感染確認 全国で20万人超 過去最多に 日常生活にも影響が…

新型コロナウイルス、27日の感染確認の発表が全国で20万9694人と、過去最多となりました。
感染拡大の影響が、郵便局の窓口業務が休止するなど、私たちの生活に身近なところにも、及び始めています。

郵便局 感染拡大で窓口業務休止相次ぐ

日本郵便によりますと、26日の時点で従業員が新型コロナに感染したり、濃厚接触者になったりして、窓口業務を休止している郵便局は全国で170か所にのぼるということです。
今月中旬から休止する郵便局の数は増えているということです。

従業員が数人の小規模な郵便局が中心で、窓口のほか、ATM=現金自動預け払い機も休止しているところが多く、いずれも営業再開の時期は未定だとしています。
会社によりますと、従業員に感染者が出るなどした場合、近隣の郵便局から応援の要員を派遣するなどの対応をとっていますが、場所によっては人繰りがつかず、窓口業務ができなくなっているということです。

一方、日本郵便では郵便物や、ゆうパックなどの配達業務に影響は出ていないとしています。

会社では利用者に対し、はり紙やホームページなどで近隣の郵便局を利用するよう呼びかけていて、感染拡大の影響が社会のインフラを担う郵便のサービスにも及んでいます。

銭湯も時短営業

都内にある銭湯も営業時間の短縮を余儀なくされています。
東京・台東区にある銭湯「改栄湯」では、今月18日、休暇中の従業員が新型コロナウイルスの陽性と判断されました。

店主の翁 洋平さんも濃厚接触者の疑いがあるということでPCR検査を受けるため20日に臨時に休業しました。

結果は陰性で体調にも変化がなかったため、21日から営業を再開したものの、感染した従業員は、ほぼフルタイムで働いてくれる貴重な存在だったため人手が足らず、平日の営業時間は2時間短縮しています。
今のところ、30日に通常の営業時間に戻る予定だということです。
「改栄湯」は創業から70年を超え施設も老朽化したことから、おととし2億円以上を投じて全面的な改修をしたものの、コロナ禍のため客足は思うように伸びていないということです。
そのため、従業員の感染がさらに出たり、今後も感染の拡大が続いたりすると経営に大きな影響が出かねないと懸念しています。

翁さんは「銭湯は、地域の高齢者や自宅にお風呂がない方の受け皿として、公衆衛生を保つ役割がある。できるだけ安定した営業を続けていきたい」と話していました。

診察・検査までに時間が…多数の“検査難民”

感染が急拡大する中、医療機関のひっ迫によって患者が医師の診察やPCR検査を受けるまで時間がかかる事態が相次いでいます。
千葉県に住む山田育生さん(55)は、今月15日、のどの痛みやだるさを感じ、翌日に39度の熱が出ました。
かかりつけのクリニックが週末で休みだったため、週明けに医師の診察と検査を受けようと考えていたところ、今度は90歳の父親も頭痛や発熱の症状を訴えました。

このため週明けの18日に都内の医療機関5か所ほどに電話をかけましたが、いずれも予約で埋まっていると断られ、翌日の朝に再度、電話をかけても予約がとれませんでした。
その後も電話をかけ続け、19日の夕方になって品川区の在宅診療のクリニックに往診してもらい、父親とともに医師の診察とPCR検査を受けることができました。
自身の発症から5日目のことでした。

2人は翌20日にコロナ感染と診断され、父親は飲み薬を処方されました。

山田さんは「症状が出た時点ですぐに受診し、検査を受けられないと手遅れになってからでは遅い。特に高齢者は、いつ悪化するかわからずとても心配でした」と話していました。

クリニックの医師はこれ以上、診察や検査まで時間がかかる状態になると症状を悪化させる患者が増えるおそれがあるうえ、発症から5日以内の服用が勧められている薬の処方も間に合わなくなると指摘します。
「ひなた在宅クリニック山王」の田代和馬院長は「第7波は『検査難民』の数がはるかに多く、医療機関や保健所につながらず不安に襲われながら自宅で過ごしている患者が多い。検査できずに診断が遅れ、薬も飲めずに病状が悪化する。入院にも時間を要するという負のスパイラルが起き始めている」と話しています。

都内の救急搬送 第6波ピーク超え

東京消防庁によりますと、都内で感染が確認され、自宅などで療養している患者の救急搬送は今月24日までの1週間であわせて725件。
前の週より30%余り増え、第6波のピーク時の706件を超えました。

空き病床が見つからず搬送までに時間がかかるケースも増えていて、今月24日までの1週間では725件のうち89%が搬送までに1時間以上かかっています。
また、5時間以上かかったケースも84件と、前の週の4倍余りに上っているということです。

一方、救急搬送の依頼があったものの、保健所の判断などで搬送されなかったケースも852件に上っています。

最近は新型コロナウイルスだけでなく、熱中症の疑いで搬送されるケースも相次いでいるということで、東京消防庁は引き続き関係機関と連携して対応にあたっています。

救急患者対応の病院 新規患者の受け入れ難しく

新型コロナウイルスの「第7波」で緊急性が高い救急患者に対応する東京都内の大学病院では、コロナ病床を確保するため、ほかの救急患者用の病床を減らしていることもあって、新たな患者の受け入れが難しくなっています。

現場の医師は、通常の救急医療を提供できる状況にないと危機感を募らせています。
東京・文京区にある日本医科大学付属病院は、高度救命救急センターがある病院で、今回の感染拡大に際して一般の重症患者用の病床を半分程度の26床に減らし、コロナ患者用の病床を8床確保して対応しています。

26日の時点でコロナ病床に入院している患者は3人にとどまっていますが、重い持病がある患者などが発熱するなどして搬送されてきて、コロナの疑いがある患者としてコロナ病床での対応が求められるケースが相次いでいるということです。

また、コロナ以外の病気やけがで搬送される患者も多く、重症患者用の病床がほぼ満床になっているということです。

病院ではふだん救急搬送の要請に9割程度応じてきましたが、今では6割程度しか受け入れられなくなっているということで、26日は朝から午後1時ごろまでに受けた6件の要請に対して受け入れられたのは1件にとどまっていました。

横堀將司 高度救命救急センター長は「今は重い病気の人がコロナにかかっても行き場がなくなってきている。救急医療にすぐにアクセスできない状況になっているので、交通事故やけがなどには気をつけてほしい」と話しています。

大阪「医療非常事態宣言」

大阪府では、26日発表された新規感染者が過去最多になるなど感染が拡大し、病床の使用率も高くなっています。

こうした状況を受けて大阪府は対策本部会議を開き、吉村知事は「感染はさらに拡大する可能性があり、発熱外来や救急外来を含めて医療全体がひっ迫している。また、入院患者の多くが70代以上の高齢者で、こうした点を踏まえた要請や対策を決めたい」と述べました。

これを受けて会議では「大阪モデル」を非常事態を示す「赤色」に引き上げるとともに、医療提供体制がひっ迫しているとして「医療非常事態宣言」を出しました。

あわせて府民に対し、こまめな換気など基本的な感染対策の徹底や早期のワクチン接種を呼びかけるほか、重症化のリスクが高い高齢者や基礎疾患のある人には不要不急の外出を控えるように、同居する家族など日常的に高齢者と接する人には感染リスクの高い行動を控えるように、呼びかけることを決めました。

飲食店などに対しては営業時間の短縮は要請しませんが、マスク会食の徹底などを求めるとしています。
こうした要請は28日から来月27日まで行うとしています。

このほか会議では、感染者数の急増などをふまえ、オンラインでの診療や薬剤処方の体制を強化することを確認しました。

対策本部会議の後に発表された27日の時点の大阪府内の病床使用率は52.0%となり、非常事態の目安の50%を超えました。

神戸市 自宅療養者急増で連絡遅れるケースも

新型コロナの感染急拡大を受け、神戸市は感染者への連絡にあたる担当者の数を2倍以上に増やして対応を強化していますが、自宅で療養する人が急増し連絡が遅れるケースが出てきています。

ことし2月神戸市は、保健所などの負担を軽減しようと市役所のワンフロアを使って「自宅療養フォローアップセンター」を設置。
軽症や無症状で自宅で療養する人への連絡のほか、本人や家族からの相談に電話で応じています。

これまでは民間企業に委託し70人態勢で行っていましたが、新型コロナの感染急拡大を受け、先週から市のほぼすべての部局から約100人の職員を派遣し170人態勢で対応にあたっています。

市は感染者を把握してから24時間以内には本人と連絡を取る方針ですが、感染者の急増で1日程度連絡が遅れるケースが出てきているということです。

27日も、担当者は「いつ自宅待機を終えて仕事に復帰できるのか」といった問い合わせを受けたり、療養期間の終了を知らせたりする連絡に追われていました。

神戸市保健所の村田秀夫 保健課長は「今月後半からの感染急拡大を受け、電話対応など職員の負担が増している。市民には基本的な感染対策の徹底をお願いしたい」と話していました。