コロナ自宅療養で“入院保険” 手続きはどうするの?

コロナ自宅療養で“入院保険” 手続きはどうするの?
単身赴任中の私(記者の金澤)の夫が6月中旬、新型コロナウイルスに感染し自宅療養に。発熱やのどの痛みがありましたが、幸い軽症で済んだということです。

私が上司に夫のコロナ感染を伝えると、返ってきたことばは「自宅療養でも入院保険がでるみたいだよ」「えっ、自宅で療養しているのに、入院?」2つのことばがかみ合わないので調べました。

自宅療養が過去最多を記録する中で

“第7波”による感染急拡大で自宅療養者は過去最多を記録しています。

自宅療養となった場合、加入している医療保険の契約内容によって入院給付金が受けられます。

これについてSNS上では「うちの従業員が、子供からの連鎖で3週間休んだ後に30万円貰ってました」とか「念の為加入してたコロナ保険と生命保険で20万以上入る。夫が濃厚接触で仕事行けないから助かる」といった投稿が。

また「陽性と判定されたら入院給付金が出るタイプの医療保険に加入してから、即PCRを受けに行く契約者が激増しとるらしい」とか「陽性になるまで何度でも検査しそう」という投稿も見られます。

給付を受けるにはそもそも何が必要?

保険会社が加盟している生命保険協会などによると、保険会社によって必要な書類は若干異なりますが、自宅療養や宿泊療養の場合は原則として医療機関から陽性の診断を受け、“みなし入院”を証明することが求められます。

患者がスマートフォンやパソコンで自身の健康状態を入力する国のシステム「My HERーSYS」(マイ ハーシス)。

自宅療養などをした時に保健所や医療機関からの連絡で登録し、体調を報告するために使います。

国は療養期間が10日以内であれば、開始日の証明にこのシステムを活用できるとしています。
各保険会社から送られてくる療養期間などを記載する用紙への記入とこのスクリーンショットの印刷の計2枚で入院給付金が支給されるケースもあります。

「My HERーSYS」の画面が利用できない時には医療機関や保健所などが発行する「宿泊・自宅療養証明書」で代用することができます。
療養期間が11日以上になった場合、療養の開始日と終了日がきちんと記載されたものであることを条件に、保険会社によっては「宿泊・自宅療養証明書」だけで請求できることもあります。
生命保険協会に加盟している約40社が自宅療養や宿泊療養で支払った昨年度の入院給付金は、91万3685件で約889億7000万円。

それが今年度は5月末までのわずか2か月間で116万4754件で約1070億4000万円。すでに昨年度の件数と額を上回っています。

専門家「保険 見直しの時期に」

自宅療養などでの「入院給付金」の支払いが増えていることについて、保険業界に詳しい福岡大学 植村信保 教授は「財務面で保険会社の健全性を揺るがすレベルまでには至っていないと思う」とする一方で、保険会社が当初想定した状況とは違うものになっているのではないかと指摘します。
福岡大学 植村教授
「濃厚接触者になるなど限りなく陽性に近いことが分かった段階でそれを申告せずに保険に加入する人が存在するモラルリスクの現実があります。将来の不安に備えて加入する本来想定される保険の形が成り立たなくなるというのがいま起きていることです。
新型コロナに特化した保険は特に提供しにくくなり、新規の受け付けを停止したり、保険料の値上げをしたりする動きにつながっているのではないでしょうか。コロナをめぐる保険の見直しが必要な時期に来ているのかもしれません」
また今後の新型コロナに対応する保険については…
植村教授
「新型コロナの扱いがどうなっていくのかまだよく分からないのではっきりしたことは言えません。自宅療養のような“みなし入院”がなくなれば、そこに対しての入院給付金は出ないことになります。
国が負担していた医療費の部分が自己負担になれば、そこにかかる費用に備えるという保険が出てくるのではないかと思います」

保険会社などに確認を

自宅療養で“入院保険”が請求できると知った(金澤の)夫によると、保険会社のホームページで申請用紙を取り寄せ、必要事項を記載したものと「My HERーSYS」のスクリーンショットの2枚を一緒に送り返しました。手続きは簡単で、規定の料金が振り込まれたそうです。

一部の自治体では重症化のリスクが低い人を対象に、市販の抗原検査キットなどで陽性になった場合、医療機関や保健所を介さずに療養することを選べる「自主療養」の取り組みを行っているところがあります。
こうした自治体が発行する療養の証明書によって民間の保険の請求ができるかどうかは、取り扱いが異なります。

保険会社に取材をすると各社で大きな手続きの違いはありませんが、加入している保険でどういう書類が必要になるのかはしっかり確認してください。

(取材記者:金澤志江、鈴木 有、伊藤 奨、矢野裕一朗)