EU 加盟国のガス使用量 来月から自主的に15%削減で合意

EU=ヨーロッパ連合の加盟国はロシアからの天然ガスの供給が止まった場合に備え、ガスの使用量を来月から来年3月まで自主的に15%削減することで合意しました。

EUは26日、ベルギーのブリュッセルでエネルギー相会議を開き、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会がロシアからの天然ガスの供給が止まった場合に備えて提案した対策について協議しました。

その結果、EUの加盟国はガスの使用量を来月から来年3月末まで自主的に15%削減することで合意しました。

会議のあとの記者会見でEUのシムソン委員は「最悪の事態に備える必要性について合意した。これでガスの貯蔵に取り組むことができ、状況が悪化した場合に全体で連携して対応するための計画ができたことが最も重要な成果だ」と述べました。

ヨーロッパ委員会の提案では、深刻なガス不足が見込まれる場合、EUが加盟国のガスの使用量を強制的に制限できるとされ、これに一部の国が反対していましたが、今回の合意では、ほかの加盟国とガスのネットワークでつながっていない島国は適用を除外され、そのほかの国も状況に応じて適用を除外されたり緩和されたりするということです。

会議に先立って、EU加盟国の外交官は「ロシアを含め、世界がどう見ているかを意識している」と述べていて、今回はさまざまな適用除外の可能性を認めながらも合意を優先し、EUの結束をアピールした形となりました。

ドイツ「欧州の結束 乱すことはできないという強いシグナルに」

ドイツでエネルギー政策を担当するハーベック経済・気候保護相はブリュッセルで記者団に「ロシアのねらいはエネルギー価格をつり上げ、ヨーロッパの足並みを乱し、EUとウクライナの連帯にくさびを打ち込むことにあるが、今回の合意はヨーロッパの結束を乱すことはできないという強いシグナルになった」と述べ、合意を歓迎しました。

ヨーロッパ最大の経済大国ドイツでは、ロシアからパイプラインを通じた天然ガスの供給が大幅に削減され、暖房需要などで消費が増える冬に向けて十分な量が貯蔵できるか懸念が広がっています。

また天然ガスはドイツからフランスやオーストリアなど隣国にも輸送されているため、各国が一致して削減に取り組むことを重視しています。

今回のEUによる削減の提案を巡っては、加盟国の中に一律の削減への反対意見もあると伝えられていただけにドイツは合意を評価していて、ハーベック経済・気候保護相は「われわれはロシアからのガスの減少あるいは供給の停止に備えるべきだ」と述べ、各国に削減の実行を呼びかけました。

フランス 政府や公的機関の省エネ対策を発表

EU加盟国が天然ガスの使用量の15%削減に合意したことを受け、フランスのボルヌ首相は26日、冷暖房の使用制限や照明の計画的な消灯など、政府や公的機関の省エネルギー対策を発表しました。

この中では、冷房の使用は室内の温度が26度以上の部屋にかぎり、暖房の使用は19度未満の場合に限る、照明は使用時間を決めて計画的に消灯する、さらに、電子機器は電源を入れたままにしない、などとしています。

フランス政府は今後2年間でエネルギーの消費量を10%削減する独自の目標を打ち出していて、ボルヌ首相は「エネルギーの大幅な削減を実現するためには、国が先頭に立って実行に移す必要がある」と述べ、各省庁や行政機関に省エネを速やかに実行するよう要請したと明らかにしました。

ヨーロッパではロシアから多くのガスを輸入するドイツが公共施設などで使うガスを削減する措置を検討しているほか、イタリアでも国を挙げた省エネキャンペーンが検討されています。