らすことが求められ、それぞれが感染しない、感染させない対策をとるよう呼びかけています。

専門家会合は、現在の感染状況についてことし1月からの「第6波」を大きく超え、これまでで最も高い感染レベルを更新し続け、感染者や濃厚接触者の急増で社会活動全体への影響も生じていると指摘しました。

病床使用率はほとんどの地域で3割を超え、5割を超える地域も増えていて、特に沖縄県では8割を超えて厳しい状況にあり、医療従事者の感染が増えて医療体制への負荷が起きているとしています。

救急搬送が困難なケースも全国的に急増して、第6波のピークに近づき、新規感染者数は高齢者を含めて、すべての年代で増えていて今後、重症者や死亡者の増加が懸念されるとしています。

また、すでに感染力の強い「BA.5」に置き換わったと推定され、全国的に今後も過去最多の感染者数の更新が予測されるため、最大限の警戒感を持って医療体制への影響を注視する必要があると強調しました。

専門家会合はそれぞれが感染しない、感染させないための対策に取り組むことが必要だとしていて、大人数での会食やお盆や夏休みの帰省などで高齢者と接する場合に事前の検査を推奨し、症状のある人が医療機関を受診する前に抗原検査キットで自分で検査できるようにするためキットの安定的な供給が重要だと指摘しました。

また、ワクチン接種のさらなる促進、効果的な換気などが必要だとしていて、基本的な感染対策として少しでも体調が悪ければ外出を控えることや、リモートワークを再び推進すること、それにイベントや会合を行う場合は感染状況を踏まえて開催の可否を検討することなどを求めました。

前週比1.89倍 これまでにないレベルでの感染拡大

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、26日までの1週間の新規感染者数はすべての都道府県で増加が続き、全国では前の週と比べて1.89倍となっていて、各地で過去最多の感染者数が連日更新される、これまでにないレベルでの感染拡大となっています。

首都圏の1都3県では
▽東京都が1.79倍
▽神奈川県が1.50倍
▽埼玉県が1.78倍
▽千葉県が1.85倍と急速な増加が続いています。

また関西では
▽大阪府が2.18倍
▽兵庫県が1.91倍
▽京都府が1.92倍

東海でも
▽愛知県が2.17倍
▽岐阜県が2.16倍
▽三重県が1.83倍と増加幅が1週間前よりも大きくなり、再び2倍を超える地域も出てきています。

また
▽宮城県は2.85倍
▽秋田県は2.67倍
▽富山県は2.61倍
▽栃木県は2.57倍など21の道府県で2倍を超えています。

また、人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県は1.46倍となっています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は
▽沖縄県が2260.34人と初めて2000人を超えて全国で最も多く
次いで
▽大阪府が1555.48人
▽福岡県が1480.78人
▽熊本県が1461.02人
▽東京都が1438.42人
▽佐賀県が1230.53人
▽鹿児島県が1133.13人
▽愛知県が1129.84人
▽宮崎県が1097.07人
▽兵庫県が1060.48人
▽大分県が1054.59人
▽京都府が1034.60人と12の都府県で1000人を超えていて
▽全国では978.45人となっています。

脇田座長「感染拡大で社会活動への影響始まっている」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は今後の見通しについて「きょうの会合ではさまざまな見方が示された。全国的には増加が続くのではないかという見方もあれば、一部の地域ではピークが近くなっているという予測もあった。ただ、現在、検査や報告が適切にできなくなっていて、疫学的な評価が正確にできていない状況があるという意見もあった」と話していました。

また、感染拡大により、今後、行動制限が必要になるのではないかという質問に対しては「専門家の中でも医療現場だけでなく、社会活動への影響が始まっているという認識があった。感染者数の抑制が必要だというのが専門家の共通の認識だと思う。ただ、まずは国民一人一人が感染対策を徹底することが求められる状況で、国民の感染対策を国や自治体がサポートしていくことが重要だ。行動制限が必要になるかどうかについては現在、医療が厳しい状況になってきていて、今後、重症者や死亡者の増加が見込まれることから、今、何がいちばん、効果的な感染対策なのかを議論していく必要がある」と話していました。