全国の博物館など 2020年度の利用者数は過去最低 コロナ影響で

全国の博物館の2020年度の利用者数は感染拡大前の半分以下に減り、今の調査方法になって最も少なくなったことが文部科学省の調査で分かりました。図書館や劇場などでも利用者数が過去最低となり、国は支援策を検討する方針です。

調査は文部科学省が全国の博物館や公民館、劇場などの社会教育施設を対象に、3年に1度行っているものです。

それによりますと、2020年度の1施設当たりの年間利用者数の平均は、博物館が5万2630人で、コロナ禍前の2017年度の11万6131人から55%減少し、今の調査方法になったこの20年ほどで最も少なくなったことが分かりました。

文部科学省は、感染拡大による休館や利用者数の制限、それに修学旅行の中止などが影響しているとみています。

ほかの施設でも1施設当たりの利用者数は過去最低となり、劇場や音楽堂などは感染拡大前から69%減少して3982人、公民館は42%減少して9263人になっています。

図書館は22%減少して4万2304人となり、本の貸し出しについても国民1人当たりの年間平均が4.2冊、前回から1冊少なくなりました。

文部科学省では、社会教育施設は地域で教育や文化の拠点としての役割を担っているとして、すでに行っている感染対策の支援に加え、今回の結果も分析して対策の在り方を検討したいとしています。

国立科学博物館も減少

東京 台東区にある国立科学博物館も新型コロナウイルスの影響で来館者数が大きく落ち込みました。

恐竜の化石や動物の標本などが展示され、感染拡大前は年間およそ250万人が来館していましたが、2020年度は、臨時休館や入場制限などの影響でおよそ37万人まで落ち込みました。

博物館では、来館できない状況でも楽しんでもらいたいと、館内を360度カメラで撮影し、VR=仮想現実の空間上で見学できるサービスを始めたり「YouTube」で専門家による解説動画を投稿したりしてきました。

昨年度は、来館者数がおよそ92万人にまで回復し、この夏休み期間中も大勢の来館者を見込んでいましたが、感染が急拡大した今月は、期待していたような来館者数には至っていないということです。

国立科学博物館の匂坂克久副館長は「事前予約を必要としたり、来館者どうしの距離を確保してもらったり、触って楽しむ展示も触れない制限を行うなど、さまざまな感染対策をしています。ことし4月から6月までの状況を見ると、去年の倍くらいの人が来てくれていました。今月は来館者数が伸びておらず正直悔しいです」と話していました。