「梅毒」の感染者が急増 過去最多のペース 症状は?

性感染症の「梅毒」の感染者が急増していて、現在の統計を取り始めた1999年以降で最多となるペースで増えていることが、国立感染症研究所などの調査で分かりました。

薬で治療ができますが、治療せずに放置すると脳や心臓に深刻な症状が出ることがあります。
専門家は、少しでも心配な場合は医療機関を受診したり検査を受けたりしてほしいと呼びかけています。

「梅毒」って何? 感染経路は?

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因の感染症です。

主な感染経路は性的な接触で、キスや性行為などで感染が広がります。
潜伏期間でも感染者の粘膜や傷のある皮膚に直接触れると感染することがあります。

症状が消える?無症状? 気付かないうちに進行することも

感染すると、3週間から6週間程度の潜伏期間を経て発症しますが、その後、症状が消えてしまうことや無症状のこともあり、気が付かないうちに病気が進行することもあります。

薬で治療ができますが、治療せずに放置すると脳や心臓に深刻な症状が出ることがあります。

1999年以降で初めて1万人を超える可能性も

国立感染症研究所によりますと、7月17日までに報告された梅毒の感染者数は全国で6106人。
去年の同じ時期の1.7倍になっているということです。

感染者数は、去年までの5年間の平均では年間 約6600人で、ことしはすでに同じ水準となっています。

このままのペースで増えると、現在の統計を取り始めた1999年以降で初めて、1万人を超える可能性も指摘されています。
都道府県ごとでは、
▽東京都が1796人で去年の同じ時期の1.5倍。
▽大阪府が773人で2.1倍。
▽愛知県が345人で1.9倍
などとなっています。

医師「最も重要なのは感染予防」

日本性感染症学会で梅毒対策の責任者を務める神戸大学の重村克巳准教授は「最も重要なことは感染を予防するためにコンドームをきちんと着用することだ。早い段階の治療が大切なので感染を疑うようなことが少しでもあれば、検査を受けてほしい」と話しています。

感染したら 症状は?

感染した場合、どんな症状が出るのでしょうか。

「第1期」3ミリから3センチの腫れや潰瘍

潜伏期間をすぎたあと、感染から3週間程度たってからの時期は「第1期」と呼ばれています。

菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れや潰瘍ができます。
この症状は、数週間で消えてしまうことがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

「第2期」手足・全身に赤い発疹

「第2期」は感染から3か月程度たって、手や足、全身に赤い発疹が現れる時期で、発熱やけん怠感など、さまざまな症状が出ることがあります。

症状は何もしなくても消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

「第3期」全身で炎症

「第3期」は感染から3年程度たって全身で炎症が起こる時期です。

「第4期」脳や心臓、血管に症状 まひや動脈りゅうも

その後、感染から10年程度たつと「第4期」となり、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり動脈りゅうの症状が出たりすることがあります。

妊婦が感染すると 子どもに障害が残るおそれも

妊娠中の女性が感染した場合、胎児に感染して死産や早産になったり、生まれてから難聴になったりする「先天梅毒」と呼ばれる状態になることもあります。

感染しているかどうかは血液検査で

梅毒に感染しているかどうかは、血液検査で分かります。

各地の自治体で検査を受け付けていて、このうち東京都では新宿などにある検査・相談室や保健所で、匿名で、無料で受けることができます。

少しでも心配な場合 受診や検査を

日本性感染症学会の重村克巳医師は。

「梅毒は発疹が出るのが典型的な症状だとされるが、必ずしもそうした症状ばかりではなく『ちょっと赤いな』と感じる程度のこともある。痛みも少ないので受診しない人もいると考えられていて、そのあいだに感染が広がるおそれがある。
少しでも心配な場合は医療機関を受診したり検査を受けたりしてほしい」。