【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア国防省 マリウポリとロシア南部の定期フェリー就航発表

ロシア国防省は27日、激しい戦闘が続いたウクライナ南部のマリウポリと、ロシア南部のクラスノダール地方を結ぶ定期フェリーを就航させたと発表しました。

このフェリーは、一日一往復運航され、乗客130人以上に加え、最大で700トンの貨物を輸送できるということで、ロシアが全域を掌握したと主張するルハンシク州や、隣接するドネツク州のインフラ整備に必要な貨物をロシア側から運ぶとしています。

ロシアは、これまでもウクライナ東部や南部の支配地域にロシアからの業者を送り込み、攻撃によって破壊されたインフラ施設などの再建に向けた作業を進めていて、定期フェリーの就航によってロシアによる支配の既成事実化を一層強めるねらいがあるものとみられます。

ロシア 兵力補うため中央アジアからの移民募集か

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日、ウクライナの情報機関の分析として、ロシアは兵力を補うため、高額の報酬やロシアの市民権付与を見返りに、中央アジアからの移民を募っているという見方を示しました。

また、中央アジアのキルギスでは、警備の仕事だと偽って、キルギス人男性らをロシア軍に勧誘しているという報告があるとも指摘し、戦闘が長期化する中、ロシアの兵員不足が深刻化していることを示唆しています。

ウクライナへの軍事侵攻でのロシア軍の死者数をめぐっては、ゼレンスキー大統領が26日の演説で「ロシアは4か月間、ロシア軍の損害についていかなる情報も国民に伝えていない。完全な沈黙だ」と述べたうえでロシア国防省は、ロシア軍の兵士の死者数について3月下旬に発表して以降、人数を公表していないことから国民に被害を隠し続けていると批判しました。

ウクライナ 検事総長にゼレンスキー大統領指名の後任を議会承認

ウクライナの議会の「最高会議」は27日、解任された検事総長の後任としてゼレンスキー大統領が指名したアンドリー・コスティン氏を承認しました。

ウクライナでは、今月中旬に、戦争犯罪の捜査などを指揮してきた検察などのトップが解任され、ゼレンスキー大統領は、解任の理由について、検察の職員などが、ロシアの支配地域に残り、ウクライナに敵対的な行動をとっていることを挙げていました。

これを受けて、ゼレンスキー大統領は、検事総長を務めていたベネディクトワ氏の後任に、みずからが所属する政党の議員であるアンドリー・コスティン氏の指名を承認するよう求める決議案を議会に提出しました。

ウクライナの検察当局によりますと、27日に行われた採決では450の定員に対し、賛成が299と多数を占め、コスティン氏の指名が承認されたということです。

ロシアが国際宇宙ステーション撤退表明 アメリカは批判

日本も運用に関わるISS=国際宇宙ステーションのプロジェクトについて、ロシア国営の宇宙開発公社「ロスコスモス」は2024年以降に離脱する意向を明らかにし、今後の宇宙開発への影響が懸念されます。

アメリカ国務省のプライス報道官は26日、定例の記者会見で「ロシアのウクライナに対する軍事侵攻は米ロ関係を根本的に変化させたが、われわれは科学分野での共同研究など、維持したい分野はある。ロシアはそれとは反対のシグナルを送ってきている」と述べ、ロシアを批判しました。

ロシア国営の宇宙開発公社「ロスコスモス」のボリソフ社長は26日、プーチン大統領にロシアの宇宙開発事業について報告しました。
この中で、日本やアメリカなども運用に関わる国際宇宙ステーションについて「2024年以降、離脱することを決めた」と述べ、プーチン大統領もこれを了承しました。

そのうえで「離脱するころには、ロシア独自の宇宙ステーションの建設が始まっているのではないか」と述べました。

2011年に完成したISSの運用期間は2024年までとなっていますが、NASA=アメリカ航空宇宙局のネルソン長官は2030年まで運用を延長する方針を発表していました。

米中首脳会談 議題は台湾やウクライナの情勢か 米政府高官

アメリカ政府の高官は今週中にも行うとしているバイデン大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談について、台湾情勢やウクライナ情勢などが議題になるという見通しを示しました。

アメリカのバイデン大統領は、中国の習近平国家主席と、今週中に電話かオンラインで会談したいという意向を示しています。

ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は26日、記者団に「まだ具体的な日時を発表できる段階ではない」としながらも、会談の議題は台湾情勢やウクライナ情勢、それに両国の競争が衝突に発展しないよう対話を続けていくことの確認が中心になるという見通しを示しました。

日インドネシア首脳会談へ ウクライナ情勢などで意見交換へ

G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領が27日に日本を訪れ、岸田総理大臣と首脳会談などを行います。首脳会談では、ことし11月にバリ島で開かれるG20首脳会議に向けて緊密に連携していくことを確認するものとみられます。

インドネシアのジョコ大統領は27日、日本をおよそ3年ぶりに訪れ、岸田総理大臣と首脳会談を行うほか、天皇皇后両陛下と会見を予定しています。

首脳会談では、ことし11月にバリ島で開かれるG20首脳会議に向けて緊密に連携していくことを確認するものとみられるほか、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐる対応などについて意見を交わす見通しです。

ウクライナ 農産物輸出再開へ 監視機関設置へ

ウクライナの港からの農産物の輸出再開に向け、ロシアとウクライナなどが合意した、船の安全な航行を共同で監視する機関が27日、トルコのイスタンブールに設けられます。ただ、港が集まるウクライナ南部の黒海沿岸にはロシアによるミサイル攻撃が相次いでいて、合意が確実に履行されるか予断を許さない状況です。

ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐり、ロシアとウクライナは今月22日、仲介役のトルコと国連とともに合意を交わしました。

この中で船の安全な航行を共同で監視していくため、海上輸送の調整にあたる機関を27日、トルコのイスタンブールに設けることにしています。

黒海沿岸でミサイル攻撃続く

ウクライナ南部ミコライウの市長は26日、軍の情報として輸出港が集まる黒海沿岸に多くのミサイルが撃ち込まれ、港湾施設も攻撃されたと明らかにしました。

またウクライナの非常事態庁などによりますと26日、南部の港湾都市オデーサから南に60キロほどのリゾート地がロシア軍のミサイル攻撃を受け、1人がけがをしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSで「基地ではなく、軍隊もいなかった。ロシアはすべての責任を負わなければならない」と攻撃を非難していて、農産物の輸出再開に向けた合意が今後、確実に履行されるか予断を許さない状況です。

EU 加盟国のガス使用量 来月から自主的に15%削減で合意

EU=ヨーロッパ連合の加盟国はロシアからの天然ガスの供給が止まった場合に備え、ガスの使用量を来月から来年3月まで自主的に15%削減することで合意しました。

EUは26日、ベルギーのブリュッセルでエネルギー相会議を開き、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会がロシアからの天然ガスの供給が止まった場合に備えて提案した対策について協議しました。

その結果、EUの加盟国はガスの使用量を来月から来年3月末まで自主的に15%削減することで合意しました。

会議のあとの記者会見でEUのシムソン委員は「最悪の事態に備える必要性について合意した。これでガスの貯蔵に取り組むことができ、状況が悪化した場合に全体で連携して対応するための計画ができたことが最も重要な成果だ」と述べました。

ヨーロッパ委員会の提案では、深刻なガス不足が見込まれる場合、EUが加盟国のガスの使用量を強制的に制限できるとされ、これに一部の国が反対していましたが、今回の合意では、ほかの加盟国とガスのネットワークでつながっていない島国は適用を除外され、そのほかの国も状況に応じて適用を除外されたり緩和されたりするということです。

会議に先立って、EU加盟国の外交官は「ロシアを含め、世界がどう見ているかを意識している」と述べていて、今回はさまざまな適用除外の可能性を認めながらも合意を優先し、EUの結束をアピールした形となりました。

ドイツ「欧州の結束 乱すことはできないという強いシグナルに」

ドイツでエネルギー政策を担当するハーベック経済・気候保護相はブリュッセルで記者団に「ロシアのねらいはエネルギー価格をつり上げ、ヨーロッパの足並みを乱し、EUとウクライナの連帯にくさびを打ち込むことにあるが、今回の合意はヨーロッパの結束を乱すことはできないという強いシグナルになった」と述べ、合意を歓迎しました。
ヨーロッパ最大の経済大国ドイツでは、ロシアからパイプラインを通じた天然ガスの供給が大幅に削減され、暖房需要などで消費が増える冬に向けて十分な量が貯蔵できるか懸念が広がっています。

また天然ガスはドイツからフランスやオーストリアなど隣国にも輸送されているため、各国が一致して削減に取り組むことを重視しています。

今回のEUによる削減の提案を巡っては、加盟国の中に一律の削減への反対意見もあると伝えられていただけにドイツは合意を評価していて、ハーベック経済・気候保護相は「われわれはロシアからのガスの減少あるいは供給の停止に備えるべきだ」と述べ、各国に削減の実行を呼びかけました。

ロシアとトルコの首脳会談 来月5日開催へ

ロシア大統領府のペスコフ報道官は26日、プーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が来月5日にロシア南部のソチで首脳会談を行うと明らかにしました。

そのうえで「会談では地域の課題や2国間関係が議題になる」と述べました。

またトルコのメディアもトルコ大統領府の情報として、首脳会談が行われると報じています。

両首脳は今月19日にイランで会談したばかりで、プーチン大統領としては、NATO=北大西洋条約機構の加盟国であるトルコとの関係強化をアピールして、アメリカをけん制するねらいもあると見られます。

一方、エルドアン大統領はウクライナ産の小麦などの輸出再開に向けた合意で仲介役を務めたことを踏まえ、合意の確実な履行をプーチン大統領に求めるとともに、ウクライナとの停戦交渉についても再開に向け働きかけたい考えです。