ウクライナ 農産物輸出再開へ 監視機関きょう設置も予断許さず

ウクライナの港からの農産物の輸出再開に向け、ロシアとウクライナなどが合意した、船の安全な航行を共同で監視する機関が27日、トルコのイスタンブールに設けられます。ただ、港が集まるウクライナ南部の黒海沿岸にはロシアによるミサイル攻撃が相次いでいて、合意が確実に履行されるか予断を許さない状況です。

ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐり、ロシアとウクライナは今月22日、仲介役のトルコと国連とともに合意を交わしました。

この中で船の安全な航行を共同で監視していくため、海上輸送の調整にあたる機関を27日、トルコのイスタンブールに設けることにしています。

ただウクライナ南部ミコライウの市長は26日、軍の情報として輸出港が集まる黒海沿岸に多くのミサイルが撃ち込まれ、港湾施設も攻撃されたと明らかにしました。

またウクライナの非常事態庁などによりますと26日、南部の港湾都市オデーサから南に60キロほどのリゾート地がロシア軍のミサイル攻撃を受け、1人がけがをしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSで「基地ではなく、軍隊もいなかった。ロシアはすべての責任を負わなければならない」と攻撃を非難していて、農産物の輸出再開に向けた合意が今後、確実に履行されるか予断を許さない状況です。

こうした中、東京都内では26日、ウクライナのコルスンスキー駐日大使が記者会見し、ロシア軍による攻撃で犠牲になった市民の顔や、破壊された現場の写真をスクリーンに映しながら攻撃の状況を説明しました。

そしてロシアの軍事侵攻が始まってから5か月余りの間、市民の犠牲が後を絶たないとして「ロシアによる戦争犯罪や人道に対する罪に関心を寄せてほしい」と訴えました。