【動画】ガス 電気 水道も… ロシア軍 生活基盤破壊がねらいか

ロシアによる軍事侵攻から5か月。罪のない一般市民が攻撃にさらされ続けています。

市民に対する暴力や人権侵害に加え、目立っているのが市民の生活基盤を破壊するロシア軍の攻撃です。
激しい戦闘が続く、東部ドンバス地域からの避難民が集まる町でその実態を取材しました。

ドネツク州 無差別的攻撃でライフラインが破壊

首都キーウから、車で5時間、中部ポルタワ州です。道路脇には土のうが高く積み上げられ、戦闘地域に近いことを実感させます。
ポルタワ州には、激しい戦闘が続く東部からおよそ6万人が逃れています。

ドンバス地域などから逃れた人たちの避難場所になっている幼稚園には107人が身を寄せ、行政の支援を得ながら避難生活を続けています。

そのひとり、ライーサ・オロブチェンコさん(73)です。
ことし4月、東部ドネツク州のスロビャンシクから、夫と孫とともに逃れてきました。

スロビャンシクは、ドネツク州の完全掌握を目指すロシア軍による攻撃が激しくなっています。無差別的な攻撃で市民のライフラインが破壊されているといいます。

ライーサさんは「故郷は、ガス、電気、それに水道も止まっています。どこに戻れというのでしょうか。最初は1か月も避難すれば戻れると思っていました。でも、すでに避難して4か月です」と話していました。

こうした中でも娘のオルガさんはスロビャンシクにとどまり続けています。いつか家族が戻れるようにと家を守っているのです。

ライーサさんは、娘のオルガさんに電話で今の様子を聞きました。
オルガさんは「けさ、3回ほど砲撃音が聞こえました。近くの町にはきのうの夕方から何度も砲撃がありました。数週間前に攻撃を受けた市場にはもう行けなくなりました」と答えていました。

ポルタワ州行政当局「市民生活への脅威」

避難先であるポルタワ州にもロシア軍の攻撃は及んでいます。
戦線から離れた都市部に対してもロシア軍のミサイル攻撃が強まっているのです。

6月には多くの市民が利用するショッピングセンターにミサイルが撃ち込まれ、22人が死亡、100人以上がけがをしました。

また、火力発電所も破壊され、およそ18万人に影響が出ています。

ポルタワの行政当局は、市民の生活基盤を破壊することがロシア側のねらいだとみています。
バレリ・ポルホメンコ副市長は「ロシア軍の攻撃を見れば、ミサイルで生活インフラを狙っている。市民生活への脅威だ。住宅、暖房、水道などをどう提供できるかが課題だ」と話していました。